ファミコン 中学生になった俺の世界は、部活とファミコンでできていた 小学校の空き地がなくなった代わりに、中学では体育館と部室が俺のフィールドになった。部活を始めた——バスケ部だった。先輩は怖くて、練習はキツくて、でも、なんかやりがいがあった。汗をかいて、声を出して、仲間と走る。そんな毎日の中で、少しずつ「勝ちたい」と思うようになっていった。 汗の匂いが「青春」だった頃 冬の体育館の冷たさも、夏の照り返しも、今よりずっと鮮烈に覚えている。スポーツドリンクをみんなで回し飲みしたり、ユニフォームの洗濯を押し付けあったり、たわいないやりとりのすべてが、大事な何かだった気がする。 勝っても負けても、俺た…