1937年、東京都生まれ。文芸評論家、国文学者。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。 ハーバード大学イエンキン研究所客員研究員、プリンストン大学客員教授を歴任。神戸大学名誉教授。
著書『江戸文学の詩と真実』(中央公論社)、『江戸文林切絵図』(冬樹社)など。『「源氏物語」を江戸から読む』で芸術選奨、『江戸の歴史家』でサントリー学芸賞、『江戸の兵学思想』で和辻哲郎文化賞。
敵討 (新潮文庫) 著者 : 吉村昭 新潮社 発売日 : 2003-11-28 ブクログでレビューを見る» 吉村昭の中篇時代小説集『敵討』を読みました。吉村昭の作品を読むのは、6年半くらい前に読了した『破獄』以来なので久しぶりですね。-----story-------------賞賛された美風が、明治には殺人罪に……ドラマチックな敵討を描く歴史中篇二篇。美しき犯罪。惨殺された父母の仇を討つ――しかし、ときは明治時代。美風として賞賛された敵討は、一転して殺人罪とされるようになっていた……新時代を迎えた日本人の複雑な心情を描く「最後の仇討」。父と伯父を殺した男は、権勢を誇る幕臣の手先として暗躍して…
言葉はたしかに、天空を翔けた。 画像でも動画でもなく、音声でもない、純然たる言葉だけによる造形世界ということについて、しきりと考えた時期があった。詩ではなく、散文を材料にして考えた。 高校生時分には、萩原朔太郎と中原中也に惹かれた時期があったし、生意気に鮎川信夫や田村隆一を読んだりもしていたのだったが、詩はもういいや、という料簡になっていた。純然かつ本質的とは感じたものの、形式の限界があって、容量が足りないと思ってしまったのだった。 まだ西洋の長篇詩という形式を知らなかった。ホメロスもダンテも読んだことがなかったのだ。 やがて言葉による造形も、つまるところは人の姿と動きの表現であり、色であり形…
本居宣長 「もののあはれ」と「日本」の発見先崎彰容(さきざきあきなか)新潮選書2024年5月20日 小林秀雄の『本居宣長』を難儀しながら読んでいるときに、参考になるといって教えていただいた一冊。比較的新しい本だけれど、図書館で検索したら出てきたので借りて読んでみた。 ちょうど、昨日の日経新聞の書評でも紹介されていた。記事に書かれていた理解と、私の理解はちょっと違うかもしれないけれど、たしかに良書。 著者の先崎彰容さんは、1975年、 東京都生まれ。 東京大学文学部倫理学科卒。東北大学大学院文学研究科博士課程を修了、フランス 社会科学高等研究員に留学。現在、 日本大学危機管理学部教授。 専門は、…
まず指が思い出される。 ゼミナールで学生の拙い発表を聞くと、組み合わせた掌の上で蜘蛛が標的に近づくようにうねうねと絡み合いはじめる。それが視界の端に映り込んで動揺し、うっかり目が合うと、いけずな、小憎たらしいにやにや笑いが待っている。 あるいは酒場。セブンスターを操るかバーボンのグラスを揺すってるか以外のときは、間断なく野放図な蠕動を続けている。あ、ママさんの手を握ってるときも除く。なんとなくほっとしてグラスをとった途端にあの長い人差し指がぴいんとそりながら指しつけられ、辛辣な一言がそのあとに来るのだ。 深夜のバーからそのままこちらの下宿に押しかけられたこともある。この時の人差し指は殊の外おそ…