ジョルジュ・バタイユの『文学と悪』を楽しく読んでいる。読んではいるが、バタイユが置かれていた状況をもう少し知りたい、そう思い、『戦後フランス思想』(伊藤直、中公新書)を手に取った。バタイユ個人の、いわばタテの流れは『バタイユ入門』と『バタイユ そのパトスとタナトス』でざっくりわかったので、ヨコの、同時代的な広がりやその背景を知りたかったのだ。 本書で著者が扱っているのは、サルトル、カミュ、ボーヴォワール、メルロ・ポンティ、バタイユの五人だが、なんといっても影響力が大きかったのはサルトルだろう。 サルトルは、有名なアンガジュマン(政治的社会参加)や実存主義、といった言葉で有名な作家だが、彼が仲間…