元禄12年5月14日。御器所妙行寺村で、妙行寺の甥の浪人七右衛門が七間町の馬子を切り損ない、体裁が悪いと行方をくらます。近頃、中村芳隆のところで盗人を捕らえる。これより前に芳隆門の腰掛で寝ている者が1人いたことがあった。芳隆の母が寺を詣でる際にこの者を見て尋ねると、元は大工だったが、貧窮するに及び乞食をしていると答えた。母は憐れに思い食事などをとらせた。夜には門の内に寝かせた。この乞人は戸の開け閉めし、何事においても才気あふれていた。この後、また1人がやって来た。これは木引の行き倒れであった。先の乞人が身元を引き受け、同じようにここに留まった。こちらも才気あふれていた。またその後、1人やって来…