中原中也(1907-1937) 幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました ・・・・・・ サーカス小屋は高い梁 そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ ・・・・・・・ ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん(「サーカス」) およそ百年経った今も、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」と聴けば、バネで弾かれたように、「中原中也!」と叫ばざるをえない。 凄まじい擬音語の発明だ。こんな擬音語を、生涯にひとつでもいいから自分も発明してみたいと、いく千いく万の詩人の卵たちが念じたことだろうか。憧れたことだろうか。成功した例を、寡聞にして私は知らない。文字どおり死屍…