封切り四日目。 席数107の【CINE1】の入りは七割ほど。 おそらくは『牧野富太郎』も同じにカテゴライズされる人間だったのではないか。生活力はさらさら、経済観念も皆無の。 周囲がフォローしなければ靴の紐さえ結べず、纏まった金が入れば後先を考えずに研究と女遊びに注ぎ込んでしまう。 しかし多くの人に引き立てられ慕われもし、百年以上先にも残る偉業を成した。 彼我の差は、那辺にありや。 『ツチヤタカユキ(岡山天音)』は笑いに取り憑かれた男。 常に笑いを追い求め、なにをそこまで・・・、と傍目には思える厳しい修養を自己に課す。 が、それは笑いに限ったことであり、前提となる生きる術に関してはからっきし。 …