『林達夫セレクション〈1〉反語的精神』 平凡社ライブラリー

本書のベストセリフ

学生さん「20世紀思想の研究をどういう風にやったらよいか」

林達夫「義眼のように薄気味悪い目つきをしたサルトルの小説などばかり

    読み耽っている君には、最良の答えは見えないだろう」


似非思想家をぶった切る林先生は素晴しい!

林先生に言わせれば、本物の思想家なんてほとんどいない。

自称思想家のほとんどは、思想仲介人に過ぎない。

林先生も自身を知のブローカーだと認めておられます。

商人が扱う荷が、「思想」であるというだけなのに、

自分が利潤追求の商人だと気付かず、

思想家、哲学者でござるとデカイ面してる奴等は滑稽だよな。

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『百万ドルをとり返せ!』 ジェフリー・アーチャー   新潮文庫

主人公の一人がブール代数を専門にする数学者なので、

十進法とみせかけて二進法で騙すとか、

最短距離のスタイナー点を利用するとか、

整数座標を角度πで避けるとかのネタを期待したが、

数学トリックはほとんどなくて期待とは違ったが、

終盤のどんでん返し二連発は面白かったです。

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『反日マンガの世界』 晋遊舎

ネタにされている漫画は雁屋哲の「マンガ 日本人と天皇」 や、

石坂啓の「安穏族」 などのメジャー作と、

地方自治体が発行してるマイナー作、同人作も取り上げているが、

原田智子(はらだ・さとこ)が出てこないのは、

雑学王唐沢兄が噛んでいるにしてはやや物足りない。

唐沢なをきのギャグ漫画はどれも面白いのに、

兄が絡むとイマイチになるのは、

唐沢兄が矮小な右翼であったからだと理解出来ました。

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『心中天浦島』 栗本薫 早川文庫

本書のベストセリフ

「アナタヲ理解シタイ

 私ヲ理解シテ欲シイ」


『遥かな草原に』B.G.M"いとしのエリー"by サザン・オール・スターズ

『ただひとたびの』B.G.M"I can't tell you why"by イーグルス

『優しい接触』B.G.M"亡き王女のためのパヴァーヌ"by モーリス・ラヴェル

『心中天浦島』

『ステファンの六つ子』B.G.M"ステファンの六つ子 "by パンタ(頭脳警察

『黒い明日』


栗本薫氏の珠玉の初期短編集である。

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『三国志外伝』 三好徹 光文社

『美貌の皇妃』甄皇后
孔子の末裔』孔融
『烈士の運命』臧子源
『虚誉の人』許靖
『謀士、南海に果つ』虞翻
『最後の朝臣荀紣
張飛の妻』夏侯月姫
『諸葛一族』諸葛瑾
『謀士の哀しみ』賈詡
『乱世の掟』楊脩
劉備の刺客』孟達
『悲運の使者』張温
『恩讐二代』龐徳
『街亭の敗戦』馬謖
『志、立たずとも』諸葛恪
『洛神の賦』曹植

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『テロリスト伝説』 三好徹 集英社文庫

本書のベストセリフ

岡本耕三「愛を知るのに言葉はいらない。しかし、革命を知るには実践が必要である」

『赤い星の伝説』
『暗殺者の伝説』
『不死鳥の伝説』
『革命家の伝説』
『炎と水の伝説』
『千里虎の伝説』

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『エンジェル・エコー』 山田正紀 新潮文庫

想像できないものを想像する天才山田正紀

今回のモチーフは超空間である。

250P程度の薄い本なので、

詳しく書くと読む楽しみがなくなるので、

詳しくは書けないが、

万能の美少女のアシスタントになった、

覚醒しないエンディミオンの物語という紹介はどうよ?w

一人称なので、主人公の「ぼく」が、

どこで、誰に語っていた物語なのかが明らかになるラストは、

意外性があって良かった。

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『愛死』 ダン・シモンズ  角川文庫

本書のベストセリフ

ロバート・ハーンズ「地球上の生命はすべて

          偶発的に生まれたものだということがわかっている。

          人間もまた偶然の存在だ。

          だが、人が互いに愛し合うのは偶然ではない。」


①「真夜中のエントロピー・ベッド」
②「バンコクに死す」
③「歯のある女と寝た話」
④「フラッシュバック」
⑤「大いなる恋人」

の五作が収録された長編(!?)集。

シモンズは中篇と主張しているが、

改行のスカスカ版下を組めば、

簡単に250P越えになる濃密な作品ばかりである。

読み応え抜群の傑作集である。

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『マリコ/マリキータ』 池澤夏樹 文春文庫

本書のベストセリフ

ピエール「すべてが争いなしに、

予定調和のうちにうまく配分される世界だったらどんなにいいだろうとずっと思っていた。

自分と他人の区別がないのならどんなに楽だろうと思ってきた。

感覚をすべて共有できたら、

全部が一体となって一つの生物だったら、

ぼくと影の男の間をケーブルで結んでしまえたら、

ぼくと彼で彼女を共有するというのではなく、

ぼくと彼が一つの個体の中に均等に溶け込んでいたら。

ぼくという意識がもっとずっと希薄で、

ぼくたちという意識の方がずっと濃厚だったら。

ぼくはいつもそういうことを考えてきた。

誰にも言えないことを夢想して日を送る者、

今の攻撃的な社会から見ればほとんど脱落者だった。

それがぼくだよ」


マリコ/マリキータ』
『梯子の森と滑空する兄』
アップリンク
『冒険』
『帰ってきた男』

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『オレ様化する子どもたち』 諏訪哲二 中公新書ラクレ

怖ェ、凄ェ怖いよお〜。

ヘタなホラー映画やホラー小説より怖い。ガクガクブルブル…。

1980年代中葉から、

日本には変な子供、若者が大量に目に付くようになった。

一言で言えば、誇大妄想狂のキ○ガイ。

幼児の未熟な心のまま、

10代20代へと体のみは成長したキチ○イである。

この「オレ様化した子供達」は、

客観的に物事を考える能力が無く、

自分の主観が絶対的事実だと認識しているのであ〜る。

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