
ガラパゴス
日本の電気機器メーカー、シャープが提供する電子書籍用タブレット型端末と電子書籍配信サービス。
2010年12月10日に端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を2機種同時発売し、新聞、雑誌を含めて2万冊の電子書籍をネット配信するサービスを提供する。
2010年12月から発売を開始したが、2011年9月末をもって販売を終了することが発表された。イー・アクセス向けの製品供給は継続される。
デザイン・機能・性能
発売当初のシャープの目論見と市場動向
- シャープは2011年の早い段階で100万台の販売を目指している。電子書籍向けとされる端末では、NTTドコモのタブレット型端末「ギャラクシータブ」が同年11月26日に発売されたほか、NECビッグローブがタブレット型「スマーティア」(12月6日)、ソニーがeペーパーを使った読書専用端末「リーダー」(想定価格2万〜2万5千円程度)(同10日)に発売する。米アップルが5月末に発売して先行した「iPad(アイパッド)」を追う各社の端末が、この年末に出そろうことになる。
- 今後シャープがNTTドコモやKDDI向けに開発するスマートフォンにGALAPAGOSアプリを内蔵できれば、ユーザーは通信事業者が運営する電子書籍サービスとGALAPAGOSサービスを併用できる可能性がある。電子書籍サービスの参入競争では、「NTTドコモと大日本印刷」陣営と「KDDIとソニー、朝日新聞、凸版印刷」陣営がライバル関係にあるように見えるが、必ずしも対立関係になるとは限らない。
- 今回の新事業をシャープの企業戦略として見れば、メーカーによるクラウドメディア事業への参入という点が注目される。第1弾は電子書籍端末だが、将来はスマートフォンや液晶テレビにもつながっていく。デバイスとサービスを連携させる米アップル、クラウドサービスからOSに進出したグーグルに対抗するには、機器メーカー自身もクラウド事業に参入しなければならない時代になってきたといえる。
- シャープが次に狙っているのは3D対応のスマートフォンとされている。片山幹雄社長は「近いうちに3D対応のスマートフォンを投入する。撮影したコンテンツをクラウド上で共有できるようにしたい」と語り、今後、ソニーとの競争が予想される。
エピソード
インタビューにおいて平野氏は、「1日に読む文字の大半はパソコンなどのモニター上になっている。この状況を自然に受け止めて、(電子書籍を出すのが)当然のことのように出したかった。電子書籍が日常に溶け込んで、生活の中で何気なく使うものになるといいなと思う」と語った。平野氏は今後、新刊は必ず紙の本と電子書籍を同時に出す予定で、過去の作品も順次、電子化していくという。
- 「ガラパゴス」という名前を聞いて、IT業界の関係者やITに関心のある人は「なんて自虐的なんだ」と驚き、一時話題となった。(自虐的だとする背景には、世界どこでも使えることが前提のスマートフォンに対して、国内でしか使えないワンセグやおサイフケータイを搭載した日本の携帯電話は「ガラパゴスケータイ」、略して「ガラケー」などと呼ばれるということを踏まえている。)
- 命名時には賛否両論あり、シャープ自身は前向きな意味を込めて「ガラパゴス」を採用しており、世界の標準技術に日本ならではのノウハウと技術を融合させた世界に通用する製品の象徴として、GALAPAGOSと命名した。
インタビューにおいてシャープの岡田圭子オンリーワン商品・デザイン本部長は、「GALAPAGOS」を、変化に敏感に対応する『進化の象徴』としてとらえている。