『今夜、世界からこの恋が消えても』|記憶と恋が交差する、静かで深い傑作 2度、視聴した。 『今夜、世界からこの恋が消えても』 ふと、『博士の愛した数式』を思い出す。原作は読んだし、映画も観た。──映画のほうはイマイチだったけれども。 この映画『今夜、世界からこの恋が消えても』は、簡単に言えば、それを恋愛に転換したようなもの。……なのだけれど、その一言では語り尽くせない。 ありがちな“記憶障害をテーマにした恋愛映画”なのだろうと、最初は期待していなかった。映画紹介の概要から想像したストーリーも、まぁ『私の頭の中の消しゴム』的な話なのだろうと。 しかし違ったのだ。 物語はもっと複雑に、緻密に編み込…