荒俣宏作の伝奇小説。第8回日本SF大賞受賞。
帝都の破壊をもくろみ、関東最大の怨霊平将門を喚び覚まそうとする魔人加藤保憲と、それを阻止しようとする人々の100年に及ぶ戦い。その風水説の他、考現学だ、加藤と対峙する路上観察學会だ、地下鉄工事に駆り出される學天則だ、魔道士三島由紀夫だ、陰陽道だ、魔術としての数学だ、シャーマニズムとしての日蓮宗だ、ソヴィエトの人が持つ邪視だ、デッドなフューチャー(昭和七十年代から東京にブレード・ランナー張りのガス・バーナーが出るのだ)だが出る。「アベンゼン」(フィリップ・K・ディックの「高い城の男」に出てくるホーソン・アベンゼンと同じ「イナゴ身重く横たわる」と言う本で日本の破滅を書く)が「易で」東京が破滅する小説を書き、その上で「三島由紀夫は自殺でなくて儀礼として腹切ったんではないか」説を提唱、とかする。
亥年生まれの著者が 亥年に書きはじめたもので、なので「乾」の方角がキイワードになったり、破邪のアイテムで猪の毛が出たりする。なお刊行後、やはり亥年の1995年に、大変なこと(江戸じゃなくて神戸だけど)が起ったので、大幅に加筆修正した合本と、外伝が刊行された。
その物語のスケールはとてつもなく、時間として大正の世から未来(昭和七十年 なんで昭和が続いてるのかは作中で言及される)まで、地域として日本から満洲国(加藤さんが出張する)までを登場人物たちが駆け巡り、此れほどの小説はまずあまり存在しない。加藤は使い魔(陰陽道と仏教では式神と護法というのだが、加藤保憲は両方使える)を操って、「月」を引っ張ったりする。
なお、解説書たる『帝都物語異録』によると、この戦いは平安の世から絶えず行われていた魔術大戦の一部であるようで、代々加藤なんとかを名乗る魔道士がでる。後プレストーリーである「帝都幻談」などが発行された。
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荒俣宏原作の同名小説の映画化。嶋田久作の怪演で有名。
明治45年から昭和3年というロマン溢れる時代を背景に、東京の闇の世界でくりひろげられるサイキック・ウォーズを描く、スペクタクル超大作。