ノンフィクション作家、歌人。1939年生まれ。 角川書店創設者・角川源義の娘。角川春樹・角川歴彦兄弟の姉。
富山県出身、早稲田大学仏文学科卒業。幼少より父・角川源義の影響を受け、短歌など文学に親しむ。 昭和59年『男たちの大和』で新田次郎文学賞受賞。昭和63年『闇の祝祭』で現代短歌女流賞受賞。 『収容所から来た遺書』は、平成元年に講談社ノンフィクション賞、平成2年に大宅壮一ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。 2011年9月21日、死去。
収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)
決定版 男たちの大和〈上〉 (ハルキ文庫)
決定版 男たちの大和〈下〉 (ハルキ文庫)
『ラーゲリより愛を込めて』 2023年3月11日、下高井戸シネマにて鑑賞。 見応えについては、邦画としては十二分。お薦めの作品である。 『永遠の0』と雰囲気がよく似ていると感じた。後で知ったことだが、担当したシナリオライターが同じで、林民夫さんによる脚本とのこと。ネタバレを避けながら表現することが難しいが、『ラーゲリ』の〇〇ローグと『0』の〇〇ローグが類似のパターンであり、かつ対照的でもある。そして、『ラーゲリ』の終盤と『0』のそれとを比べると『ラーゲリ』のほうが格段に正当で、圧倒的に素晴らしい。ただし、(これもネタバレを避けながらの表現だが)〇者〇様の訪問シーンはストレート過ぎて先が読めてし…
封切り二日目。 席数110の【SCREEN2】はほぼほぼ満員の盛況。 冒頭、「事実を基にした物語り」であるとの提示が。 原作は『辺見じゅん』による〔収容所(ラーゲリ)から来た遺書〕で「大宅賞」と「講談社ノンフィクション賞」のダブル受賞と聞く。 映画化にあたってのタイトル変更はそのままだと主人公が帰国できるかもとの、サスペンスの一つの可能性を潰してしまうことからこれはある種の見識であると思われ。 自分達の世代に照らし合わせれば、小学校の教師に一人シベリアの抑留者が、また実際に戦地に赴いた人も一人居た。 肉親でも、叔父は「満蒙開拓」に行っていたし、父親は軍属ではないものの南方に派遣されていた。 現…
おすすめしている人がいて、ちょっと興味を引いたので、図書館で借りてみた。 終戦後、ソ連軍に捕捉され、シベリアに抑留された日本人が60万人もいた。 その事実を、歴史上の出来事としてではなく、こういったノンフィクションとして読むのは、かなりしんどかった。 山本幡男氏は、満州鉄道調査部に勤務から召集され、ハルピン特務機関で終戦を迎え、ソ連軍によって抑留された。 厳しい収容所生活の中での文化活動、アムール句会、そして彼の遺書を家族に届けようと分担して暗記し帰国する仲間たち。 重い内容で、途中、何度か諦めようかとも思ったが、なんとか読み通すことができた。 ところで、ノンフィクションというものは、事実の記…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 辺見じゅん bokutachi.hatenadiary.jp 赤紙の父帰りくる野の列車ただしんしんと暑き夕ぐれ ねむりうすき父の呑みつぐ錠剤のかがやくほとりわれも眠らな 辺見じゅん、というと、『男たちの大和』の作者としては知っていましたが、歌人としては知りませんでした。 解説にもあるのですが、家族の歌が多いです。特に父の歌が多く、実父は角川書店創業者・角川源義だそうです。 おとうとは母を知らねば六月の海に出でゆく鳥の翼よ 甲虫を死なせてゐたるおとうとの茜したたる夕暮れの耳 おとうとの歌も散見されま…
血圧値 107/71/77 酸素飽和度 98% 体温 36.5℃ 体重 69.0キロ せっかくの桜の季節ですが、毎日のように雨ですね。 今日はちょっと出かける用事がありますが、こんな日は家でゆっくり本でも読むのが良いんでしょうね! 「読書室」なんだから、たまには本の話題を書かなくちゃ。 それもミステリーとか。 わくわくして読めるし、ついつい時間を忘れます。 ミステリー=「推理小説」を定義します。 「推理小説」とは: 「読ませる機械」です。本は読まれてこそなんぼ、です。 上手に書かれていれば、どんなに分量が多くても、複雑・難解なテーマでも、普通に書いたらなかなか読みにくい重厚な内容でも、すらすら…
収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)作者:じゅん, 辺見文藝春秋Amazon辺見じゅんの著作である。 「ラーゲリより愛を込めて」という映画の原作がこれらしい。 Amazonのaudibleで聴くことができる作品になっていたからaudible会員ってことになっているので、無料で聴くことができるんだというので落としてある。風呂に入っている時にbluetoothで飛ばして小さなスピーカーで聴いている。 風呂に入っている間だけ聞くのだから、なかなか先へは進まない。なにしろ全部聞くと8時間になるらしい。 読んでいるのは俳優さんらしいが、声の使い分けは誰がディレクションしているのか知らないが、本当…
先日のキネ旬シアターは『ラーゲリより愛を込めて』でした。 原作:辺見じゅん『収容所から来た遺書』 監督:瀬々敬久 出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、寺尾聡、安田顕 製作:2022年 日本 第二次世界大戦後、シベリアに抑留され、強制収容所(ラーゲリ)で死んだ山本幡男の遺書を彼の仲間たちが、驚くべき方法で日本に持ち帰り、遺族に届けた、という実話です。 この映画の原作は随分昔に読んだ記憶がありました。ほとんど忘れかけていましたが、この映画によって蘇りました。確かテレビドラマにもなったと記憶しています。 私の義父がシベリア抑留からの帰国者で、酒を飲むとよく当時の話をしていました。面白おかしく話をする…
2022年出版市場(紙+電子)はコミックが書籍を逆転、占有率はコミック41.52%:書籍40.97%:雑誌17.51%に ~ 出版科学研究所調査より https://hon.jp/news/1.0/0/39390 「いい作品ではなく売れる作品だけが出版される」そんな世の中でいいのか…ある小説家がこの10年でなめた辛酸 https://president.jp/articles/-/66662?page=1 『Kindle Unlimited』が3カ月199円!新生活キャンペーンが開催中 https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/sale…
おはようございます。Reikoです。 「ラーゲリより愛を込めて」 (出典: 映画『ラーゲリより愛を込めて』公式サイト) ついに、観てきました。 嵐の二宮くんが出演していることもあり、気になってはいたものの、ずっと残業が続いていたことを言い訳に観るのを後回しにしていました。そんな時「日本人なら、絶対に観るべき。」と友人に言われ、ついにレイトショーで観にいってきました。 久しぶりの新宿バルト9。新宿駅東南口をまっすぐ進み、新宿三丁目駅の周辺。一昨年のクリスマスに、呪術廻戦をミッドナイトショーで観に行ったきりです(笑) その日、席を予約したのは私が一番だったようで、どの席でも選び放題でした。いつもな…
・広坂朋信『東京怪談ディテクション――都市伝説の現場検証』 この本は2016年8月30日付「広坂朋信『東京怪談ディテクション』(1)」に述べたように、典拠を明示した怪談検証本として前々から本格的に取り上げるつもりだったが、その典拠が明示してある=典拠と引き比べて見ないといけない点が逆にネックになって、結局、2017年4月11日付「お茶あがれ地蔵(2)」に述べた「内容の細目と、引用文献の索引を作成する」と云う、最低限の基礎的作業も未だ済ませないままになっている。そして、2017年4月13日付「お茶あがれ地蔵(3)」以来取り上げることもないままとなっていた。 今、図書館利用の手控えを検するに、20…
映画『ラーゲリより愛を込めて』公式サイト 見てきました。 youtu.be 開始10分ぐらいでもう泣かされました。 映画を見終わって 山本幡男さんが天国で安らかに過ごされていればと・・・ 見てよかったです。 原作を読んでみたいと思い、図書館の本さがしてみたら 30人も予約が入ってた。 順番まわってくるまで待てるかな・・・? ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉 [ 辺見 じゅん ]価格: 1100 円楽天で詳細を見る
非日常を感じること間違いなしの”秘境”と温泉地の特別企画です。 1989年平成元年にJTBが雑誌「旅」の9月号が創刊750号目を迎えるのを記念して開いたシンポジウムにおいて、岡田喜秋、C・W・ニコル、立松和平、辺見じゅん、椎名誠によって、「いま 日本の秘境100選」として選定されたもの。-出典:ウィキペディア ">調べた限り、公式のサイトは見当たりませんでした。取り上げている秘境のエリアに誤りがあるかもしれませんので、予めご了承ください。 今回は西日本編です。 島根|玉造温泉(にっぽんの温泉100選2021:16位) 島根半島北岸 岐阜|飛騨高山温泉(同26位)長野|扉温泉(同84位) 野麦峠…
非日常を感じること間違いない”秘境”の特別企画です。 1989年平成元年にJTBが雑誌「旅」の9月号が創刊750号目を迎えるのを記念して開いたシンポジウムにおいて、岡田喜秋、C・W・ニコル、立松和平、辺見じゅん、椎名誠によって、「いま 日本の秘境100選」として選定されたもの。-出典:ウィキペディア 調べた限り、公式のサイトは見当たりませんでした。取り上げている秘境のエリアに誤りがあるかもしれませんので、予めご了承ください。 今回は東日本編です。人気温泉地と同じエリア(市)にある秘境を取り上げています。 秋田|乳頭温泉郷(にっぽんの温泉100選2021:14位)・玉川温泉(同59位) 八幡平・…
この父ありて 娘たちの歳月:梯久美子著のレビューです。 ☞読書ポイント 感想:娘たちの作品に潜む父親の影 りすさんからのnext本 ☞読書ポイント 名作を残した9人の「書く女たち」。彼女たちはどんな家庭環境で育ったのか。そして父親にとの関係はどうだったのか。生い立ちを知ることによって、彼女たちの作品に触れたくもなる1冊。名前は知っているけど....という作家が多い。 感想:娘たちの作品に潜む父親の影 この父ありて 娘たちの歳月 梯さんの本を久しぶりに読みたくて調べていて見つけた一冊。どんな親子関係が取り上げられているのかは見ないで読み始めた。想像では、森鴎外と森茉莉のような、ちょとこってりめの…
映画館でラーゲリより愛を込めてを見ました。 何年かぶりの映画館。 やっぱり映画館で見る映画いいですね! 音と迫力が家と見るのと違うし、映画の世界により入り込めます。 あらすじは、第2次世界大戦が終結した1945年。シベリアの強制収容所では、 ソ連の捕虜となった山本ら多くの日本軍兵士たちが収容されていた。 わずかな食料しか与えられず、-40度という過酷な状況下で重労働を強いられる彼らに山本は、「生きる希望を捨ててはいけません。帰国の日は必ずやってきます」と訴え続ける。8年後、山本のもとに妻からのハガキが届き、帰国の日が近いと感じる山本だったが、その体は病にむしばまれていた。 この映画は、初めは見…
『この父ありて 娘たちの歳月』(梯久美子著 を読みました。どうしてもノンフィクションに引きこまれてしまいます。名作を生んだ9人の女性作家、書かれた方も女性です。 books.bunshun.jp 拙いことかもしれませんが、わたしは性に拘って本を選んでいるわけではないのですが、本の方が馴染んできてくれるように身体的な感性が強く働いてしまうのです。 顕されている9人の方の歴史、地域、大きくは階層、出会いが異なります。しかし、それがぞれに父親と繋がっています。その上であのように強くそして深遠な作品を生んでいった作者に今更の驚きを感じました。 自分の階層からして石垣りん、萩原葉子、石牟礼道子などは少し…
昨日取り上げた柴田隆行 編集兼発行「片倉の自然」及びその臨時増刊号「絹の道―歴史と自然―」から、道了堂に関する記述を抜いて置こう。但し昨年12月に僅かな時間に取ったメモに基づいているので、誤りがあるかも知れない。かつ、もう少し他の項目についても注意を払っておくべきだったと思うのだが、差当り今手許にあるメモを記事にして置くこととし、校正・補足の機会を得たいと思う。 ・「片倉の自然」創刊号 13~14頁「絹の道 郷土史シリーズ2」と題して(最初の3字の下に二重線、そこからシリーズ名の下まで一重線)まづ13頁に絹の道の説明、14頁は道了堂、鑓水停車場、石垣お大尽、道標「八王子道」、永泉寺を取り上げて…
もう、「泣かせの瀬々」と呼んでもいいのではないか。劇場内はすすり上げる音が響く、ラスト数十分。だからこそ、賛否両論に分かれる本作だ。否定論者曰く開戦に至る経過が描かれていない、曰く日本人が被害者としてしか描かれていない、曰く北川景子に生活苦が感じられず美しすぎる、曰くお涙頂戴……云々。 わたしの知り合いにシベリア帰りの労組幹部が居た。馬場新一というその人は90歳を過ぎても矍鑠(かくしゃく)として、わたしに会うたびに「一杯飲みにいこ、谷合さんと飲みたいねん」と言っていた。孫のような世代のわたしに伝えたいことがたくさんあったのだろうと今にして思う。もちろん何度も一緒に複数人で飲んだことはある。しか…