今日の産経ニュース(9/10分)(追記・訂正あり)

■【産経抄】安倍首相の無投票再選批判はお門違いも甚だしい
http://www.sankei.com/column/news/150910/clm1509100004-n1.html
 安倍が「野田*1の推薦人になったら後でどうなるか分かってるのか」と脅すから批判されるんですけどね。何せ過去には「刺客選挙」なんかやらかした自民党です。
 「公認がもらえなくてもいいのか、郵政選挙のような刺客選挙をやりたいのか」と脅されれば、まあ、大抵の人間はびびるんじゃないですかね。
 安倍以外が、特に「民主党辺り」が同じ事やらかせば独裁と批判するだろうに、いつもながら随分と安倍に甘いもんです。

【追記】
■『【自民党総裁選】山崎氏*2自民党大政翼賛会」 安倍首相の無投票再選を批判』
http://www.sankei.com/politics/news/150911/plt1509110030-n1.html
 中曽根*3派出身の防衛族議員で改憲派の山崎氏ですら恐怖を感じる極右が安倍だと言う事です。


■【石平*4のChina Watch】中国の歴史歪曲・粉飾は長い伝統、日本に「正しい歴史観」を求める資格はあるか
http://www.sankei.com/column/news/150910/clm1509100008-n1.html
 まあ、石平らしいと言えばらしいんですが、この男がここまで日本ウヨに媚びる理由は何なんだろうと心底呆れます。やはり「日本ウヨのくれる金」でしょうか。

 昭和20(1945)年8月15日の終戦の時、日本軍の「支那派遣軍」は依然、中国大陸の大半を支配下に置き、105万の兵力はほとんど無傷のままであった。つまり日本はアメリカに敗戦して全面降伏したが、決して中国によって「打ち負かされた」わけではない。

 やれやれですね。この石の理屈だと「中華民国も日本に勝ってない」ということになるわけですが、そう言う主張をする度胸があるんでしょうか?。そもそも「105万ものの大量の兵力を中国大陸に投入せざるを得なかった」「にもかかわらず中国に勝てなかった」と言う時点で「ある種の敗北」だと思いますし、この石の理屈だと「ベトナム戦争ベトナムは勝ったとは言えない」だの「アフガン侵攻でソ連は負けたとは言えない」などという事にもなりかねないでしょう。米軍もソ連軍も「完全に壊滅されたわけではない」からです。

日中戦争当時の中国には中華民国政府という合法的な政府が存在しており、日本軍が戦った主な相手は、「国民革命軍」と呼ばれる中華民国の政府軍だった。共産党の率いる部隊はいわゆる「八路軍」として知られるが、八路軍の正式な名称は「国民革命軍第八路軍」であって、中華民国政府軍の一部隊にすぎなかった。

 こういうのを詭弁と言います。

 歴史に対するこのような態度は中国の長い伝統である。
(中略)
 たとえば唐王朝の2代目皇帝・太宗の時代、太宗に仕えた魏徴という高官が前王朝の隋朝の史書である『隋書』を書いたが、隋朝の末代皇帝の煬帝は希代の暴君として描かれた。その結果、煬帝との対比で、反乱を起こして隋王朝を潰した唐の太宗父子、特に太宗本人は希代の英雄・名君として歴史に名を残した。

 ばかばかしい。そんなのはどこの国だって同じでしょう。
 たとえばわかりやすい例を出せば日本書紀には「武烈天皇」の残虐記述が出てきます。ただこの残虐記述は「中国の歴史書に出てくる暴君の記述とよく似ていること」「古事記にはそうした残虐記述が見られないこと」から

血縁関係が薄い次の継体天皇の即位を正当化する意図が『書紀』側にあり、武烈天皇を暴君に仕立てたとする説が一般的である(ウィキペ「武烈天皇」)

わけです。なお、話はずれますが、「武烈天皇→武烈に子がいないため遠い親戚の継体天皇が即位」からわかるように「万世一系」などというのは全く事実に反するただのイデオロギーのわけです。
 なお、この石の主張は「唐王朝」云々などという中国共産党と全く関係ない事を持ち出してることで分かるように「反共主義」などという甘い物ではなく完全な中国人差別です。

 共産党政権下で編纂された歴史書や教科書のすべては、「前王朝」の中華民国時代を「暗黒時代」として徹底的におとしめる

 蒋介石毛沢東が歴史になった事から現在の中国はそれほど話は単純ではないでしょう。今度の式典でも国民党兵士も招待されたそうですし。
 また「前政権が否定的に評価される」なんてのは何も中国の専売特許でもないでしょう。明治維新後の徳川幕府評価なんぞもそうだったんじゃないですかね。
 いずれにせよこんなことは「日本ウヨの戦前美化」を正当化する理由には全くなりません。


■【主張】安倍総裁再選 「拉致」を忘れていないか
http://www.sankei.com/world/news/150910/wor1509100008-n1.html

 自民党総裁再選に際して、安倍晋三首相の発言に拉致問題についての言及がないのは、どうしたことか。

 「国民ウケせず票にならないからです、以上」で終わる話です。つうか「小泉訪朝後の」過去の自民党総裁選挙(安倍(過去の第一次及び今の第二次)、福田、麻生、谷垣が総裁に選出)だって拉致の言及なんてほとんどなかったでしょうに。

 安全保障関連法案をめぐる国会審議でも、「拉致」は重要課題とはならなかった。

 議題にならないのは当たり前でしょうよ。そんなに安倍に「この法案ができたら北朝鮮相手に発動する」と言って欲しかったのか。

恐れるのは、この問題が風化することである。

 既に風化してると思いますが。

岸田文雄外相は1日、拉致被害者らの再調査報告について「全ての拉致被害者の帰国を目指すという意味で期限を設けない」と述べた。北朝鮮による時間稼ぎを容認することにつながる、看過できない発言だが、これが安倍政権の基本姿勢なのか。党内から批判の声も聞かれない。

 普通に考えて岸田発言は「安倍政権の基本姿勢」でしょう。外相という重要閣僚が首相の意思を無視して放言し、それについて首相が批判しない、なんてことはありえない。
 安倍批判ができない産経としては「首相は早く岸田外相発言を『岸田氏の私見に過ぎない』として否定してくれ」「早く制裁を再開してくれ」とでも言うんでしょうが、まあありえないでしょうね。岸田氏がああいう発言をするにおいて安倍の了解を取ってるのは当たり前だからです。いったん安倍が了解したことを「救う会、家族会がうるさいから『君の私見』ということにして発言を撤回しよう」と安倍に言われて「ああ、そうですか、わかりました」と岸田氏や外務官僚が了解するとも思えない。
 いや仮に渋々了解したとしても「今後岸田氏や外務官僚と安倍の関係がぎくしゃくする」「今後の政治問題での支障が生じるかも知れない」わけでそんなことは安倍には怖くてとてもできないでしょう。

 こうした政府のあいまいな姿勢が国民の関心を遠ざけ、例えばこんな事態を生じさせる。
 TBSはこの夏、放送したドラマ(注:「SP 八剱貴志」)で、贈収賄事件で逮捕される政治家役にブルーリボンバッジ*5をつけさせた。バッジは拉致被害者の救出を祈るシンボルである。
 TBS側は「他意はなく、政治家っぽい雰囲気を出せると思った」と説明したのだという。あまりの無神経、お粗末さにあきれるが、拉致被害者の救出運動が国民的盛り上がりをみせていれば、起き得なかった演出だろう。

 呆れるのはTBSに因縁つける産経らウヨの方ですがそれはともかく。確かに「ブルーリボンバッジ運動」が盛り上がってればこういう演出はなかったかも知れない。また今「TBS許すまじ」と騒いでるのはウヨだけで世間はこんなこと話題にしてません。産経が「拉致の風化」を事実上認めてるのが実に滑稽です。
 しかし運動が盛り上がらないのは『政府の弾圧やネガティブキャンペーンでもない限り』、普通に考えて「運動をやる側の責任」でしょうが「政府が悪い」と強弁する産経には呆れます。
 政府から金もらってやってる官製運動じゃあるまいし、何で「政府のせい」なんでしょうか。


■「ああいう国には、アメとムチを」拉致解決で蓮池さん、福岡で講演
http://www.sankei.com/west/news/150909/wst1509090106-n1.html
 人の良さそうな顔してるので「飴と鞭」なんてどぎつい事言わないかと思ってたんですけどね。それはともかく

拉致問題の解決には(注:飴だけ、鞭だけ*6というメリハリのない外交ではなく、適切なタイミングで飴と鞭を加える)メリハリのある外交が必要」
「最終的に求めているのは日本との国交正常化、さらには多額の経済協力」と北朝鮮の思惑を分析。日本によるインフラ整備や投資を呼び水に「北朝鮮拉致問題解決に向くような、将来のビジョンを示す必要がある」

という蓮池発言からは彼が巣くう会と違い本当に「飴と鞭」派であることがわかります。
 蓮池氏の言う鞭とは「やらずぼったくりにならないための鞭」であってメインは「拉致解決のための飴」です。
 あくまで鞭は「飴を100個もやったのにリターンがないんじゃ嫌だ」「やらずぼったくりは嫌だ」つう話です。
 しかし救う会の場合「飴と鞭」というのは最初から嘘で、北朝鮮打倒論が本心だから「鞭しかやる気がない」。「飴云々」というのは「交渉しないで問題解決するのか」という交渉派の批判への言い訳に過ぎません。
 「飴もやる気はある」と言いながら「特定失踪者」なんてデマまで持ち出してるわけです。

*1:小渕内閣郵政相、福田内閣食品安全担当相、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*2:宇野内閣防衛庁長官、宮沢内閣建設相、自民党政務調査会長(橋本総裁時代)、幹事長、副総裁(小泉総裁時代)を歴任

*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣防衛庁長官、運輸相、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*4:著書『なぜ中国人はこんなに残酷になれるのか:中国大虐殺史』(2012年、ビジネス社)、『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(2013年、PHP新書)、『世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気』(2014年、ビジネス社)など反中国著書多数

*5:単に「大物保守系政治家の設定ならつけた方がリアル」つう話でしょう。つうか保守系政治家でつけてない人ってどれほどいるんですかね?

*6:これが救う会の主張であり従来の政府方針です。