「ローマ・カトリック教会」(Roman Catholic Church)の略称。
ローマ教皇を最高指導者と仰ぐキリスト教最大宗派。現代社会でキリスト教の総信徒数は21億7千万人にのぼるとされるが、そのうち11億3千万人はカトリックの信徒である(『ブリタニカ国際年鑑』2007年版)。
「カトリック」という呼称は、元来はギリシャ語カトリコス(普遍的な)に由来する。古代1世紀末、キリスト教はユダヤ教から分離し、ユダヤ人という一民族の枠を超えて全地中海文明圏に拡大していった。元来の「カトリック」は、キリスト教とは「普遍宗教」である、という古代キリスト教徒の自己認識に基づいた言葉であり、今日のようにキリスト教内における一宗派を表していたのではなかった。
古代4世紀、キリスト教はローマ帝国の公認宗教になる。ところが、西暦395年のローマ帝国分裂後、西ローマ帝国(首都ローマ)はローマ司教(後にローマ教皇と呼ばれるようになる地位)を頭とする「ローマ・カトリック」を、東ローマ帝国(首都コンスタンチノープル)はコンスタンティノープル司教を頭とする(ただし正教ではあくまでも諸教会のなかでの相対的首位でしかなく、西方教会のような教義上特別な地位を持っているわけではない)「ギリシャ正教」をそれぞれ国家宗教とするようになる。以降、「カトリック」はローマ教皇を司牧者の頭として仰ぐローマ・カトリック教会の通称になっていった。
以上の二宗派に加え、16世紀初頭、マルティン・ルターから始まる宗教改革運動によって派生した「プロテスタント(諸教派)」を含めて、キリスト教三大宗派とみなすことができる。
日本には1549年にイエズス会のフランシスコ・ザビエルが来日した際にカトリックが伝来された。その後の豊臣秀吉や幕府による弾圧、長崎殉教事件などは、海外のカトリック教徒の間にも語り継がれている。