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はやく仕事しろ>俺

2014-12-11

最高裁判決を受けて原告、弁護団のコメント

16:42 | 最高裁判決を受けて原告、弁護団のコメントを含むブックマーク

2010年9月に裁判がはじまった朝鮮学校嫌がらせ裁判最高裁判決が今年度12月9日付けで出された。

被告在特会など側の上告却下である。これにより大阪高裁判決が確定した。

確定した判決は以下。

薔薇、または陽だまりの猫」さんより。

http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/7e81a3afc7dce2827aeda19a7be2553e

高裁判決を分かり易く解説したものは以下。

在特会らによる朝鮮学校に対する襲撃事件裁判を支援する会(こるむ)作成」

https://drive.google.com/folderview?id=0B60d_nhxt-QfajloR24wNEVHLUk&usp=sharing


さて、この高裁判決が出た後、9月12日付けで被告在特会など側から上告受理申立理由書及び上告理由書が出されていた。この上告書が出されたわずか三か月もないうちの最高裁判決というのは、単純に「言うまでもない」という事だったのだろう。

詳しくは長くなるので割愛するが、被告らの上告の理由は人種差別撤廃条約に関する憲法解釈と被告らの行いはあくまで「政治的主張」だとするもので、何を言わんかなというものだった。

この一連の朝鮮学校襲撃事件の映像を見るだけで、この事件がヘイトクライムそのものであり人種差別である事は一目瞭然ではないか。そして、こんな判りやすい事件で人種差別認定が出なければこれは司法の危機であり国家の危機だとさえ言える。

しかし、一方で、この当然すぎるほど当然な判決を求めるのに5年以上の月日がかかり、その間、加害者らがずっと被害当事者らを疲弊させ苦しめ続けている現状とは何だろうと怒りを覚える。



以下、判決を受けての原告らのコメント。

学校法人京都朝鮮学園

最高裁決定を受けてのコメント

2014.12.10

京都地裁司法記者クラブ報道機関 各位

このたび、最高裁決定により高裁判決が維持されたことについて、在日朝鮮人の民族教育の実践と、そこで学ぶ子どもたちの安全を守ろうとする日本司法の毅然とした態度の表れとして歓迎いたします。

在日朝鮮人の70 年に及ぼうとする民族教育の歴史において、今回の判決は極めて大きな意義があります。歴史をふり返りますと、日本の公権は、今まで私たちの民族教育権を否定し続け、民族学校弾圧し続けてきました。それゆえ、地裁の審理に始まる今回の裁判手続で、公権の一翼を担う裁判官たちが、公平な立場から、民族教育の実践に関する膨大な証拠資料を検討し、法廷証言を通して父母や教員たちの強い思いに触れたこと、 さらには、慎重な審理を経た結論として、在日朝鮮人が民族教育を行う利益を正当なものと認め、日本の法の下で保護される対象と判断したことは、私たちにとってはもちろんのこと、日本社会の歴史の上でも画期的な一歩であると評価しております。これから、京都のみならず全国において、朝鮮学校を守り、発展させる運動において重要な足がかりとなることが期待されます。

2009 年12 月から今日まで、私たち当事者にとっては、司法手続に対する期待と不安が交差する5 年の長い時が過ぎました。本件の一番の被害者は、学ぶ権利が侵された子どもたちです。子どもたちの明るい笑顔を取り戻すために、私たちは努めてまいりました。

今日、日本のみならず世界各国において、社会に横行するヘイトクライムヘイトスピーチに警鐘を鳴らす運動が広がりを見せています。私たちは、今回の最高裁判断を契機に、日本全国の朝鮮学校に通う児童・生徒が、朝鮮人の民族的誇りを育み、また社会の一員としての自覚を持った人材として成長していく学習環境を守っていくため、今まで以上に努力していく所存です。

在日朝鮮人に対する差別や偏見が根強くある中、正しい裁きをしてくださった裁判官たちに謝意と敬意を表します。

また、この間、子どもたちにあたたかく寄り添い、私たちの運動を力強く支援してくださった多くの皆さんに、心から感謝いたします。

以上




京都朝鮮第一初級学校威力業務妨害事件

2014.12.10

学校法人京都朝鮮学園弁護団コメント

今般、最高裁決定により判決が確定したことは、京都の学校のみならず、日本全国の朝鮮学校で、明るく元気に学んでいる子どもたちの安心につながる。大阪高裁判決は、単に差別街宣の悪質性を論じるのみならず、民族教育を受ける利益の重要性にも言及し、差別に屈せず民族教育の充実に尽力している教職員、父母、その他関係者のみなさんを勇気づけてきた。今般、最高裁においても高裁判決が維持され確定したことは、大きな社会的意義を有するものである。

約5年の長きにわたる司法手続のなかで、父母や教員など学校当事者が大きな犠牲を払って、ようやく獲得された司法判断であることを忘れてはならない。動画上映によって事件当時の絶望感を思いだし、自らの心の傷を証言する辛さを感じ、そして、法廷においてさえも無反省な被告らのヘイトスピーチに晒され続ける二次被害を受け続けながらも、民族教育を守る一心で団結し、覚悟と決意により勝ち取られた高裁判決であった。

他方で、司法作用が、ヘイト被害からの回復に向けてできることには限界がある。ヘイト街宣がますます拡散・蔓延しつつある昨今、被害者は日本社会に対する不信を拭えず日々の安全に大きな不安に晒されているといえる。一連の司法判断は日本社会の姿勢を示すという観点で大きな一歩ではあるものの、被害救済として未だ十分とはいえない。今回の最高裁決定を受け、日本社会がヘイト街宣や差別の問題についてどのように対峙していくのか、私たち一人一人の行動が問われる段階となろう。また、本件の民事判決が注目を集めた背景には、これに先立つ刑事司法において、際だった機能不全があったことを忘れてはならない。警察の対応が被害の長期化、深刻化を招いたことについて、改めて十分な検証が行われる必要がある。

なお、「表現の自由」論については、最高裁判所も、被告らの「政治的表現であった」などとする弁明に惑わされることなく、人種差別という本件行為の本質を見据えた地裁高裁判決を維持したものであり、今後の同種ヘイト事案における審理にも先例として影響を与えていくものと評価する。

民族教育の実践への理解と、ヘイトクライム被害の深刻さへの理解は、民族的自尊心の保護というキーワードで共通し、コインの表裏の関係にある。京都地裁判決、大阪高裁判決については、人種差別撤廃条約の適用も含めて世論・報道機関の圧倒的支持を受け、法律学論文においても堅実な評価を得てきたものであるが、今回、最高裁においてもこの判断が維持されたことを受け、民族教育の取り組みを発展させ、人種差別を許さない社会を作っていく取り組みを一層加速させる効果が期待される。

以上



被害当事者らが当時そして最近までどのような被害を受けて、そして何を訴えているのかは「ルポ、朝鮮学校襲撃事件」に書かれているので一読をお勧めする。

「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」

http://urx2.nu/f75r



筆者がこの裁判で感じたのは、被告書面だけを読んだなら、それはそれは一見もっともらしく聞こえる言い訳の羅列だった。やれ政治的主張だ、やれ学校側に不始末があるから、やれ北朝鮮総連だ。しかし、そんなものは全てデマであったり詭弁であったり自己都合であったり妄想であったり、当然のように裁判において何一つ認められていない。

被告らの言い分は、裁判と言う検証の場に出れば実に惨めなものであった。

ところが、驚くべき事にネットにおいてもリアルにおいても、加害者らはその事実を認めようとしていないのが現状である。彼らは止まらないのだ。そして被害当事者らはずっと傷ついている。

最高裁判決が出たとしても、この社会が被害当事者の痛みをなおざりにする限りこの国のヘイトクライムはなくなるどころか拡大していうとする予兆さえ感じる。

この判決が出る直前の12月7日京都にて、加害当事者(本裁判被告らも含む)らと呼べる人々が「勧進橋児童公園奪還行動5周年」なるデモが行われた。

警察は、司法による断罪を受けた事件の流れを組むこのヘイトクライムの蛮行をくい止める事はできなかった。そう、それは5年前の12月7日、小学校の校門前で犯罪行為を見ているだけの存在だった事を思い出す。

判決の重要な点の一つは、こんなものは「表現の自由ではない」であり、あれは犯罪行為だと明確に述べている事だ。今後、これを行政、警察が現行法の犯罪として対処できなければ、ヘイトスピーチ規制法を生むしかない。

この最高裁判決の意義を生かすも殺すも、まさにこれからだ。

rawan60rawan60 2014/12/15 18:33 >この当然すぎるほど当然な判決を求めるのに5年以上の月日がかかり、その間、加害者らがずっと被害当事者らを疲弊させ苦しめ続けている現状とは何だろうと怒りを覚える。

それほどに日本社会は人種、民族差別に鈍感であるということですね。
また、この判決を受けてもなお、これら団体の差別デモや集会を安易に許可、提供する警察や自治体は、自国の最高裁判決を拒否し、ヘイト犯罪の加担者としての誹りを免れない覚悟をしてもらわなければなりませんね。

arama000arama000 2014/12/15 19:10 まったくです。
警察など対応は「表現の自由」があるからと、在特会などの街宣許可を与え続けています。
前回、高裁判決で確定したのはこの一連の事件で繰り返されたヘイトは「表現の自由ではない、保護されない」です。ところが直近の12月7日の在特会などの「5周年記念」なるヘイトデモに許可を与えているのが現状です。
今回、最高裁で確定されたものを、民事だから拘束力をもたせないではなく「犯罪」であるとの認識をもって対応すべきだと思います、
あと、驚いたのは在特会広報のツイッターで以下のものがありました。

「京都裁判の判決内容を論評していただくのは自由です。しかし賠償命令は「人種差別」を理由としていません。あまりにも「人種差別に対する賠償命令」というデマが横行し、中には著名な方もいるようで、じつに困ったものです。現在法的措置も含めた対策を関係者と協議中です。」
https://twitter.com/chomechomesuru/status/543731061344059392

これ公式ですから。これで在特会は「判決文を読んでない」という事が判ります。というか新聞報道さえ読んでないのでしょうね。
こんな連中が、事件を繰り返すのでしょうね。
これをくい止められるのか、まさに社会が問われていると思います。

rawan60rawan60 2014/12/16 17:36 まあ、差別主義犯罪集団が自分の犯罪を正当化するという、いかにも反省のないレイシスズムらしい「公式見解」というところでしょうね。

それだけに、官憲、公人、自治体への批判がより重要になるでしょうね。

arama000arama000 2014/12/17 17:29 ですね。まずはそこであり、社会ですね。

カンジカンジ 2015/03/12 03:55 朝鮮学校から話は逸れますが、今KKnanking氏がツイッターで南京事件について論争しておられます。で、論争相手はjipangbitoとかSmsVf29とかいう奴らなんですが、本当にクソすぎて呆れます。
ああいうのを見ると、「歴史修正的な言論を違法化すべき」という考えに傾いてしまいます。

arama000arama000 2015/03/12 15:07 南京事件では本当に何回も繰り返して見る光景でご苦労様ですと頭が下がる思いです。
政府に否定され、国際的も否定され、一部連中のみの南京事件否定論のゾンビ度は、歴史修正主義者の悪質さの象徴的なものを感じます。
ナチスドイツの犯罪を明確に否定したドイツから先ごろメルケル首相が来日しましたね。歴史に向き合うメッセージを発したメルケル氏はあれで右派なんですね。日本の現状をみるに溜息がでます。

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2014-07-08

高裁判決傍聴記

00:02 | 高裁判決傍聴記を含むブックマーク

7月8日、朝鮮学校嫌がらせ裁判を傍聴してきました。

本日は高裁判決が出る日という事もあり、裁判所正面入口には学校支援者200人程がおりました。

裁判所の指定により裁判所西入口より入場の在特会側は周辺も含めて約30名程であったと報告があった。在特会自称桜井会長は50名とか言っているが、さば読みですよといっときたい。

今回の法廷である202号法廷の席数からしたら約2倍の競争率であったが、なんとかもぐりこみ、席に陣取る。

在特会側とされる席を見ると6名がおり、何故かその席の後ろは公安が4名が座る。記者が10名ほどで、あと残りはほとんどが学校支援者と思われる。

法廷風景は、学校弁護団らが何時ものように10名ほど、在特会等側は何時もの八木氏と徳永弁護士以外にこの日、在特会会長の自称桜井氏が来ていた。

裁判長入場まで、その自称桜井氏を見ていたが、ほとんど傍聴席を見る事はなかった。

今回、高裁判決を迎えるにあたり、在特会側の控訴理由書も読んでみたが、新事実もなく、正直、一審において在特会側が持ち出していた「表現の自由」と「政治的主張もある」の焼き直しとしか思えなかった。

よって、高裁判決は前回エントリーで書いたように

「この控訴審における在特会等の陳述と一回結審を見る限り在特会等の訴えを組むものとは考えられない。判決の構図は、どこまでいっても高裁による原審判決の精査というものになると思われる」で間違っていないと考える。

その意味で、判決が出るまでドキドキですよ。


裁判長らが入場し、マスコミの撮影が2分入る。この2分なんか長いなと感じていたとこで撮影が終了。

すぐに裁判長が、事件番号を読み上げ、判決が響き渡る。


「本件、各控訴棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」


うおっ、やった。傍聴席がざわめく。


判決は長文になるので省略します」


すると、在特会側席後ろのほうから女性のかな切り声が響きあっけにとられた。


「日本の司法も終わったね。腰抜けばっかり」「朝鮮人におもねって。恥を知れ、恥を。」


見れば現代撫子倶楽部中谷良子氏であった。

それをとがめる声が入る。彼女はそこにむかって言い放つ。


「うっさい、朝鮮人。拉致実行犯やないか、あんたら、ニッポンから出ていきいや」


彼女は裁判所職員により表に連れ出されていく。

その間も彼女のかな切り声が響く。


「ニッポンから出ていけー」


何が起こったのかしばらく茫然としていた。

判決は、完勝と言えるものであった。

しかし、その判決が下された法廷のその場でヘイトスピーチこだましていた。


あほうが一人騒いだだけで、判決がひっくり返るはずがない。当然だ。

しかし、一人のあほうが発するヘイトスピーチでも人を殺す事はできる。

これは象徴的な出来事なのだろうか。

原告の訴えが実った喜びと、少しのやりきれなさとをかみしめながら支援者集会に向かった。




以下、

控訴審弁護団コメント 

判決文(マスキング済)

理事長・控訴審コメント 

https://drive.google.com/folderview?id=0ByANmUwyq0NVQW1DRVFrOXF6Ums&usp=sh


判決感想は後日。

rawan60rawan60 2014/07/09 07:48 いつもお疲れです。

>これは象徴的な出来事なのだろうか。

彼(彼女)らが、そもそも法的正当性や犯罪性の有無を争う意思などないということが露呈している言動ですね。レイシストはレイシストであり、レイシズムこそ「絶対不可侵」なものであるというところでしょうか。

今回の判決では追記項目として民族教育の意義についても触れていることは評価できますね。

一点だけ、「在特会側の上告理由書も読んでみたが、」の部分、「上告」ではなく「控訴」または「上訴」ですね。

ponpon 2014/07/09 10:17 お疲れ様でした。レポートありがとうございます。
当たり前の判決が当たり前に出たということで、
まずは素直に喜びたいと思います。
昔、渋谷陽一が何かの本で「頭が悪いのは犯罪なのか。そうなのだ、馬鹿は犯罪的なのだ」と書いていましたが、
その意味がよく分かる連中ですね、まったく。

arama000arama000 2014/07/09 16:33 rawan60さんへ

>彼(彼女)らが、そもそも法的正当性や犯罪性の有無を争う意思などないとい
>うことが露呈している言動ですね。レイシストはレイシストであり、レイシズ
>ムこそ「絶対不可侵」なものであるというところでしょうか。

もう、その通りとしか言いようがありませんね。
何がレイシストとされるのかがまったく理解できない「自らの信念」に従っているのでしょう。

正直、民族教育の件は驚きました。いやいやこれが高裁判決で出てくるとは。これも画期的ですね。

間違いのご指摘ありがとうございました。訂正させていただきました。


ponさんへ

>当たり前の判決が当たり前に出たということで、
>まずは素直に喜びたいと思います。
ですね、これは強い私も思うとこです。
動画を見れば一目瞭然、これほどわかりやすい事件で駄目なら何をやっても駄目と思われます。

>昔、渋谷陽一が何かの本で「頭が悪いのは犯罪なのか。そうなのだ、馬鹿は犯罪
>的なのだ」と書いていましたが、
いや、なかなか言いにくいですが、馬鹿という意味が「排外的妄想癖」をさすならば、まさにそうなんだよな、と思わずにはいられません。

ブラウブラウ 2014/07/13 18:37 >見れば現代撫子倶楽部中谷良子氏であった

もう記憶も定かではありませんが、この人は以前チー関メンバーが次々パクられ裁判にかけられていった時、自称桜井だのおつるだのからあっさり切断処理されてたような覚えがあるのですが。

そんな目にあっても、嫌韓だの行動保守界隈から完全に足を洗うことはできないんですね。
ここまでくると、日頃のむしゃくしゃをてっとり早く解消できる「麻薬」なのだろうなと…。

arama000arama000 2014/07/14 21:27 ブラウさんへ

なんなんでしょうね。自称桜井と何時どんなふうに和解したのかはわかりませんが、彼女にとって「ニッポンのために」そうなったのでしょうね。
完全に間違ってますが。

ちなみに、彼女はかっての「チーム関西四天王(暴走族かい・・)」西村斉、荒巻、中谷辰一郎は称えますが、川東だけはのけ者にしています。
まあ、わかりやすい「ニッポンのため」です。

2014-03-31

朝鮮学校嫌がらせ事件裁判控訴審

09:06 | 朝鮮学校嫌がらせ事件裁判控訴審を含むブックマーク

最初に、正直に告白します。今回の裁判は、前日まで、京都地方裁判所でやるものと思いこんでいた私です。危なかったです。皆には内緒にしといてください。



3月25日大阪高等裁判所にて京都朝鮮学校嫌がらせ事件控訴審裁判が執り行われた。

この日は、傍聴券を求めて早めに裁判所に着いたが、傍聴券抽選前のはやい時間から警察が警備の打ち合わせと配置で動き回っていた。しか警察だけではない、多くの裁判所職員が所内に出張って警備にあたっていた。

これら物々しい警備は、昨今の在特会を始めとした「排外主義グループ」関連の「トラブル防止」を念頭においたものと思われる。

そんな中、事前に決められていた場所での傍聴券抽選並んだのは、学校支援者側が最終的に180名ほど。在特会側は10名ほどいたと聞いた。

法廷席は75名と聞いていたので、倍率2倍以上となったが当たり。ここまでくると、どんだけクジ運がいいんだとうっとりする。


法廷に入り見渡すと、在特会等側の一人は確認したが他はわからず。傍聴席のほとんどは学校支援者と思われる。また控訴人席には、徳永弁護士在特会副会長八木氏と控訴人の一人である中谷氏がおり、学校側は何時もの弁護団が座っていた。

なお、この控訴審では、在特会等側が控訴したことで、本来は、在特会等側を控訴人、控訴側と呼び、学校側を被控訴人、被控訴側と呼ぶが、ややこしいのでそのまま「在特会等側」「学校側」と呼ぶことにする。

裁判官入場で、さっそく確認が始まる。

在特会等側は上申書、控訴理由書、準備書面が出されており、学校側はそれら反論書面となる「控訴答弁書」とそれぞれの書証が出されていた。

そして、双方が陳述を求め、裁判長より10分以内の陳述がされる事になった。

まずは在特会等側の陳述であるが、冒頭から「一審判決ヘイトスピーチの抑止を目指した画期的な判決と言われるが、判決理由ヘイトスピーチにふれたとこはない」と徳永弁護士が述べたとこから始まりひっくり返った。前に在特会会長自称桜井氏が生放送で語っていたのが「一審判決にはヘイトスピーチと書いてないからヘイトスピーチじゃない」という「ガキの言い訳」と同じ言い回しだったからだ。ただ、徳永弁護士はこの後、人種差別撤廃条約立法を日本が留保しているところから、「原審判決懲罰的賠償」であるとして、それは日本の法制度では認められていないもので、日本の司法制度での「損害の回復としての被害補償」ではなく、アメリカなどのペナルティとしての損害賠償を認めたのだという主張を展開した。

しかし、その後、在特会等側が行ったヘイトクライムを「政治的主張であり公益目的であった」とする、原審判決で断罪された主張、細かく言えば「在日特権」などを始めとした、出鱈目、妄想、デマに基づく差別扇動行為を「政治的主張」とする論を展開。あげくに朝鮮半島情勢を持ち出し、それら嫌韓感情が差別意識とは別物だとし、在特会等側行為を安易に「差別行為」としてはならないとした。

聞いていて正直辟易とした。徳永弁護士のいう主張は、「レイシストの言い訳」そのものとしか思えない。

あの校門前で在特会等側が行った行為、発した言葉の何処に政治的主張と言えるものがあるのだろう。それらは在特会等側が自らネット上で拡散した映像により、その悍ましさは明確なものであり、幾多の証拠、証言に基づく原審判決で断罪されたものだ。それらを繰り返す呆れた主張は、法廷内でヘイトクライム隠蔽、過小化する意味でヘイトスピーチと言えるものである。

結局のとこ、在特会等側の陳述では、「懲罰的賠償」以外で目新しいものはなく、そして事件の新たな状況証拠、証言は何もなかった。

結局、10分以内と言いながら13分かかった在特会等側の陳述の後、学校側より朝鮮学園理事長による13分の陳述となった。

その陳述は、一審判決が「被告らが子どもたちのいる校舎に放った怒号や罵詈雑言は「表現の自由」などではく、朝鮮人に対する民族差別と判断された」事により安堵があった事を述べ、事件の経過として学校側は法と警察に事態を委ねたが、その警察が在特会等側の蛮行を止める事ができない消極的姿勢に期待は音を立てて崩れていく心情と、事件による学校側の被害状況、損害の重さを述べ「この判決(原審判決)があの12月の時点で既にあったならば、そして、こうした行為が明白に違法であることや、その人種差別の被害が深刻なものとなることの意味が警察組織にも理解されていたならば、警察官もあのときのような「寛容な対応」に終始するのではなく、子ども達を守る対応をしてくださったのではないか、とも思うのです」と切実な思いを訴えた。


双方が陳述を終えると、在特会等側の徳永弁護士より、学校側より出された「控訴答弁書」への反論を出すために、もう一回、期日の要求があったが、裁判長より「ご意見は受けたまりましたが既に充分議論がなされていると考えています」と一蹴され、朝鮮学校嫌がらせ事件控訴審は結審した。


控訴審判決がどのようなものとなるかについて予想はできるがあくまで予想である。ただ、この控訴審における在特会等の陳述と一回結審を見る限り在特会等の訴えを組むものとは考えられない。判決の構図は、どこまでいっても高裁による原審判決の精査というものになると思われる。

次回、判決は7月8日。



なお、以下は学校側より出された「控訴答弁書」の目次である。「第1 控訴理由書に対する反論」は在特会等側より提出された「控訴理由書」への項目ごとの反論となっており、「第2 被控訴人の主張・原判決の損害認定が適正であること」はそのまま一審判決が適正であるとの答弁書となっており、これらは全体で50ページに及ぶものとなっている。

第1 控訴理由書に対する反論

1 第1 懲罰的賠償、制裁的賠償について」に対する反論

無形損害の認定

人種差別撤廃条約「公正かつ適正な賠償」等の意義

小括

2「第2 人種差別撤廃条約と「留保」等について」に対する反論

「2 条約の自動執行性」について

「3 憲法の人権保障と人種差別撤廃条約の効力」について

「4 人種差別撤廃条約加入に際しての留保」について

「5 国籍による区別について」について

3「第3 威力業務妨害名誉毀損 〜控訴人M…」に対する反論

控訴人Mの主張

映像公開と示威行為との間には関連共同性が存在すること

現に、映像公開による業務妨害が生じていること

違法性阻却事由に関する主張について

4 「第4 差別的動機と「専ら公益を図る目的」に対する反論

判決の評価の妥当性

公益を図る目的ではないことを示唆する他の事情

5「第5 応酬言論の主張について」に対する反論

はじめに

板垣意見書 レイシズムの視点からの分析

6 「第6 差止めの可否について」に対する反論

判決控訴人N・Hらに対して差止請求を認めた理由

控訴人らの示威活動への動機は消滅していない

控訴人らによる示威活動のおそれ、常識を備えた一般平均人を想定をして判断してはならない

小括

第2 被控訴人の主張・原判決の損害認定が適正であること

1 はじめに

2 「無形損害」の判断要素

「無形損害」の判断要素

法人の「無形損害」と自然人の「慰謝料」の判断要素

3 原判決における損害認定が妥当であること

示威活動,よび映像公開,砲弔い

示威活動△よび映像公開△砲弔い

示威活動および映像公開について

4 人種差別撤廃条約と、人格的価値の保護の要請

はじめに

井上論文司法研修所論文において、人格権侵害の側面が重視されていること

人種差別撤廃条約の推進など

本件学校法人の人格的価値に対する毀損

人種差別ならではの特徴〜個人による提訴の困難性

5 控訴人らが得た利益を、無形損害の評価に反映すべきこと

6 慰謝料額算定の定型化の試みからの検討


以上。

rawan60rawan60 2014/04/05 02:32 いつもお疲れ様です。

>原審判決は懲罰的賠償

なにをほざいているんでしょうかね。
これ民事で人種差別であるとされたうえで名誉毀損が認定されたことによる賠償なのであって、スピーカー線切ったことの器物破損の賠償じゃないんですからね。

arama000arama000 2014/04/05 10:23 ありがとうございます。
おっしゃるとおりです。その名誉毀損であり、差別的言質には強い判決をというのは、既に「川東差別街宣事件」などで司法の流れはできております。
また、原審判決を読めば、被害者である朝鮮学校が事件後、多くの保護者、教員らによって、連中から子供たちを守るための「見守り」に膨大な時間と人員を要した事も、3回の連中のヘイト街宣、デモにより学校側がこれまた多大な労力をもって対応を迫られた事も書いてあり、実際かかった費用を加味したものであると考えられます。
高裁による独自判断はあったとしても、在特会等側の主張を組むというのはほとんどないと思われます。

rawan60rawan60 2014/04/05 18:19 いやまったくです。
「懲罰的賠償」だというのなら、その言動が不法であることを認めていなけりゃ主張は成立していないわけで、不法を認めるのら「政治主張であって差別じゃない」なんて言い訳は通用しないわけです。
賠償金が高くて困るのなら、朝鮮学校側に雁首そろえて「本当に申し訳ありませんでした。少しまけて下さい」と頭を下げてお願いでもしろって話ですよ。

7月8日には「控訴棄却」で答えてもらいたいですね。

arama000arama000 2014/04/05 19:32 まさにそうです。
加害者側が本来すべきは「被害者に対する誠意ある謝罪」であるべきで、それに立脚した弁護を行わねばならないはずです。
ところが在特会等は、当初から、裁判を舐めているとしか思えない、無理からな主張を延々としていたわけです。土台、映像にも残っているヘイトクライムそのものの行為を「政治的主張」と強弁するその態度に裁判官も何回呆れていたでしょうかね。で、結果、原審判決で慌てふためいているというのが在特会等側の姿と言えると思います。見苦しいとしか言いようがありません。
この控訴審でも、懲罰的賠償以外は一審と同じような主張・ロジックを展開しており、仮に起訴棄却になれば、もう言い抜けのネタがつきたと考えられます。「負けを認めない」彼らは傷口がどんどん広がっているのに気がつかないのでしょうかね。

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2013-10-11

朝鮮学校嫌がらせ裁判 判決 傍聴記

17:39 | 朝鮮学校嫌がらせ裁判 判決 傍聴記を含むブックマーク


10月7日判決。ついにこの日がやってまいりました。思い起こせば2010年9月に第一回口頭弁論がはじまり、あの時は、本当によくわからない状態でして、ただ、ネットで朝鮮学校襲撃の動画を見て、こいつらは何者だ?何故このような惨い事ができる?と疑問だらけでした。それは、それ以前、蕨市における許し難いデモから、所謂行動界隈というものとそれを支持するネット論調を読むにつれ絶望していた矢先の出来事でした。

当時の筆者の心境は、その絶望の中でも、ともかく連中を直接この目で見なければいけない焦燥感にかられたものでした。そして被害者である今の朝鮮学校とその父母らに出会います。

あれから丸3年。筆者にとって長い3年であり、あっという間の3年でした。筆者にとってそうなのだから、被害者である朝鮮学校、そしてその父母らにとっては当然それ以上の3年です。






判決の前日までそうでもなかったが、当日、朝、目が覚め何気なしにツイッターを見たら、原告弁護団の一人が「神さま・・」と呟いている。それ見ていきなりドキドキしはじめた。なんですか、あれですか、ドキドキするのは伝染病ですか。もらいドキドキというのがあるのですか?

そういうヒートアップした状態で京都裁判所へ抽選の30分前に着く。で、予想はしていたが、もう100人くらい列に並んでいる。

駄目です。本日の競争率は優に難問国公立大学入試なみですよ。マスコミもいっぱい。そんな競争率ながら、玉砕覚悟で取材に訪れるフリージャーナリストの姿もいっぱい。ご苦労様です。

ともかく、何時もの口頭弁論と違います。緊張感が満ちていて、なんか知っている人と話をしなければ場がもちません。で、碌な用もないのにあちこちと。

そして、抽選発表。見事外れる。

そらそうだ。難問国公立大学だからなーと諦めるわけないだろが。

世界の読者が筆者をまっているのだ。(注;当ブログ裁判がある前後だけ異様にアクセス数が多いという読者の目的もはっきりしているブログです。ちなみに本当に世界からで、ブログ主は本気でびびってます)

すぐに当たった人のとこにすり寄り、傍聴券の強奪を試みる。すると、碌でもない事しか書いてない裁判に特化したようなブログ主とご存じで、快く頂けた。やった、ブログやっていてよかったー。ありがとうございました。ご恩は傍聴記に反映させていただきます。って、これなんですが・・。




法廷に入り込むと、席がすぐにうまっていく。今回の傍聴席は記者席を多めにとっていて、実質70名ちょいくらいの席で、被告側は2名ほど。その他は学校支援者と思われる。

10名ほどの原告弁護団も緊張しているようで、こちらはさらにドキドキしてきた。

そして、毎度のごとく、被告側は時間ぎりぎりに入場してきたが、いつもの徳永弁護士、八木氏の他に被告である川東氏がいた。

この、川東氏、席に座るや、傍聴席を見わたし、ニヤニヤしていたのだが、すいません、正直、気色悪かったです。こっち見んなと心の中で10回はつぶやいてました。


そして、裁判官らが入場。傍聴人らが起立し席に着く。時間は11時少しだけまわる。

裁判長より、いきなり主文読み上げ。耳を研ぎ澄ます。

この時、最初にうんたらかんたら544万という数字が聞かれ、よくわからずに、そんなもんかい!と一瞬思ったが、その後に、341万、330万という数字が続いて気がついた。

あ、そうか、3回の街宣、デモに対してそれぞれの金額なのだな。

合算で幾らなのだ?1200万以上だ。そして筆者はそこに、ブレノ氏と美玖氏が入っている事に注目した。

そんな思考を巡らせている間も、裁判長より主文の言い渡しが続いている。

移転した新校舎での街宣も差止されたのを確認。

ここまでは、まあ、満足はできる。

で、問題はその根拠だ。判決文では何をもってのその1200万以上であり、街宣差止なのだ?何が認められたのだ?

それに意識を集中しはじめた時に、裁判長は主文を読み上げ、あっさりと退場した。

そして、また、裁判長が主文を読み上げるその間、筆者は、八木氏、川東氏の顔を見ていたが、見る見ると表情が険しくなっていた。主文読み上げ前までにあったニヤニヤ顔は既になかった。


裁判官退場後、筆者は急いで、裁判判決文の内容を求めて走り出した。

これで裁判は終わった。長かった3年は一つのくぎりとなり結果も出たはずなのだが、そんな感慨よりも、判決文を読むまではわからないだらけでモヤモヤしていた。



さて、その判決文であるが、当ブログ上で公表したとおりである。それ以外では、判決文資料として、被告らの各街宣デモでの発言と主張、そして原告の被害として「本件示威活動対応のため本件学校の教職員が費やした述べ時間数の集計表」が付け足されている。

つまり、それが判決の中で何が認められ、何が認められなかったというものだが、それらの説明も判決文の理由に記されている事を述べておく。


まず、この朝鮮学校嫌がらせ裁判判決は、既に各新聞、各論調によって様々に評価はされている。

その評価の中で、特に画期的とされるのが、「人種差別撤廃条約」に沿って賠償額(責任性)の荷重が成されている点である。今までの人種差別撤廃条約に即した思われる事件として静岡小樽の事件があるが、今回の判決ほどに具体的な記述がされた判決はなかった。その意味で、人種差別撤廃条約に言及し、国内法との整合性にまで踏み込んだ画期的と言える判決である事は間違いない。

静岡「「外国人入店拒否訴訟 判決

http://www.jca.apc.org/jhrf21/nl/NL11E.html

小樽「温泉入浴拒否」訴訟 判決

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=6&ved=0CE4QFjAF&url=http%3A%2F%2Fwww.courts.go.jp%2Fhanrei%2Fpdf%2F4384F726CF8D382149256C94001BE8D0.pdf&ei=bIVXUpTyOYOklQXK9oG4DQ&usg=AFQjCNEj0l9RDOVEtn8PKsLi9mMfJWbf4A&sig2=OHNzm2FnMky1J6IGRZGWsw&bvm=bv.53899372,d.dGI

さらに言えば、この判決文は「第3 人種差別撤廃条約下での裁判所の判断について」で、「わが国の裁判所は、人種差別撤廃条約上、法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うものとうべきである」とはっきりと人種差別撤廃条約をもちいて「日本国内の人種差別」に救済の道を開けと述べ、それを賠償の加重の根拠としている。つまり、従来、日本の司法は有形損害に比して無形損害(心の傷など)は恐ろしく冷淡な側面があったのだが、この人種差別撤廃条約を根拠に、差別による目に見えない無形損害の評価を著しく底上げする正当性としている。

ただし、この差別による無形損害の評価は、先にあげた静岡小樽の例だけではなく、今回の被告となっている川東氏が引き起こした「水平社博物館差別街宣」判決のように、差別と認定されれば150万というように、既にその流れは始まっているし、今回は集団で起こした点で賠償額が大きくなったという側面も考えられる。

一方、この判決は無条件で人種差別撤廃条約を持ち込むのではなく、民法709条との兼ね合いも述べ、その制限をもうけている。これは、高裁最高裁へと続く道のり、或いは類する訴訟に対して、この判決の正当性を確たるものとする工夫と想像する。


次に、この判決を読めばわかるが、被告側の主張を何一つ認めていない。そこに「50年に渡る公園の不法占拠」なるものや、「日本国民が公園を使えない」「戦後焼き野原から奪った土地」「スパイ養成機関」「スパイの子供」「こいつら密入国者の子孫」などなど、被告らが3回にわたり起こした街宣・デモでの主張は、全て出鱈目として朝鮮学校への誹謗中傷として認定され、1200万以上に及ぶ賠償金の糧とされた。これは当然のことだが、判決で認められた意義は大きい。

つまり、今後これらヘイトスピーチによって、原告誹謗中傷するものは、全て訴訟対象となる可能性が極めて高い。今後、被告らに追随し同じ脈絡で原告を誹謗するならば、それでポンと100万以上という巨額の賠償金になると誹謗者らは肝に銘じたほうがいい。

実際、裁判記録を見ると、被告らからの提出資料は山のようにあった。その中には拉致問題に関する政府機関の資料とか警察記録もたくさんあった。しかし、それらはことごとく、この裁判の本筋からは外れたものと判断された。何故なら、被告らは、何ら正当な手続きを踏まず、手前勝手な屁理屈で学校を襲い、その出鱈目な誹謗中傷をもって原告への被害をもたらしたからだ。これが理解できず、被告らに追従しヘイトスピーチを繰り返すものは、その報いを何時かうける事になると覚えといたほうがいい。


また、この判決有意義な点は、在特会の当事者能力を認めた事である。これは組織性を認め、例え、被告である自称桜井誠氏がその場にいなくとも、全国各地の在特会の名をもつ各支部に何か問題が生じれば、その責任は被告である自称桜井誠氏に及ぶ事を意味する。

それが嫌なら、さっさと会長を辞めるか在特会を解散したらいい。ただし、本件事件に関してはその責任を果たすまで原告弁護団は黙っていないだろう。


そして、この判決の他の有意義な点は、「中立のカメラマン」というブレノ氏と「単なるコーラー」とする美玖氏の賠償責任を認定した事である。

ブレノ氏の場合、京都徳島の襲撃事件刑事裁判において、その「中立のカメラマン」という検察から面倒くさいと思われたその地位であるが、今回の判決において、他の被告らと同様、「お仲間」認定を受けた。今回はその「お仲間」から同志愛に満ち溢れた重要証言もあったが、彼の手前勝手な陳述、証言もさる事ながら、彼の「実績」を考えれば、この「お仲間」認定も当然と言える。今後、ヘイトスピーチを起こす集団で、自分は「ただのカメラマン」をしているだけと思っている人は、その考えを改めたほうがいい。しかもその映像をネットで拡散するとしたならば、その責任は大きくのしかかってくる事を知ったほうがいい。

続いて、美玖氏についても、その証言と「実績」から「お仲間」認定と思われるが、彼女を認定したのは大きい。今後、ヘイトスピーチを起こす集団によるデモで、気軽にコーラーを引き受ける人がいるなら、これも、同じく、その人は大きな責任を負う事を忘れてはならないだろう。


さらに、この判決について、筆者は述べなければいけない事がある。

それは、この判決には「民族教育の保障」という原告の主張がスルーされていた事だ。この「民族教育の保障」は、原告が第一準備書面で記され裁判に提出したように、原告にとって、この「民族教育の保障」というのは切実な願いであり、この事件に対する原告の原点である。

例えば、今回の裁判に対する神奈川新聞のこの記事を読んでほしい。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1310100004/

いま現在、日本政府を上げて、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵対的行動の一つとして朝鮮学校を標的にした「差別行為」を行っている。

理由は「朝鮮学校総連傘下であり、「北朝鮮」と繋がっているから」である。この理屈は、今回の裁判で出てきた在特会を始めたとした被告らの主張と同じである。政府がやっている事と在特会の唱えるものの差異を何処に求める事ができるだろうか。

だからこそ、朝鮮学校は、そして学校に子供を通わせる父母は訴えるのである。この学校で学ぶことを保障してくれと。これは、民族学校生存権を賭けた問いかけである。

この事件の原告の訴えは、表面的に表れた判りやすい在特会などの「悪漢」のみならず、その在特会を支える「空気」、または、在特会などの唱えるものと何ら変わりないヘイトを容認する「社会」に対する問いかけである。

はっきりという。筆者は過去より、共和国の体制を批判してきた。例えそれが、朝鮮民族として原則性をもつ国家としても、その独裁制を批判してきた人である。

しかし、それでもだ。「朝鮮戦争韓国国連軍が侵略してきた」という教科書を使っていたら、民族教育は全否定されるものなのかを問いかけたい。それだけで朝鮮学校は認められないものなのか。そんなわけはない。

一つのものを取り上げて、それで全否定する思考は、それは在特会と何も変わらない。朝鮮学校に子供たちを通わせる事を、「北朝鮮への洗脳教育」への肯定と思えるその無知と偏見が、今の朝鮮学校を取り巻く環境といえるし、今回の事件はその表層に現れたものにすぎない。学校に子供を通わせる親御さんの願いは、無知と偏見にまみれたこの社会で、朝鮮人と生まれたその出自は、決して恥ずかしいものではないように育ってほしいという願いで朝鮮学校に通わせるものであり、朝鮮学校は資金も人も不足する中、必死で学校を運営し、それに応えている。

朝鮮学校を存続させえるのは、他の誰でもない、学校自身と父母らで決める事である。それを無知と偏見にさらされた部外者がとやかくいうのは、それはヘイトに繋がると言っていい。

朝鮮学校自体、この間、劇的に変化している。これは、裁判で提出された、同志社大板垣氏の意見書であり、朝鮮学校の歴史と現況について語られているので、一読を進める。

朝鮮学校への嫌がらせ裁判に対する意見書」

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0CCsQFjAA&url=http%3A%2F%2Fdoors.doshisha.ac.jp%2Fwebopac%2Fbdyview.do%3Fbodyid%3DTB12605649%26elmid%3DBody%26lfname%3D031001050005.pdf&ei=abdXUq63FcfEkwX7jYG4BQ&usg=AFQjCNF2GM58AGaCloeEKe90xCdPqUtAvg&sig2=JDp5x68044RgFpViBmJIwg&bvm=bv.53899372,d.dGI

さらに、これは、学校関係者に負担を及ぼすし、言いにくいが、わからなければ学校の授業を見学にいけばいい。そこには元気で授業を受ける子供たちと、その子らのために献身的努力を惜しまない先生方がいるから。そしてそこに認めなければいけないものがある事を知ってほしい。ただし、ネトウヨ在特会などの関係者はお断りだ。


今回の判決で、「民族教育の保障」というものが、国家政策に係るものだから判断をさけたのか、それとも受け入れやすいように「民族教育の保障」というものの一つである「学校教育を守れ」を「ヘイト認定により守る」に置き換えたのか、それはわからない。

ただ、この「民族教育の保障」は、現在行われている、「朝鮮学校無償化裁判」で再び問われるものとなるだろう。


しかし、それにしても、今回、被告らにとって「完膚なきまでの敗北」判決が出たにも関わらす、下記のような呼びかけが行われている。

2013年11月4日(月)   

司法による勧進橋児童公園不法占拠事件の偏向判決を許すな!デモ」

http://calendar.zaitokukai.info/kinki/scheduler.cgi?mode=view&no=196

暗澹たる思いになる。でも、このデモに参加する人らは、今回の判決によって、訴追対象者になる事を想像したほうがいい。しかもそれはとても軽い額になるとは言えないものだ。でね、これ、控訴審があれば、原告側にとって、ヘイトスピーチ二次被害、悪質性の証明になるだけのもので、被告らの首を絞める事になるだけだよ。わかってないでしょ。


メディアによると、在特会などの被告控訴の方針を出しているようだ。

原告らのご苦労を考えれば、軽々に言いにくいものがあるが、筆者としては、高裁にも最高裁にもいってほしい気がある。そして最高裁ヘイトクライムと言っていいこの事件の判断を確定してほしいと願っている。恐らく原告弁護団は準備しているだろう。



最後に、原告の皆様、学校父母の皆様、原告弁護団の皆様、支援された皆様。本当にご苦労様でした。望んでいたものの半分くらいかもしれませんが、ともかくひとまずはおめでとうございました。

よんすぎよんすぎ 2013/10/11 20:12 読みました。
結審の様子を伝えていただきありがとうございます。
朝鮮学校関係者の1人として心にしみる報告です。
まだまだ解決されるべき問題が山積していますが、諦めることなく民族教育としての朝鮮学校の正当性を知っていただくために努めたいと思います。

arama000arama000 2013/10/12 00:20 いえいえ、過分なお言葉ありがとうございます。そのような励ましが有難いです。
私自身は当事者の方々のご苦労からすれば、本当に大した事はやっていませんが、お役にたてればうれしいです。

それと、承認せいなので、何回も投稿をさせてしまい、すいません。他の投稿は消しときますね。

佐世保さくら佐世保さくら 2013/10/12 01:49 あなた様の行動に対し深く頭が下がります。在特にはいろんな人へのバッシングがあり、腹立たしい思いで生放送など見ておりました。

判決の内容などや状況を細かくあげられており、どうなるか遠いところから気になっておりましたが、内容を見てなるほどと思いました。

ありかとうございました。お疲れさまでした。

Kim ShirlyKim Shirly 2013/10/12 01:56 初めまして。
貴ブログの立ち上げとほぼ同時に閲覧を始め、ついにこの結末を迎えた喜びを抑えられない一読者かつ一在日です。
まずは長期間にわたる裁判傍聴追跡、まことにお疲れさまでした。

それにしても今回の傍聴記を読んで(いや、これまでも時たま感じていたのですが)不思議なのは、
被告たちが見せる正体不明の「薄笑い」です。われわれに対する嘲笑なのか、なんらかの自信の表れなのか。
まあそれも今回ばかりは見る見る凍りついていったということですから、せいせいするというものです。

貴ブログの淡々とした毎回の公判内容の報告は、まるで「映像を見るように」胸に迫りました。
多くの同胞が、同様の思いを抱いてこの傍聴記を読んでいたことと思います。
これで問題がすべて解決したわけではありませんが、ひとつのピリオドを打ったことは確かです。
その推移を根気づよく追ってテキスト化してくださったaramaさんに、あらためて感謝の言葉を贈ります。
ありがとうございました。

rawan60rawan60 2013/10/12 04:22 >ただ、この「民族教育の保障」は、現在行われている、「朝鮮学校無償化裁判」で再び問われるものとなるだろう。

個人的見解ですが、これら複数の裁判の審理中であることを考慮して司法判断を避けた側面があると思っています。
「民族教育権」の保障についての論理構成・構築に自信(覆らないであろうという)がないということもあるのかもしれません。

arama000arama000 2013/10/12 09:58 >佐世保さくらさんへ
ありがとうございます。そうおっしゃっていただければ私も何かの役に立っていたのかもしれません。文書がヘタで読みにくいものがあったかもしれませんが、それでもご愛顧いただけた事を感謝します。

arama000arama000 2013/10/12 10:11 >Kim Shirlyさんへ
ありがとうございます。
連中のニタニタは何でしょうね。余裕をかましているつもりなのか、単におかしいのか、理解し難いものがあります。
でも、今回、被告らのニタニタが見る見る暗い表情になっていくのを見て、私も少し溜飲を下げたのも事実です。
判決が彼らにとって予想以上に厳しいものと思うならば、自分たちがそれだけ惨い事をしたと認識してほしいものです。なんか無理そうですが・・。

誤字脱字も多く拙い文書ですが、それでもそうおっしゃっていただきましたならば、望外の喜びです。

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arama000arama000 2013/10/12 10:31 >rawan60さんへ
>個人的見解ですが、これら複数の裁判の審理中であることを考慮して司法判断
>を避けた側面があると思っています。
>「民族教育権」の保障についての論理構成・構築に自信(覆らないであろうと
>いう)がないということもあるのかもしれません。
それはあるだろうと私も思います。
人種差別であるという原告の主張に対して、まるまる受け入れたというか人種差別撤廃条約をもちいいて踏み込んだ司法判断をしているのに、民族教育に関してスルーというも、不自然さはぬぐえませんね。
ここで「民族教育権」の判断を下したら、「無償化裁判」になんらかの影響が出る可能性があるわけで、「司法内での仁義」的な加味されたかもしれませんね。
さらに、論理構成・構築に関しては、ある意味、国の政策にかかわるものですから、他に投げ出した&上級審にまかせたという事かもしれません。

ponpon 2013/10/12 21:53 長期に渡る細密なレポート、ありがとうございました。
ようやく判決が出ましたね。
本当にお疲れさまでした。これからもブログの更新を楽しみにしています。

arama000arama000 2013/10/12 22:52 >pon さんへ
ありがとうございます。なんとかかんとかと誤魔化しもいれながらですが、なんとかこぎつける事ができました。
これも皆様の温かい励ましを感じてのことです。
こちらこそありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。

rawan60rawan60 2013/10/13 22:27 事後になりましたが、このページを「朝鮮学校無償化問題FAQ」ブログコーナーhttp://w.livedoor.jp/mushokamondai/d/%a5%d6%a5%ed%a5%b0 からリンクさせていただきました。

arama000arama000 2014/04/05 10:03 うわ・・・。お返事遅くなり申し訳ございません。
了解しました。ありがとうございます。

2013-10-09

朝鮮学校嫌がらせ事件裁判判決 理由2

15:10 | 朝鮮学校嫌がらせ事件裁判判決 理由2を含むブックマーク

判決 理由1より続き)


4  示威活動3及び映像公開3について

(1)業務妨害となること

示威活動3は,示威活動1,2とは異なり, 日曜日に行われたものであり,目に見える形で本件学校における教育業務に及ぼした悪影響としては, 本件学校に休日出勤していた女性職員が帰宅せざるを得ず,また,他校でサッカーの試合を行っていた児童たちも本件学校に帰校できなかったというものにとどまる。

しかし,日曜日に行われたとはいえ3度目の示威活動が行われた事実, しかも,それが本件仮処分決定が示威活動を禁止した範囲にまで及んだ事実は,本件学校の児童,その保護者及び教職員に対し, 被告らがいつまた本件学校周辺で,大声で本件学校を侮蔑する集団での示威活動に及ぶか分からないとの恐怖心を与えるものである。これにより,児童が本件学校に行くことをためらい,また,保護者も自分の子を本件学校に通学あるいは入学させることを躊躇することも考えられるし、本件学校の教職員は,警戒態勢を取るための心身の負担に曝され続けるのであって,自に見えない形で本件学校における教育業務に与えた悪影響は非常に大きいものといわなければならない。したがって,示威活動3は,日曜日に行われたものの,やはり示威活動1,2と同様,原告の本件学校における教育業務を妨害する不法行為に該当する。

(2) 名誉毀損となること

示威活動3及び映像公開3は,本件学校が本件公園を50年間奪い取っていたこと, このことにより日本の子どもたちの笑い声を奪ったこと,本件学校が北朝鮮のスパイを養成していること,本件学校が無認可で設置されたこと,本件学校は学校ではないことを,不特定多数人に告げるという行為であり,原告の学技法人としての名誉を著しく損なう不法行為である。



5 本件活動による業務妨害及び名誉毀損人種差別撤廃条約上の人種差別に該当すること 

(1) 活動の意図

ア 本件活動における被告らの発言を含め,前記認定の本件の事実経過全体を総合すれば,被告○○被告○○被告○○被告○○は, かねてから,在日朝鮮人が過去に日本社会に害悪をもたらし,現在も日本社会に害悪をもたらす存在であるとの認識を持ち,在日朝鮮人を嫌悪し,在日朝鮮人を日本人より劣位に置くべきである,あるいは, 在日朝鮮人など日本社会からいなくなればよいと考えていたこと,つまり,在日朝鮮人に対する差別意識を有していたものと認められる。

イ また,前記認定の事実経過に照らせば,上記被告らは,自分たちの考えを表明するための示威活動を行うとともに,自分たちの考えを多数の日本人に訴えかけ,共感を得るため,自分たちの言動を撮影した映像を公開するという活動もしていたが,本件学校が校庭代わりに本件公園を違法に占拠している事実を把握するや,その不法占拠を口実にして本件学校に攻撃的言動を加え, その刺激的な映像を公開すれば, 自分たちの活動が広く世に知れ渡ることになり,多くの人々の共感を得られるはずだと考え,示威活動1に及んだものと認められる。

上記被告らは,示威活動1において,本件公園の違法な占用状態を(行政を通じてではなく, いわば私人による自力救済として)解消する意図で活動したかのように装っている。しかし,それが表面的な装いにすぎないことは,その映像自体から容易にうかがい知れるし, 被告○○が,京都市の担当者から平成22年1月か2月にはサッカーゴール等の物件が自発的に撤去される予定であると聞いていたのに, 「朝鮮人を糾弾する格好のネタを見つけた」と考え,自分たちの活動を世間に訴える目的で示威活動1を敢行したことからも明らかである。

ウ 示威活動1を発端としてなされた本件活動が,全体として在日朝鮮人に対する差別意識世間に訴える意図の下に行われたことは,前記認定の事実経過に照らして,明らかである。

エ なお,被告在特会と主催会とでは異なる行動指針を有しているが(認定事実2と3) ,本件活動での被告らの言動に関する限り,両者の思想や意図の違いをうかがい知ることはできない。

(2) 差別的発言

ア 被告らは、示威活動1において,朝鮮総連関係者を「朝鮮ヤクザ」と罵り,朝鮮学校について「日本からたたき出せ」「ぶっ壊せ」と言い,在日朝鮮人全般について「端のほう歩いとったらええんや」「キムチ臭いで」とあざけり,さらに「約束というのはね,人間同士がするもんなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」などと在日朝鮮人が人間ではないかのように説明している(番号5,6,8,10, 11)。番号11の発言は,警察官に対して発せられたものであるが,示威活動1における被告らの言動は,すべて映像で公開することを予定してされたものであり, 実際に映像が公開されてもいるから,被告○○が 不特定多数の映像視聴者向けに流布した発言というべきである。

イ 被告らは, 示威活動2においては, 朝鮮学校を「日本から叩き出せ」「解体しろ」と言い,在日朝鮮人全般について,戦後の混乱期にわが国で凶悪犯罪を犯して暴れまくったと言い, 「不逞な朝鮮人を日本から叩き出せ」として日本社会で在日朝鮮人が日本人その他の外国人と共存することを否定し, さらには「保健所で処分しろ,犬の方が賢い」などとあざけり,在日朝鮮人が犬以下であるとするのである(番号13ないし16 )。

ウ 被告らは, 示威活動3においては,朝鮮学校を「卑劣,凶悪」と言い,在日朝鮮人について「ゴキブリ, ウジ虫, 朝鮮半島へ帰れ」と言い放っている(番号21,24)。

エ さらに,甲第8ないし10号証によれば,上記アないしウの発言以外にも, 被告○○被告○○を始めとする様々な参加者によって「朝鮮部落,出ろ」「チョメチョメするぞ」(示威活動1), 「ゴミはゴミ箱に, 朝鮮人朝鮮半島にとっとと帰れー」「朝鮮人保健所で処分しろー」「糞を落としたらね,朝鮮人のえさになるからね,糞を落とさないでくださいね」(示威括動2),「朝鮮メス豚」「朝鮮うじ虫」「日本の疫病神, 蛾,うじ虫ゴキブリは,朝鮮半島に帰れー」(示威活動3)等の在日朝鮮人一般に対する差別的な発言や,「ぶち殺せー」といった過激な大声での唱和が行われた事実が認められる。

オ 上記アないしエの発言は,いずれも下品かつ侮蔑的であるが,それだけでなく在日朝鮮人が日本社会において日本人や他の外国人と平等の立場で生活することを妨害しようとする発言であり,在日朝鮮人に対する差別的発言といって差し支えない。

(3) 以上でみたように,本件活動に伴う業務妨害名誉毀損は,いずれも,在日朝鮮人に対する差別意識世間に訴える意図の下,在日朝鮮人に対する差的発言を織り交ぜてされたものであり,在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除であって,在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目的を有するものといえるから,全体として人種差別撤廃条約1条l項所定の人種差別に該当するものというほかない。

したがって,本件活動に伴う業務妨害名誉毀損民法709条所定の不法行為に該当すると同時に,人種差別に該当する違法性を帯びているということになる。




6 名誉毀損としての違法性又は責任の阻却事由について

(1)事実を適示する表現行為の場合

わが国の判例理論によれば,他人の名誉を損なう表現行為であっても,摘示事実が公共の利害に関する事実であり, 専ら公益を図る目的で表現行為がされ,かつ,適示事実が真実であることが証明されたときは,当該表現で名誉を低下させたことは違法でないとされる(違法性の阻却)。また,仮に,摘示事実が真実であることが証明されない場合でも,これを真実と信じるについて相当の理由があるときには,名誉を毀損したことについて過失がなく、やはり不法行為は成立しないものと解される(最高裁判所昭和41年6月23日第一小法廷判決民集20巻5号11 1 8頁)。

(2) 論評表現の場合

わが国の判例理論によれば,ある事実を摘示した上での論評表現が他人の名誉を損なう表現行為に当たる場合,摘示された前提事実(直接的な事実の摘示がない場合は黙示的に摘示されたとみられる事実)が公共の利害に関する事実であり,専ら公益を図る目的で表現行為がされ,前提事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,論評表現としての域を逸脱したものでない限り,当該論評表現で名誉を低下させたことは違法でないとされる(違法性の阻却)。

また,仮に,前提事実が真実であることが証明されない場合でも,これを真実と信じるについて相当の理由があるときには名誉を毀損したことについて過失がなく,やはり不法行為は成立しないものと解される(最高裁判所平成9年9月9日第三小法廷判決民集51巻8号380-1頁)。

(3) 本件へのあてはめ

上記判例法理によって免責されるのは。名誉毀損表現が事実摘示であろうが論評であろうが,専ら公益を図る目的で表現行為がされた場合だけである。では, 本件活動における上記2ないし4の名誉毀損表現が専ら公益を図る目的でされたのかといえば,そう認定することは非常に困難である。なぜなら,本件示威活動は,本件学校の付近で拡声器を用い又は大声で行われたものであり,示威活動1では,本件学校が本件公園に設置していたサッカーゴールを倒し,スピーカーの配線を切断し,朝礼台を移動させるという実力行使を伴うものであり,示威活動2,3では街宣車を伴うという威圧的な態様によって行われたものである。公益を図る表現行為が実力行使を伴う威圧的なものであることは通常はあり得ない。

加えて, 前記のとおり, 本件活動は, 全体として,在日朝鮮人に対する差別意識世間に訴える意図の下,在日朝鮮人が日本社会で日本人や他の外国人と平等の立場で生活することを妨害しようとする差別的発言を織り交ぜてされた人種差別に該当する行為であって,これが「専ら公益を図る」目的でされたものとは到底認めることはできない。

したがって本件活動における名誉毀損判例法理により免責される余地はないものといわなければならない。

なお,上記2ないし4で名誉毀損であると認定したものは,事実の摘示を伴うものに限定している。それ以外の被告らや本件示威活動参加者の発言や表現について,被告らは、意見の表明であるというが,意見や論評というよりは,侮蔑的な発言(いわゆる悪口) としか考えられず,意見や論評の類として法的な免責事由を検討するようなものとは認められない。

7 応酬的言論の法理による免責の有無

被告らは,番号7,8,10,15及び21の各発言については, 別表甲の「被告らの主張」欄のとおり,本件学校関係者の態度や発言に対する応酬的な悪態にすぎないと主張する。

確かに,自己の正当な利益を擁護するため, やむをえず他人の名誉を損なう言動を行った場合は,それが当該他人による攻撃的な言動との対比で,方法及び内容において適当と認められる限度を超えない限り違法性が阻却されるものと解される(最高裁判所昭和38年4月16日第三小法廷判決民集17巻3号476頁)。

しかし,被告らは,招かれてもいないのに本件学校に近づき,原告の業務を妨害し,原告の名誉を貶める違法行為を行ったものである。被告らの違法行為に反発した本件学校関係者が被告らに敵対的な態度や発言をしたことは否定できないが,被告らは,自らの違法行為に上ってそのような反発を招いたにすぎないから,上記法理によって免責される余地はない。





第5 被告らの共同不法行為責任について(争点4に対する判断)


l 民法719条l項前段の意味内容

民法719 条1 項前段(以下「前段」という。)は,「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは,各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」と規定する。

複数の行為者の違法な行為によって損害が発生した場合,民法の根本原則である私的自治の原則から導かれる自己責任の原則からすれば,行為者はそれぞれ自己の行為によって生じた損害についてのみ責任を負えばよく,他の行為者の行為によって生じた損害についてまで責任を負うべき義務は生じない。

しかし,複数の行為者の行為によって損害が発生する場合,その行為者相互の関係,各人の関与の態様,各人の行為の内容,被害の態様,因果関係の系列などは千差万別であり,被害者側がそれらの詳細を把握して立証することは困難を伴うことが多い。

前段の規定は,そのような被害者側の証明の困難性を考慮し,被害者保護の観点から、複数の行為者の行為が互いに関連する共同の行為であると評価できる場合, 被害者は、その共同の行為と結果との間の因果関係を立証すれば,共同行為者の一人一人に対し,共同行為によって発生した結果の全部について賠償を求めることができ,共同行為者は各人の行為と結果との間の個別的因果関係の不存在を理由とする減免責を主張することができない旨を定めたものと解するのが相当である。

このように, 前段の規定は, 被害者保護の観点から,複数の行為の関連共同性を要件とすることによって, 自己責任の原則を修正し,共同行為者の各人に対して共同行為による結果の全部責任を負わせるとしたものである。

そうすると,ここでいう関連共同性については, 行為者間の主観的な共謀関係があることまで必要ではなく,結果の発生につき各行為が客観的に関連し共同していることで足りるが,その各人の行為が,結果との関係で社会観念上一体をなすものと認められる程度の緊密な関連があることを必要とするものと解すべきである。

2 本件示威活動と本件映像公開の行為の関連共同性

本件示威活動と本件映像公開とは,加害行為としては態様が異なる行為である。例えば,示威活動1は喧噪によって授業を妨害する行為であるが,映像公開1自体は,現場で授業を妨害する行為ではない。

しかし,名誉毀損行為としてみたときは,本件示威活動と本件映像公開は密接不可分の加害行為であって,示威活動1による名誉毀損損害と映像公開1による名誉毀損損害を峻別して認定することは困難である。

また, 学校を攻撃対象とする加害行為がされた場合,名誉毀損による無形損害と同時に, 業務妨害によっても大きな無形損害が発生する。業務妨害によって生じる無形損害は, 示威活動の日に生ずる授業の混乱のみではない。後日にも,財産的損害として金銭に見積もることが容易でない学校運営上の様々な支障が継続的に発生するのである。そして,本件映像公開は,インターネットを通じ,不特定多数人に継続的に本件示威活動の様子を開示し続けるというものであり,名誉毀損業務妨害による無形損害を日々増幅させるという形で,本件示威活動と密接に関係しているのである。

したがって,示威活動1と映像公開1,示威活動2と映像公開2,示威活動3と映像公開3は,それぞれが関連共同性のある共同の行為いうべきであり,例えば,示威活動1の不法行為者は,映像公開1に関与していないとしても,示威活動1及び映像公開1によって生じた損害全体について賠償責任を負うことになる。

3 被告○○被告○○被告○○被告○○の責任について

被告○○被告○○被告○○被告○○の4名(以下「被告○○ら4名」という。)は,前記認定のとおり, 3日にわたって行われた本件示威活動のいずれにも参加し,かつ,主導的に活動に関与したことは明らかである。

したがって,被告○○ら4名は,示威活動1及び映像公開1によって生じた損害,示威活動2及び映像公開2によって生じた損害,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負う。

なお,それぞれの示威活動の中の被告ら各人の行動は,関連共向性のある行為の一部を構成している。この場合,自分が実際に行った行為による損害しか賠償しないという主張は許されないから,関連共同性として一括りにすべき示威活動の一部に関与した者は,範囲内の行為から生じた損害全部の賠償責任を負うことになる。

例えば,事前の打合せがなかった示威活動1における被告○○によるスピーカーの損壊行為について,示威活動1に参加した他の被告らは,被告○○がそういう行動をとることを聞いてもなかったし知りもしなかったと抗弁して,被告○○の損壊行為によって生じた損害の賠償責任を免れることはない。

さらに,被告○○は,示威活動3では,別働隊として四条での示威活動を指揮したものであるが, 示威活動3は北岩本公園発の示威活動四条での示威活動も,朝鮮学校を糾弾する姿を世間に訴える意図の下に, 同じ日に,一体の示威活動として行われたのであり,それぞれによって生じた原告の損害というものを別々に認定判断することも困難であるから,それら示威活動相互間には関連共同性が認められる。したがって,北岩本公園発の示威活動に参加した者は,民法719条1項の適用上,四条での示威活動(及び映像公開3)による

損害の賠償責任を免れることができない。

4 被告○○の責任について

前記認定の事実経過及び被告○○ら4名の捜査機関に対する供述調書(甲49ないし54,80,121,125及び130) によれば, 被告○○と被告○○ら4名は,主義主張を同じくする仲間であり,被告○○が被告○○ら4名の広報担当としての役割を果たしていた事実が明らかである。すなわち,被告○○は,被告在特会や主権会の主義主張に共感し,その活動を世間に知らしめるため,本件示威活動の様子を撮影し,その映像を公開していたものと認められる。

したがって,被告○○は,本件活動の全部に加わったことになるから,被告○○ら4名と同様の賠償責任を負う。被告○○は,北岩本公園発の示威活動の撮影と映像公開には関与していないが、そうだとしても,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害全部の賠償責任を負うことは,上記3のとおりである。

なお, 被告らは,撮影した映像をありのままに公開する被告○○の行為は,不法行為を構成しないかのような主張をしているが,それは全くの独自の見解であって失当である。

5 被告○○の責任について

被告○○は,示威活動2及び北岩本公園発の示威活動を自ら企画し,かつ参加もし,街宣車に乗って現場を指揮し,拡声器を用いて多くの発言をし,示威活動の中心的役割を果たしたものである。また,被告○○は、 示威活動2では被告○○が公開した映像を,北岩本公園発の示威活動では同行させた主権会のカメラマンが公開した映像を,それぞれ主権会のウェブサイトでも閲覧できる状態にしているのである。前記認定に照らせば,被告○○は,四条での示威活動が行われることを認識していなかったものと認められるが,上記のとおり,北岩本公園発の示威活動四条での示威活動との聞には関連共同性が認められる結果,四条での示威活動及び映像公開3による損害の賠償責任を免れることはできない。

したがって,被告○○は,示威活動2及び映像公開2によって生じた損害,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負う、(さらに, 後記のとおり,被告○○は,結局,民法715条1項に基づき,直接には関与していない示威活動1及び映像公開1による損害の賠償責任を負う。)。

6 被告○○の責任について

前記認定のとおり,被告○○は, 示威活動2及び北岩本公園発の示威活動に参加し,街宣車に乗り込み,被告○○が書いたメモをマイクを使って読み上げるなどの行動をとっており,これらの示威活動に主体的に関与し,他の参加者を扇動するという役割を担っていたのであり, 示威活動2及び映像公開2によって生じた損害,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負うものである(被告○○が四条での示威活動やその映像公開がされることを予め知っていたのかどうかは証拠上明らかではないが,上記のとおり,四条での示威活動と北岩本公園発の示威活動との間には関連共同性が認められるから,被告○○は,四条での示威活動によって生じた損害を含め,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害全部の賠償責任を負う。)。

7 被告○○について

被告○○は,示威活動2及び北岩本公園発の示威活動に参加したものである。

被告○○は,被告在特会の副会長であり,また執行役員として地方支部運営の任命や解任を行う権限を有していたから,これらの示威活動に参加するについては,当然,事前に被告○○らと打合せを行っていたものと考えられ,また,四条での示威活動やその映像公開が行われることも予め知っていたものと考えられる。したがって, 被告○○は, 示威活動2及び映像公開2によって生じた損害,示威活動3及び映像公開3によって生じた損害のいずれについても,損害全部の賠償責任を負うことは明らかである。





第6 使用者責任について(争点5に対する判断)


1  民法715条1項に基づく使用者責任が認められるには, 不法行為が「ある事業のために他人を使用する者」の事業の執行について行われる必要がある。ここでいう「ある事業のために他人を使用する」関係とは,指揮監督できる状態で当該事業に他人を従事させるという関係で足り,その他人と使用者との間に雇用・委任等の契約関係までは必要がないと解されるし,ここでいう「事業」とは継続的な事業であるか一時的な事業であるのか,営利事業であるのか非営利事業であるのかも問わないものと解される。

他人を使用することで事業活動の範囲を拡大した使用者は,事業拡大に伴って生じた危険拡大に対しても責任を負うべきだという理念を前提として,民法715条が立法されているからである。

2 被告在特会使用者責任

(1) 前記認定のとおり,被告在特会は、 在日朝鮮人を特権的に扱うことを否定することを標榜する社団であり,設立当初から,街頭での抗議活動や示威活動を行い,その様子を撮影した映像を公開して会員数を増加させてきたものである。本件活動のような街頭での示威活動やその映像の公開は、被告在特会の本来的な「事業」である。実際にも本件映像公開によって, 被告在特会の全員数は飛躍的に増加したのである。

(2) 示威活動1についてみると,公開された予告映像の題名に「在特会関西」と記載され,平成21年12月4日の当日も,被告○○を始めとする被告らは,自らを「在特会関西」と名乗ったものである。また,被告○○は,示威活動1の報告文を被告在特会ウェブサイトに掲載したものである。

さらに,甲第 59,60号証によれば、被告○○は、その自らのプログやその後の示威活動においても,示威活動1が被告在特会の活動であることを前提とする発言を行っていることが認められる。

したがって,本件活動は,被告在特会の事業そのものであったというべきである。

(3) 被告らのうち, 本件当時,被告在特会の幹部であったのは,関西支部長であった被告○○, 関西支部会計であった被告○○, 副会長の被告○○である。

前記認定のとおり, 被告在特会においては,支部の活動は基本的にその自主性に任されているが,会長である○○が直接指示を出すこともあり,また,被告在特会の会員としてふさわしくないと認められる会員に対しては, ○○の職権によっても除名その他の処分を行うことができるのである。被告○○の過激な言動も「在特会」という看板が必要だったはずで,被告○○が,被告在特会代表者である○○の意向に反してまで(○○から除名されることを厭わないで)示威活動を自由自在に行うことができたとは考えにくい。被告○○及び被告○○についても同様である。

したがって, 被告在特会被告○○, 被告○○及び被告○○との間には, 本件活動に関して指揮監督ができる状態にあったということができる。

(4) したがって,被告在特会は,民法715条l項に基づき,被告○○,被告○○及び被告○○の使用者として,同被告らと同様の賠償責任を負う。

3 被告○○の使用者責任

(1) 前記認定のとおり,被告○○が代表を務める主権会は,「支那中共朝鮮に阿る売国経済人をはじめ, 我が国の国家利益を貶める反日・虐日勢力など靖国英霊を貶める支那中共の代理人勢力と戦う」ことを行動指針とする団体であり,被告在特会と主権会の両方に入会する者も多かったことや,被告○○が被告在特会と共同で行った示威活動2の中心的役割を果たしたことに照らせば,主権会の「事業」もまた,被告在特会と同様,「反日的」な対象に対する抗議活動やその映像の公開にあったということができる。

(2) 被告らのうち, 本件当時,主権会の幹部であったのは, 主権会関西支部の支部長であった被告○○,同支部の事務局長であった被告○○, 同支部の幹事であった被告○○である。

被告○○は,主権会関西支部に対しては,被告○○の指示を了解し納得している前提で行う活動であれば,具体的な活動内容の決定は関西支部の幹部に任せでいたものである。

示威活動1の予告映像のタイトルには,「在特会関西」という表記に並んで「主権回復を目指す会」 という表記がされ,平成21年12月4日の当日も,被告らは,自らを「在特会関西」だけでなく「主権回復を目指す会」とも名乗っており,「主権回複を目指す会」と記された幟を掲げていた。この幟は,被告○○が, 主権会の関西支部として活動する際に使用することを許して被告○○に預けていたものであった。

これらの事情に鑑みれば,被告○○は,自身による一定の統制のもとで,被告○○,被告○○及び被告○○に対して,主権会の名称を使用して抗議活動や示威活動を行うことを容認していたことが明らかであって,被告○○は,その直接間接の指揮監督のもと, 被告○○, 被告○○及び被告○○を主権会の事業に従事させていたということができる。

(3) したがって、被告○○は、民法715条1項に基づき,被告○○, 被告○○及び被告○○の使用者として,同被告らと両様の賠償責任を負う。





第7  原告の損害について(争点6に対する判断)について


1 積極的な財産損害(合計16万3140円)

前記認定の事実経過並びに証拠(甲148ないし151,170)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,争点6に関する原告の主張のとおり, 示威活動1により,スピーカーの修補費用4万7040円, 「朝鮮学校への攻撃を許さない!l2・22緊急集会」と題するビラの配布費用670円,示威活動2により課外授業のための国立民俗学博物館入場料4860円,観光バス代及び通行料 10万 9900円,「1月14日の課外授業について」と題する文書の配布費用として670円の支出を余儀なくされた有形損害(合計16万3140円)をそれぞれ被ったものと認められる。

2 無形損害について

(1) 民法710条にいう「財産以外の損害」とは,精神上の苦痛だけに限られるものではなく,社会通念に照らして金銭賠償を相当とする無形の損害全般を指すものと解される。例えば,法人の名誉が侵害された場合,これによる損害については,金銭に見積もることが可能であるとして金銭賠償を認めることが社会通念に照らして相当であるから,民法710条に基づく損害賠償が命ぜられることになる(最高裁判所昭和39年1月28日第一小法廷判決民集18巻1号136頁) 。

本件活動による原告名誉毀損についても、無形損害という形で金銭評価すべきことになる。

(2) 学校法人の教育業務に対し集団での示威活動による妨害がされた場合,上記1のような積極的な支出という形で目に見える(有形の)損害が発生すると同時に,財産損害として容易に認識することができない大きな無形の損害が生じる。

前記第1の6に認定のとおり,示威活動1では,当日,喧噪により本件学校の校舎内に著しい混乱が生じ,これによって予定通りの行事や授業ができなくなっている。これによって苦痛を受けたのは,本件学校の児童や教員であるが,学校法人たる原告には損害が生じていないとはいえない

法人は,生身の人間ではなく,精神的・肉体的な苦痛を感じないため,苦痛に対する慰謝料の必要性は想定し難いが,学校法人としての教育業務を妨害されれば、 そこには組織の混乱,平常業務の滞留,組織の平穏を保つため,あるいは混乱を鎮めるための時間と労力の発生といった形で,必ずや悪影響が生じる(前記第1の7に認定の事実は,学校法人に悪影響が発生した事実を認定したものである。)。混乱の対応のため費やすことになった時間と労力は、積極的な財産支出逸失利益という形での損害認定こそ困難であるものの,被告らによる業務妨害さえなければ何ら必要がなかった(あるいは他の有用な活動に振り向けることができた)時間と労力なのであって,原告学校法人としての業務について生じた悪影響であることは疑いがない。

このような悪影響をも損害として観念しなければ,民法709条以下の不法行為法の理念(損害の公平な分担)を損なうことが明らかである。このような悪影響は,無形損害という形で金銭に見積もるべき損害というべきである。すなわち,本件活動による業務妨害により,本件学校における教育業務に及ぼされた悪影響全般は,無形損害として、金銭賠償の対象となる。

(3) 無形損害を金銭評価するに際しては,被害の深刻さや侵害行為の違法性の大きさが考慮される。

ところで,甲第155号証によれば,日本政府は,昭和63年人種差別撤廃条約に基づき設立された国連人種差別撤廃委員会において,日本の刑事法廷が「人種的動機(racial mutivation)」を考慮しないのかとの質問に対して, 「レイシズムの事件においては, 裁判官がしばしばその悪意の観点から参照し, それが量刑の重さに反映される」と答弁したこと,これを受けて人種差別撤廃委員会は,日本政府に対し「憎悪的及びレイシズム的表明に対処する追加的な措置,とりわけ関連する憲法民法刑法の規定を効果的に実施することを確保すること」を求めた事実が認められる。すなわち刑事事件の量刑の場面では,犯罪の動機が人種差別にあったことは量刑を加重させる要因となるのであって,人種差別撤廃条約が法の解釈適用に直接的に影響することは当然のこととして承認されている。

同様に,名誉毀損等の不法行為が同時に人種差別にも該当する場合,あるいは不法行為人種差別を動機としている場合も,人種差別撤廃条約が民事法の解釈適用に直接的に影響し,無形損害の認定を加重させる要因となることを否定することはできない。

また,前記のとおり,原告に対する業務妨害名誉毀損人種差別として行われた本件の場合,わが国の裁判所に対し,人種差別撤廃条約2条1項及び6条から,同条約の定めに適合する法の解釈適用が義務付けられる結果,裁判所が行う無形損害の金銭評価についても高額なものとならざるを得ない。

3 示威活動1及び映像公開1に関する無形加害について

示威活動1は,スピーカーや朝礼台の撤去という有形力の行使を伴っており,しかも,それらの物件を撤去が間近に行われる予定であったのに,あえて授業が行われている平日の昼間を選んで行われたものである。その他の一切の事情を考慮すれば, 示威活動1及び映像公開1によって生じた無形損害を賠償するための額としては,500万円が相当である。

4 示威活動2及び映像公開2に関する無形損害について

示威活動2は,主権会及び被告在特会の共催という形で数十名という大人数で組織的に行われたこと、本件学校の授業が行われる平日の昼間を選んで行われたこと,これによって本件学校では課外授業を行うなどのカリキュラム変更を余儀なくさせたことその他の一切の事情を考慮すれば,示威活動2及び映像公開2によって生じた無形損害を賠償するための額としては300万円が相当である。

5 示威活動3及び映像公開3に関する無形損害について

示威活動3のうち北岩本公園発の示威活動は,主権会及び被告在特会の共催という形で数十名という大人数で組織的に行われたこと, 日曜日に行われたとはいえ本件学校の付近で行われたこと,本件仮処分決定の存在を知りながら,これを無視して行われたことその他のー切の事情を考慮すれば,示威活動3及び映像公開3によって生じた無形損害を賠償するための額としては,300万円が相当である。

6 弁護士費用

本件に現れた一切の事情を考慮すれば、弁護士費用としては, 上記3ないし5の無形損害のそれぞれ1割を相当因果関係ある損害として認めるのが相当である。

7 損害額のまとめ

(1) 示威活動1及び映像公開1に関する損害

有形損害    4万7710 円

無形損害    500万円

弁護土費用   50万円

(合計554万7710円)

賠償義務者    被告在特会被告○○, 被告○○, 被告○○,被告○○,被告○○, 被告○○

(2) 示威活動2及び映像公開2に関する損害

有形損害    11万5430円

無形損害    300万円

弁護士費用   30万円

(合計341万5430円)

賠償義務者    被告在特会被告○○, 被告○○, 被告○○,被告○○,被告○○, 被告○○, 被告○○, 被告○○

(3) 示威活動3及び映像公開3に関する損害

無形損害     300万円

弁護士費用    30万円

(合計330万円)

賠償義務者    被告在特会被告○○, 被告○○, 被告○○,被告○○,被告○○, 被告○○, 被告○○, 被告○○





第8  差止めの可否について(争点7に対する判断)

1 差止めの法的根拠について

(1) 差止めの訴えとは,不作為義務の履行を求める給付の訴えである。わが国の民法は,不法行為の法的効果を,名誉毀損の場合の名誉回復措置を除き,金銭賠償に限定しているが,これはあくまで不法行為の法的効果として当然に差止請求権が発生するとはしない立法態度にすぎない。もし,不法行為以外の根拠により,ある人が他人に対し不作為義務を負う場合,その人は当該他人に対し,その不作為義務の履行を求める請求権(差止請求権)を有することは当然である。

(2) 不作為義務は, 契約によっても生じるが, 契約がなくとも生じる。例えば,所有権や通行地役権などの物権の侵害行為がされ,それが繰り返されるおそれがある場合に,物権侵害を差し控える不作為義務の履行請求権物権請求権として発生する。

不作為義務を発生させるのは物権だけではない。生命,身体,名誉,平穏な日常生活を送る利益などの人格的利益の侵害行為がされ,それが繰り返されるおそれがある場合にも不作為義務は発生するものと解される。

(3) 自然人について,名誉や平穏な日常生活を送る利益が人格的利益として法的保護に値するのと同様,法人についても,名誉や平穏に日常業務を営む利益が法人の人格的利益として法的な保護に値する。法人は,自然人と同様,社会の中で,平穏に様々な日常業務を行い,財を移転し,富を蓄え,社会的評価を形成する存在である。法人の業務や社会的評価も,自然人の人格的利益と同様の法的保護を受けるとしなければ,健全な社会を維持することが不可能となる。

(4) したがって,学校法人である原告は,本件活動によって既に起きた権利侵害(業務妨害名誉毀損)に対しては金銭賠償を求めることができるし,本件活動と同様の業務妨害名誉毀損がさらに起こり得る具体的なおそれがある場合,法人の人格的利益に基づき,被告らに対し, さらなる権利侵害を差し控える不作為義務の履行請求権を取得するのである。

2 被告○○等に対する差止請求の当否について

上記lで述べたところを本件についてみると,被告らが本件仮処分決定の後もこれを無視して示威活動3を行った事実、被告在特会が,示威活動3の直後にそのウェブサイトで「反日教育を推進する犯罪者の巣窟,子どもの未来を奪う児童虐待を継続して行っている朝鮮学校を一日も早く消滅させるため,在特会はこれからもまい進して参ります」という文章を掲載した事実,本件活動後も,被告らの一部が,徳島県教職員組合に対する示威活動(被告○○, 被告○○及び被告○○や右京区役所に対する示威活動(被告○○, 被告○○, 被告○○及び被告○○)を,いずれも威圧的・暴力的な態様で行った事実,被告○○が前者に同行してその様子を撮影していた事実, 被告○○及び被告○○が本件学校の移転先(新校舎建設中の場所)にも許可なく立ち入った事実,その際, 被告○○が朝鮮学校を侮辱する言動を行った事実,その様子を被告○○が撮影していた事実に照らせば,本件学校が移転統合された今でもなお, 被告○○, 被告○○, 被告○○, 被告○○及び被告○○並びにこれらの者の活動母体である被告在特会によって,本件学校の移転先において,本件示威活動と同様の業務妨害及び名誉毀損がされる具体的なおそれが認められるから,同被告らには,少なくとも, 主文4項に記載の程度の限度で, 原告に対する権利侵害を差し控える不作為義務を負うものといわなければならない。被告○○についても,上記の被告らとの繋がりがなくなったものとは思われず, 上記の被告らに同行して業務妨害及び名誉毀損に及ぶ具体的なおそれが認められるから,同様の不作為義務を負う。

3 被告○○等に対する差止請求の当否について

被告○○及び被告○○については,本人尋問において原告に謝罪し, あるいは謝罪したいとの意思を明確にしている。また,被告○○は, 平成 22年5月,徳島県教職員組合への示威活動を行った被告○○及び被告○○を主権会から除名処分にしているが,弁論の全趣旨によれば,そのころ以降, 主権会と被告在特会とが共同して示威活動をすることがなくなった事実及び被告○○は被告在特会とのつながりが薄くなった事実が認められる。したがって,被告○○及び被告○○の両名によって本件示威活動と同様の業務妨害及び名誉毀損がされる具体的なおそれまでは認められないから,この両名に対する原告の差止請求は理由がない。

4 被告○○に対する差止請求の当否について

被告○○の本人尋問及び弁論の全趣旨によれば,被告○○は本件街宣車の名義人であるものの,その管理及び使用は専ら被告○○が行っており,本件示威活動に本件街宣車が供されたことは本件訴訟に至るまで知らなかったことが認められる。

そうだとすれば,被告○○が本件示威活動のために本件街宣車を提供したとは言い難いのであって, 被告○○の行為により,今後,原告に対する権利侵害がされる具体的なおそれを認めることができないから, 被告○○に対する差止請求は理由がない。

5 北方ジャーナル判決について

被告らは,請求の趣旨4項の差止めは表現行為の事前抑制に当たり, 北方ジャーナル判決が説示する非常に厳格な要件を満たさない限り許されないと主張するが,原告の請求は,被告らによる表現行為そのものを差し止めるものではなく,本件学校の移転先の門扉を起点にした半径200メートルの範囲だけに場所を限定し, かつ, 業務妨害あるいは名誉毀損となり得る表現行為のみを制限するにすぎない。北方ジャーナル判決は, この程度の不作為義務の給付をも違法とするような法理を述べるものではなく,被告らの主張は失当である。




第9 結論


以上の次第で,原告損害賠償請求は前記第7の限度で理由があるものとして認容し,その余を失当として棄却し, 原告の差止請求は, 前記第8の限度で理由があるものとして認容し,その余を失当として棄却することとし, 主文のとおり判決する。

                                 以上。

rawan60rawan60 2013/10/10 00:04 毎度ながら、大量の書き起こしUPお疲れ様です。

そのため仕方のないことですが「理由1」「理由2」ともに誤字がかなり多く見られます。
適時、訂正していただければありがたいです。

arama000arama000 2013/10/10 08:01 どもです。我ながら酷いです。ともかく訂正してみました。毎回すいません。

rawan60rawan60 2013/10/11 02:23 こちらについては他に

4の2の(2)の「原告の学枝法人」は「学校法人」
5 の(2)アの「人聞と朝鮮人では」は「人間と朝鮮人」
6 において「補示」「摘示」「描示」などが使われているが「摘示」か?あるいは原文ママか?
同(1)の「名誉を艶損した」は「毀損」
同(2)の「註明されない場合でも」は「証明」
同(3)の「木件学校が本件公園に設置していた」は「本件学校」
第5の1の「責怪を負えばよく」は「責任を負えばよく」「結果との聞の因果関係を」は「結果との間の」
同3の「それら示威活動相互聞には」は「相互間には」
同7の「これらの示威祈動に参加」は「示威活動」
第6の1(3)「白由自在に行うことが」は「自由自在に」
第7の2の(2)「学技法人の教育業務」は「学校法人」
第8の2の「被告らが木件仮処分決定の」は「本件」

といったところでしょうか。

arama000arama000 2013/10/12 00:16 本当にありがとうございます。返事が遅くなりましたが、毎度、このような難儀な仕事を手伝わせまして申し訳ないです。助かりました。
早速、訂正させていただきました。

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