訓読 >>> 山吹(やまぶき)の咲きたる野辺(のへ)のつぼすみれこの春の雨に盛りなりけり 要旨 >>> 山吹の咲いている野辺のツボスミレが、この春雨の中で、たくさん咲いています。 鑑賞 >>> 高田女王(たかたのおおきみ)の歌。高田女王は、天武天皇の曾孫である高安王の娘で、長皇子の曾孫。叔父の今城王(いまきのおおきみ)に贈った歌が、巻第4-537~542に載っています。『万葉集』には7首。 「つぼすみれ」は、スミレ科の多年草。草丈が人の足首から脛ほどで、長く茎を出し、白くて小さな花をつけますが、あまり目立ちません。庭(坪)に生えていることから、この名がつきました。別名ニョイスミレともいいます。…