ノンフィクション作家、歌人。1939年生まれ。 角川書店創設者・角川源義の娘。角川春樹・角川歴彦兄弟の姉。
富山県出身、早稲田大学仏文学科卒業。幼少より父・角川源義の影響を受け、短歌など文学に親しむ。 昭和59年『男たちの大和』で新田次郎文学賞受賞。昭和63年『闇の祝祭』で現代短歌女流賞受賞。 『収容所から来た遺書』は、平成元年に講談社ノンフィクション賞、平成2年に大宅壮一ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。 2011年9月21日、死去。
収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)
決定版 男たちの大和〈上〉 (ハルキ文庫)
決定版 男たちの大和〈下〉 (ハルキ文庫)
ランキング参加中雑談 久しぶりの映画評。と言ってもこの身体で映画館に行き、長時間座ってる訳にいかないので、Amazon Prime Videoです。先週から10度以上も下がるという寒波が訪れていたため、先週末はリハビリの散歩も早々に切り上げ、温かい珈琲を手に「何を見ようかな」とサイトを開き、自身の心境とマッチするものがないかと探索を。ドラマやらオリジナル作品やら、色々探してみたものの、結局トップページに出てたこの作品を選択して映画鑑賞。前々から見たいと思ってたとかではないので、まったくのゼロベースでの鑑賞。それを前提に、事後に調べた内容を含め、以下、感想を書いていきます。 まず、この映画は辺見…
『ラーゲリより愛を込めて』 2023年3月11日、下高井戸シネマにて鑑賞。 見応えについては、邦画としては十二分。お薦めの作品である。 『永遠の0』と雰囲気がよく似ていると感じた。後で知ったことだが、担当したシナリオライターが同じで、林民夫さんによる脚本とのこと。ネタバレを避けながら表現することが難しいが、『ラーゲリ』の〇〇ローグと『0』の〇〇ローグが類似のパターンであり、かつ対照的でもある。そして、『ラーゲリ』の終盤と『0』のそれとを比べると『ラーゲリ』のほうが格段に正当で、圧倒的に素晴らしい。ただし、(これもネタバレを避けながらの表現だが)〇者〇様の訪問シーンはストレート過ぎて先が読めてし…
封切り二日目。 席数110の【SCREEN2】はほぼほぼ満員の盛況。 冒頭、「事実を基にした物語り」であるとの提示が。 原作は『辺見じゅん』による〔収容所(ラーゲリ)から来た遺書〕で「大宅賞」と「講談社ノンフィクション賞」のダブル受賞と聞く。 映画化にあたってのタイトル変更はそのままだと主人公が帰国できるかもとの、サスペンスの一つの可能性を潰してしまうことからこれはある種の見識であると思われ。 自分達の世代に照らし合わせれば、小学校の教師に一人シベリアの抑留者が、また実際に戦地に赴いた人も一人居た。 肉親でも、叔父は「満蒙開拓」に行っていたし、父親は軍属ではないものの南方に派遣されていた。 現…
おすすめしている人がいて、ちょっと興味を引いたので、図書館で借りてみた。 終戦後、ソ連軍に捕捉され、シベリアに抑留された日本人が60万人もいた。 その事実を、歴史上の出来事としてではなく、こういったノンフィクションとして読むのは、かなりしんどかった。 山本幡男氏は、満州鉄道調査部に勤務から召集され、ハルピン特務機関で終戦を迎え、ソ連軍によって抑留された。 厳しい収容所生活の中での文化活動、アムール句会、そして彼の遺書を家族に届けようと分担して暗記し帰国する仲間たち。 重い内容で、途中、何度か諦めようかとも思ったが、なんとか読み通すことができた。 ところで、ノンフィクションというものは、事実の記…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 辺見じゅん bokutachi.hatenadiary.jp 赤紙の父帰りくる野の列車ただしんしんと暑き夕ぐれ ねむりうすき父の呑みつぐ錠剤のかがやくほとりわれも眠らな 辺見じゅん、というと、『男たちの大和』の作者としては知っていましたが、歌人としては知りませんでした。 解説にもあるのですが、家族の歌が多いです。特に父の歌が多く、実父は角川書店創業者・角川源義だそうです。 おとうとは母を知らねば六月の海に出でゆく鳥の翼よ 甲虫を死なせてゐたるおとうとの茜したたる夕暮れの耳 おとうとの歌も散見されま…
一条真也です。『最後の角川春樹』伊藤彰彦著(毎日新聞出版)を紹介します。著者は1960年愛知県生まれの映画史家です。『映画の奈落――北陸代理戦争事件』『無冠の男――松方弘樹伝』などの著作で、映画人たちの修羅と栄光を描いて、ノンフィクションの新しい領域を切り開きました。 本書の帯 本書の帯には老人となった角川春樹の写真とともに、「戦後最大の出版人 その魂の軌跡」「風雲児は詩人にして悪党。本と映画と音楽の融合、父との闘争と和解、価値破壊と文化創造・・・・・・破格の構想力によって、『出版』は『事件』となった」「幾多の受難から立ち上がった角川春樹、新たな闘争が始まる」と書かれています。 本書の帯の裏 …
四季それぞれの賑わいを見せる江の島片瀬ですが,とりわけ夏は海水浴で賑わいます.ひと昔前の人出はありませんが. https://activityjapan.com/feature/enoshima-beach-opening/ (昼間は暑くで外出しないので,ウェブの写真を貼っておきます.片瀬西浜ですね) 夕方出かけた時に撮った海と江の島の画像です. 片瀬東浜から 片瀬漁港から 西浜から 海は,形声文字で,”水と音符每バイ→カイから成る漢字.くろぐろと深い「うみ」の意を表す”とのこと(角川字源). 古今短歌歳時記によれば.古代〜平安期までは,必ずしも「海」と表記されていなかったようで, ▽万葉集で…
序文・艦長の最期 堀口尚次 有賀(あるが)幸作〈明治30年-昭和20年〉は、日本の海軍軍人。最終階級は海軍中将。戦艦大和最後の艦長として有名である。 有賀幸作は大和と運命を共にし戦死したが、戦死時の状況には諸説がある。 最も有名なのは、有賀が羅針儀に自身を縛り付けて大和と共に死を迎えたというものである。この説の出典は、大和の生還者でもある吉田満著のベストセラー『戦艦大和ノ最期』からである。羅針儀緊縛説はその壮絶さもあり、戦艦大和を扱った映画でも度々この説が採用され、広く巷間に知られ通説とされている。しかし出典の著者である吉田満は現場を直接見ていない。吉田は様々な生存者から聞いた話と吉田が実際に…
7月26日誕生日の全国35万人の皆さんおめでとうございます (拙句) 咲き満ちて槿一日花ならず 雅舟 【花】 ムクゲ 【花言葉】 デリケートな美 柔和 【短歌】 おのずから今日をえらびて咲きにけりいちにち花よ白いムクゲよ 夏中咲いているような印象のムクゲですが、朝開いて夜にはしぼむ一日花です。昨日でもない、明日でもない。今日という日を自ら選んで咲いているに違いありません。 【季語】 木槿〈ムクゲ〉 【花言葉】デリケートな美 柔和 【俳句】 道のべの木槿は馬にくはれけり 松尾芭蕉 木槿の花がおしまひになつて風吹く 尾崎放哉 白木槿言葉短く別れけり 石井 露月 【三行詩】 槿花一朝の夢 万葉の朝貌…
◯映画「死刑にいたる病」 <櫛木理宇による小説。2015年刊行の『チェインドッグ』を改題の上、2017年1にハヤカワ文庫JAにより文庫化された。2022年に公開。監督は白石和彌、主演は阿部サダヲと岡田健史(現:水上恒司)。週末興行収入ランキング6週連続トップ10入り。> タイトルは、キェルケゴールの著書「死に至る病」に由来。 原作には、冒頭で、「絶望とは、死にいたる病である」というキェルケゴールの言葉が引用されています。 「死に至る病」に当たる「絶望」とは、本来の自分から目を逸らした状態で、自分の本質を見つめずにいると、精神の死が訪れてしまうことです。キェルケゴールは、それを信仰で乗り越えます…
北方領土・シベリア抑留・そして拉致(R6.6.29)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro 令和6年6月29日土曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1527号。民社党*1は北方領土問題に長年取り組みました*2が、改めてシベリア抑留、そして拉致、つながるものがあるような気がします。 荒木動画に関係なく俺の意見を書けば確かに「北方領土・シベリア抑留・拉致」の3つには共通点がいくつかあります(まあ、拉致とシベリア抑留には「事情が違うとは言え、日本人が外国に長期抑留されている」という共通点がありますが)。 第一にソ連(北方領土、シベリア抑留)も北朝鮮(拉致)も「共産国」であり、また、日本にとっては…
終戦直後、ソ連によって元日本兵や民間人がシベリアやモンゴルなどに移送されて過酷な労働を強いられ、およそ5万5000人が犠牲になったとされる「シベリア抑留」。その体験者2名の話を伺ってきました。※今回、全国強制抑留者協会様の御協力を頂きました。有難うございました。 2024年(令和6年)6月の最終週に、福岡市でシベリア抑留経験者が体験談を語る会があるというので参加してきました。 まず、シベリア抑留の状況についての説明がありました。1945年(昭和20年)8月9日、日ソ中立条約が一方的に破られ、ソ連が日本に参戦します。 ポツダム宣言では、武装解除した日本兵の日本への復帰を保証していましたが、ソ連は…
今でこそこうした質問はタブーになったが、私が子供の頃、学生の頃は、親の職業を聞かれることが度々あった。「医者です」と答えると、「何科の?」とさらに問われる。「精神科です」と応じると妙な沈黙が訪れた。歯医者や内科に比べて「こんど診てもらおうかな」とは返せないし、テレビドラマの天才外科医を重ねて「かっこいいですね」と返すわけにもいかないからだろう。 跡を継げと言われたことはない。継ぐつもりもなかった。それなのに気がつけば、意識している。精神病院を舞台にした『狂女たちの舞踏会』の翻訳を打診され、即座に引き受けた時もそうだった。そんなわけで、梯久美子著『この父ありて 娘たちの歳月』(文藝春秋)を読んだ…
太平洋戦争で敗れ、60万人近くの方がシベリヤに抑留され、つらく厳しい抑留生活を余儀なくなされます。 そんななか、ハバロフスクのある収容所では小さな犬が、捕虜たちの大きな心の支えとなりました。 そして、その犬は、捕虜たちが日本に戻る時に・・・。今回はその話を紹介します。 (過酷なシベリア抑留)太平洋戦争が終わる1週間前の1945年(昭和20年)8月9日、ソ連が日ソ中立条約を一方的に破り、日本に参戦します。 やがて、終戦を迎え、満州にいた日本兵などの多くの日本人がソ連に連行されます。彼らは捕虜となり、中央アジアや極東などソ連の各地にある収容所に連れて行かれます。 強制収容所での生活は、ぼろ小屋の中…
もうすぐ絶滅するというリアルの書店に寄せて(下) この記事は、海外文学の世界を渉猟するためのガイドマップとなることを目指している。 後編である本稿では、各出版社/各種レーベルの解説記事を載せている。なお、いずれも書き手の強い独断と偏見で書いているため、異なる意見もあるかもしれない。また、取捨選択をして書いているため、網羅性はない。そのあたりはぜひご容赦いただきたい。 前編には海外文学にまつわる基本情報を書いているので、そちらも併せてお読みいただきたい。
掛川の吉岡彌生記念館。 三島から新幹線「こだま」で掛川。駅からタクシーで30分(3500円)。帰りは1時間に一本のバスで駅に戻る。 東京女子医大を創立した吉岡彌生の生誕の地に立つ記念館と実家の医院跡を訪問。生涯を「志」「翔」「愛」にわけて展示されている。 座右の銘は「至誠一貫」。そのとおりの不屈の生涯だった。 「大正評判女番付」が展示されていた。記念館では、文壇の酒豪の番付や文豪の執筆量料の番付などを見たことがある。今度は女の番付だ。 横綱は広岡浅子(銀行家)と峰島きよ(質商)。張出横綱は矢島楫子。吉岡弥生(女医)は安井哲子(教育家)と並んで大関となっている。三浦環(音楽家)と川上貞奴(女優)…
これもビッグコミックオリジナル『前科者』に出てきた本。装画 林武《うつむく女》1953年(昭和28年)頃、油彩・画布、横須賀美術館蔵 装幀 関口聖司 初出 日経新聞2021年2月6日~2022年2月26日の土曜版 この父ありて 娘たちの歳月 作者:梯 久美子 文藝春秋 Amazon books.bunshun.jp ejje.weblio.jp 巻末に『「書く女」とその父 あとがきにかえて』あり。その後主要参考文献。下記が出てくる女性(と父親)ぜんぶで9人です。女性は。合計で九人だと割り切れないですよね。 (1) 2.26で殺害された側の父と、それを眼前で目撃した娘。当然凶行現場は自宅。 Ka…
こんにちは。 どんな条件のもとでも花は咲きます。 今日の一言 山本幡男の言葉「今日という日を、よーく覚えておくんだよ」 映画『ラーゲリより愛を込めて』を観ました。 原作は富山県出身の辺見 じゅん(へんみ じゅん、本名:清水 眞弓)さんの『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』。ノンフィクションの映画化です。 角川 春樹(かどかわ はるき)さんの実の姉にあたり、歌人であり、ノンフィクション作家で、映画『男たちの大和』の原作者でもあります。 この映画をご覧になった80歳の女性が「しらけてしまって涙のひとつも出なかった」とコメントしていたのが印象に残っています。何故、シベリアで抑留されたのか、帰ってこれな…
朝早く、猫に「ごは〜ん」と起こされて目が覚めてしまった。 5時半は早すぎる。 お天気も今ひとつ良くなくて、新しい目薬のせいでぼーっとしているし。 アイロンをかける・・・家事だけして、あとは何もせず。 今日見た映画 「ラーゲリより愛を込めて」2022年 1945年8月の敗戦後、シベリアに抑留された日本兵(二宮和也)は、過酷な9年間の強制収容所で、妻や子供に会うことを願いながら、死んでしまう。 過酷な捕虜生活の日々を、希望を持って支え合った仲間が、協力して彼の遺書を家族に届けるという映画。 原作は辺見じゅんのノンフィクション「ラーゲリから来た遺書」。 実話と言うことで、抑留されている夫も、満州から…