肺から最大2万2000ベクレル 5人搬送 内部被ばく検査へ - NHKニュース(2017年6月7日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170607/k10011009131000.html
https://megalodon.jp/2017-0607-1312-08/www3.nhk.or.jp/news/html/20170607/k10011009131000.html

6日、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施設で、袋の中から放射性物質の粉末が漏れ出し作業員5人の手袋や服などが汚染されたトラブルで、このうち1人の肺から最大2万2000ベクレルの放射性物質が計測され、原子力機構は5人を専門の施設に移し詳しい検査を行うことにしています。
茨城県にある日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」の施設で6日午前、5人の作業員が燃料の貯蔵容器の点検をしていたところ、実験で使ったプルトニウムやウランを含む放射性物質の粉末が入った袋が破裂し5人の手袋や服が汚染され、このうち3人の鼻の中から最大24ベクレルの放射性物質が確認されました。

文部科学省によりますと、体外に出てくる放射線を測定する機器で調べたところ、このうち1人の肺から6日の時点で確認された値より大幅に高い、最大2万2000ベクレルの放射性物質が計測されたということです。

原子力規制庁によりますと、この放射性物質プルトニウム239だということです。

どのくらい被ばくしているかは、まだわかっておらず、この1人を含む5人全員について体内に入り込んだ放射性物質の影響で被ばくする内部被ばくについての詳しい検査が必要だとして、千葉市にある放射線医学総合研究所に搬送したということです。

5人は当時、燃料研究棟と呼ばれる燃料の研究開発などに使われていた施設で作業をしていて、原子力機構は漏れ出した放射性物質による外部への影響はないとしています。
「被ばく限度を超えるのはほぼ確実」
日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施設で、袋の中から放射性物質の粉末が漏れ出し、作業員5人の手袋や服などが汚染されたトラブルで作業員の1人の肺から2万2000ベクレルの放射性物質が計測されたことが7日の原子力規制委員会で報告されました。

これについて、規制委員会の放射線の安全規制が専門の伴信彦委員は「肺に吸い込んだ放射性物質の測定で、こうした値が出てくるのは半端な状況ではなく、作業員の被ばく限度を超えるのはほぼ確実だ。だからといって、命に関わる急性影響が出るということではないと思うが、事態としては決して軽微なものではない」と述べました。

そのうえで、「今回の作業の手順が、どこまで妥当だったのか厳しく見る必要がある。顔を半分覆う半面マスクをしていたのに体内の汚染が生じたということなので、マスクの装着が十分だったのかなどについても情報を確認したうえで監督、指導してほしい」と述べました。
「2万2000ベクレル 聞いたことがなく大きな値」
内部被ばくの問題に詳しい量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役は「2万2000ベクレルという数字は、事実なら国内では私は聞いたことがなく大きな値だ。ただ、健康への影響については体内に取り込んだ放射性物質がどのような核種なのかによって数倍違ってくるので評価のためにはこうした点を明らかにする必要がある」と話しています。

<加計学園>「獣医特区」は妥当? 農水省、需要減指摘 - 毎日新聞(2017年6月4日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170604-00000066-mai-soci
http://archive.is/2017.06.05-123652/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170604-00000066-mai-soci

学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区で新設を計画する獣医学部を巡り、実は獣医師を所管する農林水産省が、特区の協議で獣医療の需要が低下する可能性を繰り返し指摘していた。実際、ペット数が急減しているとの統計もある。獣医学部特区の認定で獣医師の需給予測は十分に検討されたのか。【福永方人、永山悦子】

農水省によると、獣医師資格保有者は全国約3万9000人で、内訳は(1)犬猫などのペット獣医約1万5200人(2)牛などの産業動物獣医約4300人(3)食肉検査などを行う公務員獣医約9500人。残りは製薬企業勤務や研究職など(2014年12月時点)。
獣医業界の複数の関係者は「産業動物獣医や公務員獣医は多くの地域で不足しているが、ペット獣医は余り気味」と証言。全体として数は足りているとみる。一方、国が示した獣医師需給予測は農水省の07年推計のみで、獣医師の需給がトータルでどうかの結論は明確にしていない。国家戦略特区での獣医学部新設方針を固めたワーキンググループ(WG)の議事要旨によると、農水省は14年8月に獣医師需給見通しのデータを求められたが、新たな推計は出さなかった。だが15年1月のWGでは一転、上昇傾向にあった犬猫の数が08年をピークに減少に転じたとする社団法人「ペットフード協会」の調査結果を強調し、家畜や畜産農家戸数も減ると主張。16年9月にも慎重姿勢をにじませた。
同省畜水産安全管理課は取材に「犬猫の数の把握は困難で新たな推計はしなかった。近年、ペットは急激に減少しているとみられ、獣医師の需要が増すとは考えていない」としている。
ある獣医系大学の教授は加計学園の計画について困惑をあらわにした。「定員160人というのは、天文学的な数字ですよ」

◇加計新学部 過大な規模 定員、全獣医系の2割
獣医師需要が低下するという農林水産省の主張を踏まえず、愛媛県今治市の国家戦略特区で浮上した新設獣医学部。その規模が獣医業界に衝撃を与えた。
獣医系学部・学科は現在全国に16あり、定員は最多でも120人、定員の合計は930人だ。加計(かけ)学園が来年春の開学を目指す岡山理科大獣医学部は定員160人で、既存の国公立大4〜5校分に相当。総定員を一気に2割近く増やす。
それ以上に問題視されているのは、70人という教員数だ。定員160人を「天文学的」と表現した獣医系大学の教授は言う。「教員は今も足りない。まともな人材を集められるのか」
日本獣医師会によると、16の獣医系学部・学科の専任教員数は合計でも約700人。文部科学省の認証機関「大学基準協会」が獣医系で定める専任教員数の基準「68〜77人以上が望ましい」を満たしているところは一つもなく、どこも教員確保に苦労している。大学認可の権限を持つ文科省が新設や定員増を長年認めてこなかった背景には、この教員不足もある。52年ぶりの獣医学部新設を目指す岡山理科大は、全国の専任教員の1割に当たる人数をそろえようとしている。

      ◇

加計学園が教員スカウトに奔走している−−。そんなうわさが、獣医業界を昨年から駆け巡っていた。同学園が特区事業者に決まったのは今年1月。見切り発車のような動きに「やはり加計ありきだったのか」と疑念が広がった。
獣医系の大学関係者によると、西日本のある国立大の准教授は昨年冬、同学園に「教授で迎えたい」と誘われた。提示された給与は1年目1200万円、2年目以降800万円。獣医系の教授の年収は700万〜800万円ほど。「教授」の肩書も含め好条件だった。しかし、学生の教育に専念することを求められ、准教授は研究を続けたいとして断ったという。
同学園の教員について、新設の可否を審査する文科省大学設置・学校法人審議会の委員から「定年退職した65歳以上の教授と、大学を卒業したばかりの若手が多い」と年齢の偏りを指摘する声があるという。開学する来年春に定年を迎える教員に声をかけている、との獣医関係者の証言もある。審議会の元委員は取材に言った。「そんな大学は本来なら認可されない。『総理の意向』ということで、ウルトラCで通すのか」

     ◇

将来のペット獣医過剰を暗示するショッキングな推計がある。犬の血統書を発行するジャパンケネルクラブ(JKC)の調査などを基に獣医コンサルタント西川芳彦氏が試算したところ、10〜15歳の高齢犬の数が今年をピークに右肩下がりとなり、10年後に6割を切るという。西川氏は「病気になりやすい高齢犬が減れば獣医はどんどん余っていく」と指摘する。
特区認定に向けた加計学園の資料によると、新設学部は「先端ライフサイエンス研究」を強調するが、ペット獣医も養成する。西川氏は「学生が卒業するころにはペット獣医で食べていけなくなる。学部新設は最悪のタイミングだ」と話す。
北海道大人獣共通感染症リサーチセンター統括の喜田宏教授も「獣医師の数が足りている現状では、むしろ既存の獣医学部の統合再編で教育の中身を充実させるべきだ。新設は本当に必要なのか」と疑問を呈している。

◇全国の獣医系学部・学科の定員数

【国立大】

北海道   40

帯広畜産  40

岩手    30

東京    30

東京農工  35

岐阜    30

鳥取    35

山口    30

宮崎    30

鹿児島   30

【公立大】

大阪府立  40

【私立大】

酪農学園 120

北里   120

日本   120

日本獣医

生命科学  80

麻布   120

合計   930

◆岡山理科

(予定) 160

※岡山理科大加計学園が運営

森友問題に酷似 加計疑惑にも浮上した「日本会議」の線 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年6月7日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/206853

来春、愛媛県今治市に開校予定の加計学園の岡山理科大獣医学部。加計孝太郎理事長と安倍首相は40年来の親友で、新設計画に「総理のご意向」が働いたのではないかと、国会で連日追及されている。首相と昵懇の一部のお友達においしい話がもたらされる構図は森友問題とソックリなのだが、ここに来て、別の疑惑が急浮上し始めた。甘い汁を吸っている連中が右派組織「日本会議」でつながっている疑いだ。
岡山理科大獣医学部の建設地は今治市が36億7500万円相当の市有地を無償譲渡し、総事業費192億円のうち最大96億円を市と愛媛県が負担する。ところが、キャンパスの工事を請け負うのは岡山市が本社の「アイサワ工業」など、地元とは縁もゆかりもない建設業者2社。おこぼれにあずかれない県内業者からは怨嗟の声が上がっているという。
なぜ今治市に開校する大学の新設工事に地元業者が絡めないのか。調べてみると、浮かんできたのが右派組織「日本会議」の存在だ。6日発売の「週刊朝日」は、獣医学部新設の必要性を訴えてきた菅良二今治市長と加戸守行前愛媛県知事は、安倍首相と同じく「日本会議」の活動に参加してきた共通点があると指摘している。
奇妙な点はこれだけじゃない。アイサワ工業の逢沢寛人社長は、日本会議国会議員懇談会メンバーの逢沢一郎元外務副大臣のいとこ。いわばファミリー企業だ。さらに言えば、安倍の「腹心の友」の加計孝太郎理事長は“日本会議の別動隊”といわれる育鵬社の教科書発行団体「教科書改善の会」の賛同者に名を連ねる。系列の岡山理科大付属中では実際に歴史修正主義的な育鵬社の教科書を歴史と公民で使用している。
森友学園籠池泰典前理事長も日本会議大阪の運営委員だった。こうも偶然が重なると、加計学園獣医学部新設も日本会議マターとの疑念が生じてくる。
果たして、逢沢元副大臣日本会議とのパイプを生かし、いとこが経営するアイサワ工業が工事を受注できるよう、加計学園に働きかけたのか――。逢沢氏を直撃した。

「そうした事実はございません。私は日本会議国会議員懇談会メンバーになっているかもしれませんが、何か特別な活動をしているわけではないし、熱心な会員という自負もございません。実は、岡山市が選挙区の私と、岡山に本部がある加計学園は以前からお付き合いがございます。いとこのアイサワ工業が加計学園に関係する工事を受注するのも、今治市の新設工事が初めてではありません」

加計学園の取材を続けているジャーナリストの横田一氏が言う。

加計学園に無償譲渡された土地代と建設費の原資は、言うまでもなく今治市民と愛媛県民の税金です。無関係の岡山県の建設業者においしいところを持っていかれ、ちっとも潤わない愛媛県内の建設業者から聞こえてくるのは嘆き節です。一部のお友達や教育的思想を共有する仲間には至れり尽くせりなのに、地元を冷遇する点は国家戦略特区の『地方創生』の趣旨にも反します」
いいようにむしり取られている愛媛県民はもっと怒った方がいい。

読売社員「政権べったり」前川前次官報道に困惑 - AERA dot. (2017年6月6日)

https://dot.asahi.com/aera/2017060500063.html

日本最大の発行部数を誇る全国紙は、権力の走狗と成り果ててしまったのか。「官邸からのリーク疑惑」は社内でも波紋を広げている。

*  *  *
そのあまりにも奇異な記事が出たのは、5月22日付の読売新聞朝刊だった。

<前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜>

前文部科学事務次官前川喜平氏が、現役時代に新宿・歌舞伎町の出会い系バーに出入りしていたと社会面で大々的に報じた。前川氏が2、3年前から週に1回ほど店に通う常連だった、という関係者の話や「私も誘われたことがある」という女性の証言などが掲載されている。そして<「出会い系バー」や「出会い系喫茶」は売春の温床とも指摘される>と続くが、前川氏が買春した事実があったかどうかには全く触れられていない。

●記者と名乗らず取材

「複数の女の子によると、19日の金曜日の21時半ごろから22時半くらいに男性2人が店に来て、前川氏のことを聞きまわっていた。前川氏の写真を見せ、記者と明かさず、『この人の部下なんだ』と話し、店に来る頻度や店内での様子などを根掘り葉掘り聞いていたようです。そんなことを聞く客なんていないから、相当目立っていたみたいですよ」(歌舞伎町関係者)

くしくも、記事が出た翌23日には朝日新聞の取材があり、24日には本誌が前川氏にインタビューし、週刊文春(6月1日号)で証言が報じられた。すでに私人となった前川氏の醜聞が、このタイミングで報じられたことは何を意味するのか。前川氏は本誌の取材にこう答えている。

加計学園のことは話すな。話すとひどいことになる。こうして実際に起こったでしょ、と私に対する威嚇と感じました」

その「威嚇」について、週刊新潮(6月1日号)は「安倍官邸が暴露した『文書リーク官僚』の風俗通い」との記事で、読売報道は官邸周辺からのリークだった可能性を指摘。週刊現代(6月10日号)は、与党幹部の証言として「北村滋内閣情報官、中村格警察庁刑事局組織犯罪対策部長が情報を流したと聞いている」と報じた。政権側の情報操作に、新聞社が加担したとすれば由々しき事態だ。他社の政治部記者は「ここまでやるか」と驚き、5月29日夜に安倍晋三首相が政治部長ら読売幹部と会食すると、のけぞった。購読者にも懸念は広がっているようだ。

「あの報道以降、SNSで『読売新聞へ不買運動を起こそう』という呼びかけが起こった。それに同調した人たちなのか、読者センターに『購読をやめる』というメールが寄せられているようだ。さすがに不買運動にまで発展するとは思わなかったようで、上層部も気にしていると聞いています」(読売新聞社員)

不買運動の有無について読売新聞広報部に問い合わせたが、回答は得られなかった。

●明らかに「ワケアリ」

元上毛新聞記者で、民進党衆院議員の宮崎岳志氏は「読売内部の記者も嘆いている」と語る。

「私が知る読売記者は『こんなことをやらされるなんて』と泣いていました。他にも、複数の記者が会社のやり方に怒っていて、『すべての読売の記者が同じだと思わないでください』と。8割はそういう良識のある記者でしょう。でも、越えてはならない一線を越えてしまった」

元読売新聞大阪社会部記者でジャーナリストの大谷昭宏氏は、「あの記事の書き方は完全に『ワケアリ』だとわかる」と語る。

「同じニュースでも東京、大阪、西部それぞれの本社が編集するので、見出しや記事の大きさは異なる。でも、あの記事はすべて同じ。これは依頼が断れない記事を指す『ワケアリ』の特徴です。官邸との癒着を読売は否定するだろうが、内部にいた人間なら誰でもわかる」(大谷氏)

さらに、記事にはもうひとつ不自然な点があるという。

「『教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ』と演説を入れている。社会面の事件報道で『容疑者に世間の怒りがわき起こりそう』などとは書かない。原稿の趣旨まで決められている。政権のために、社会部がアシとなって記事を書く。こんな理不尽になぜ記者は抵抗しないのか」(同)

安倍首相は、今国会でも自身への批判に「印象操作だ」と繰り返す。その言葉が向けられるべきは、官邸ではないのか。(本誌取材班)

AERA 2017年6月12日号

「国会審議は不条理」「共謀罪」広がる音読 再現劇を6・11全国一斉開催 - 東京新聞(2017年6月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017060702000120.html
https://megalodon.jp/2017-0607-0917-06/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201706/CK2017060702000120.html

共謀罪」法案をめぐる国会審議を音読する北陸発の活動が、全国に広がっている。質疑を声に出して読むことで、国民の理解を置き去りにして進む法案審議の問題点を浮き彫りにする試みだ。十一日には全国の市民グループらが各地で一斉に開催。「国会で何が起こっているかを体験しよう」と参加を呼び掛けている。 (中山洋子)
衆院予算委や法務委の攻防を、金田勝年法相や民進党山尾志桜里議員らになりきって再現する音読劇は、先月十五日に石川県で始まった。
金沢市の主婦小原美由紀さん(52)が書き起こした国会質疑を「声に出して読んでみよう」と数人で始めたところ、その手軽さと面白さが共感を呼び、後に続く人たちが相次いだ。これまでに北海道から鹿児島まで全国十四都市の二十二カ所で同様の「音読」が自発的に催されてきた。
「『そもそも』という意味にはですね」と、辞書にない解釈を披露した安倍晋三首相を演じたり、「告発された場合でも、嫌疑がなければ捜査の対象にはなりません」と犯罪捜査の基本を逸脱する金田法相の珍答弁をしどろもどろに読み上げたり。各会場で繰り広げられる喜劇のようなやりとりが、現実の国会審議と知って驚く参加者は少なくない。
活動を紹介するホームページ「コッカイオンドク!」には各地の開催予定のほか、実際にやってみた人たちの報告や音読劇の動画、これから試みる人たちのためのコツなども掲載。台本となる国会審議の書き起こしも続々追加されている。

「共謀罪」法案の審議日程が窮屈に 「加計」問題で与党は延長に慎重 - 東京新聞(2017年6月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017060702000115.html
https://megalodon.jp/2017-0607-0916-40/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017060702000115.html

民進党は六日、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の審議を巡り、参院法務委員会の運営が強引だとして、秋野公造委員長(公明)の解任決議案を提出した。与党は七日の参院本会議で否決する。審議が八日以降にずれ込んだことで、十八日までの今国会会期内に「共謀罪」法案を成立させるには日程が窮屈になった。与党は会期延長を検討する一方、「加計(かけ)学園」問題の追及を避けるため、延長に慎重な声もある。
六日の政府与党連絡会議で、安倍晋三首相は「共謀罪」法案について「引き続き丁寧な説明に努め、今国会の成立に万全を期す」とあいさつした。自民党竹下亘国対委員長も記者会見で「会期内に全て収めることに、何ら変わりはない」と強調した。
一方、民進党は、参院金田勝年法相の問責決議案を、衆院内閣不信任決議案の提出をそれぞれ検討している。これらが出されれば「共謀罪」法案の審議はさらに遅れる。
与党は性犯罪を厳罰化する刑法改正案の今国会での成立も目指しており、会期延長の可能性がより高まる。
ただ、加計学園問題を巡り、民進党などが文部科学省前川喜平事務次官の証人喚問を求めるなど攻勢を強めており、与党幹部は「国会は早く終わった方がいい」と話している。

加計学園問題 再調査を拒む不誠実 - 東京新聞(2017年6月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017060702000134.html
https://megalodon.jp/2017-0607-0916-14/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017060702000134.html

獣医学部新設をめぐり、安倍晋三首相の意向が働いていたのか否か。国会が真相解明に努めるのは当然にもかかわらず、政府は理由にもならない理由を付けて再調査を拒んでいる。不誠実に過ぎる。
国会で真相解明の俎上(そじょう)に載っているのは、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部愛媛県今治市に新設する計画だ。学園理事長は安倍首相の「腹心の友」であり、そのことが計画をめぐる行政判断をゆがめることはなかったのかが、問題の核心である。
文部科学省が作成したとされる文書には「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと、内閣府が早期の学部新設を働き掛けたと、うかがえる記述があった。
政府側は文書について内部調査を行ったものの「確認できなかった」と早々に結論づけ、内容を全面的に否定。野党側が同省内で共有したとみられる電子メールの写しが見つかったとして再調査を要求しても拒否し続けている。
五日の衆院決算行政監視委員会では、民進党委員がメールの送受信者十人の名前を読み上げた。同省高等教育局長は「同姓同名の職員は実際いる」と答えながらも、出所や入手経路が明かされていないとして、確認は拒んだ。
あきれるばかりの答弁である。行政府が全国民の代表である国会を愚弄(ぐろう)しているとしか思えない。国民の疑問に真摯(しんし)に答えようという公務員として当然の姿勢すら感じられない。このような人たちに私たちの子孫の未来や国の行く末を大きく左右する教育行政を任せ続けていいのだろうか。
こうした姿勢は、安倍首相自身が真相解明に消極的であることの反映でもあろう。
首相は学部新設計画への関与を尋ねられると「私の意向は入りようがない」と重ねて否定し、野党側の指摘には「印象操作」だと反論する。このまま追及をかわし続け、時間切れを狙うのなら、国民の知る権利の蹂躙(じゅうりん)にも等しい。
首相は、かつて学園の監事を務め、報酬を受け取っていたことを認めている。首相のミャンマー訪問に学園の理事長が同行して、政府専用機に同乗していたことも明らかになった。
首相と学園との親密な関係が学部新設に影響しなかったのか、国会が追及するのは当然だ。野党側は首相に「印象操作」などと言われてもひるむことなく、国政の調査という国会の責務を国民の代表として誠実に果たしてほしい。

(筆洗)「印象操作だ」「(自分への)印象操作でいいかげんなことを言っている」と唱え続け、質問に真正面から答えようとしない。 - 東京新聞(2017年6月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017060702000131.html
https://megalodon.jp/2017-0607-0915-35/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017060702000131.html

ちちんぷいぷい」。言わずと知れた、子どもが転んでどこかを痛めたときに唱えるおまじないで、続くのは「痛いの痛いの飛んでいけ」
歴史は古く、徳川家光公の乳母、春日局(かすがのつぼね)が使ったのが起源という説もあるそうだ。漢字で書けば「知仁武勇」。正確には「知仁武勇は御代の宝」であなたは優れた子であり、宝物だからどうぞ泣かないでの意味になろう。
われわれが現在、耳にしているのは国会論戦史上、最悪のまじないかもしれぬ。「印象操作」。それを唱えれば、いかなる悪霊も退散すると信じているかのような最近の安倍首相である。
首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐる野党の追及に対し「印象操作だ」「(自分への)印象操作でいいかげんなことを言っている」と唱え続け、質問に真正面から答えようとしない。
印象操作といえば、事実を誇張し歪(ゆが)め、相手の評判を落とすようなやり方なのだが、野党は首相と学園理事長との関係を質問しているにすぎぬ。それを印象操作だとすねてしまえば、国会質疑の大部分は成り立たないだろう。
痛いところを擦(さす)る手によって「ちちんぷいぷい」には効果があろう。が、「印象操作」のまじないに効き目はない。時間稼ぎ。ごまかし。それこそ世間の印象を自分で悪く操作している。唱えるたびに「痛いの痛いの飛んでくる」である。

加計学園問題 説明責任は首相にある - 朝日新聞(2017年6月7日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12975696.html?iref=comtop_shasetsu_01
https://megalodon.jp/2017-0607-0914-43/www.asahi.com/articles/DA3S12975696.html?iref=comtop_shasetsu_01

加計(かけ)学園の獣医学部新設の舞台になっている国家戦略特区は、首相官邸のサイトで「総理・内閣主導の枠組み」と説明されている。一方、安倍首相は国会で、特区の仕組みについて「私の意向というのは入りようがない」と答弁した。

普通は両立しない主張だ。

仕組みを確認する。

この制度を使って、どの地域でどんな規制改革をするか。その計画は、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で議論し、それを受けて首相が認定する。首相は、国際会議で「国家戦略特区では、岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」といった発言もしている。
「私のドリル」だが、「私の意向」ではない。あえて解釈すれば、前者は規制緩和の大枠、後者は具体的な事業者選定について、と言いたいのだろうか。
今回の獣医学部新設では、候補を事実上、加計学園だけに絞り込む条件がついた。道筋を付けたのは、昨年11月9日の諮問会議での決定だ。
首相は国会で「(諮問会議の)民間議員の皆さんは大変怒っている。正々堂々たる一点の曇りもない議論をしてきたのに、総理の意向で決めたかのごとく言われるのは憤懣(ふんまん)やるかたない、と」とも述べた。
間議員の支持もあっただろう。だが事実上、他の候補を退ける「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」との条件は、首相や官房長官内閣府の担当閣僚らも加わった諮問会議名での提案だった。
議事要旨によると、特区の山本担当相は「重点課題について、直ちに実現に向けた措置を行うよう総理からご指示をいただいた」「関係各省と合意が得られたものをとりまとめた」などと背景を説明している。
こうした合意形成が政府内でどう行われたのか。その舞台裏をうかがわせるのが、文部科学省内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」と言われたと記録された文書だ。文科省の前次官に続き現役職員も「文書は省内で共有されていた」と朝日新聞に証言した。
事業者の具体的な絞り込みについて、首相や官邸側の意向が実際に働いたかどうかは、現時点では不明だ。実態を明らかにするために、官邸と各省での決定過程の徹底検証が不可欠だ。
首相主導の特区の事業者に、首相の「腹心の友」が理事長である加計学園が決まった。それだけに、公平性や透明性について、首相は一段と重い説明責任を負っている。

自民改憲方針 首相主導の議論開始 手法に疑問も - 毎日新聞(2017年6月7日)

https://mainichi.jp/articles/20170607/k00/00m/010/172000c
http://archive.is/2017.06.07-001322/https://mainichi.jp/articles/20170607/k00/00m/010/172000c

6日に本格化した自民党憲法改正案の策定論議は、その場にはいない安倍晋三首相が主導する形で始まった。党憲法改正推進本部の保岡興治本部長ら野党との協調を重視する「憲法族」が先頭に立っていた自民党改憲論議だが、6日の推進本部の役員会には、首相の意向を重視するベテランや首相側近がずらりと並んだ。【小山由宇、小田中大】
役員会では、憲法への自衛隊の明記、教育無償化、緊急事態条項創設、参院の「合区」解消を含む選挙制度の4項目が検討課題として示された。自衛隊明記と教育無償化は、首相が5月3日の改憲派の集会に寄せたメッセージで表明したものだ。推進本部の上川陽子事務局長は記者団に「首相の発言も重く受け止めるが、幅広い今までの議論の成果を踏まえた」と説明したものの、首相主導のテーマ設定なのは否めない。
推進本部の役員会には、首相側近の下村博文幹事長代行や西村康稔総裁特別補佐のほか、安全保障法制や天皇陛下の退位を実現する特例法案で公明党との与党協議を担った高村正彦副総裁らが入り、憲法族の「お目付け役」となる形だ。一方で、首相の方針に異議を唱える石破茂元幹事長もメンバーに加えた。
自衛隊明記に関し党執行部は「9条の2」創設を検討する。9条と同格の別条となる「9条の2」は「9条改正ではない」として、公明党の説得を図る。日本維新の会も賛意を示しており、民進党内の保守派を揺さぶりつつ国会発議を目指す。
教育無償化は維新の取り込みが目的だ。維新は統治機構改革や教育無償化を改憲項目に掲げているためだ。ただ、数兆円の財源のめどがなく公明党は現時点では慎重だ。
どのテーマも現段階では確実に「3分の2」を形成できる保証がない。民進党自衛隊明記にも教育無償化にも慎重なため、「あぶはち取らず」に陥る可能性もある。

党内手続きも課題だ。石破氏は役員会で、「国防軍」を9条に盛り込むなどした2012年の改憲草案を挙げて「ものすごく長い時間をかけた議論の末にできた。9条を議論するならベースにしなければならない」と強調。記者団には「今までの党の憲法の議論は全ての議員が参加できる形で行われた。一部で議論して『着地点、結論はこれです』というやり方は今までにない」と語り、首相の手法に疑問を呈した。
憲法族にも警戒感がにじむ。緊急事態条項を与野党合意が可能な本命とみていたからだ。憲法族の一人は「首相は民進党を巻き込む路線から、公明、維新の枠組みにかじを切った。国民投票を乗り越えられるのか」と懸念を示した。



「合区」党内向け側面強く
四つの検討項目には、参院の「合区」解消を含めた選挙制度が盛り込まれた。参院自民党に配慮したためだが、衆参で改憲発議に必要な3分の2を確保する見通しはなく、党内向けの側面が強い。
推進本部の上川陽子事務局長は記者団に「参院では非常に重要なテーマだ」と説明した。「1票の格差」解消のため、「鳥取・島根」と「高知・徳島」の合区が昨年の参院選から導入された。4県の関係者は「地方の声が国政に届かない」などと一斉に主張。参院自民党は合区解消に向け「参院議員を都道府県代表にする」との改憲案を提唱する。
ただ、都道府県代表とした場合、国会議員を「全国民の代表」と定めた憲法43条の改正が必要になる。このほか「衆参両院の憲法上の役割を大幅に見直す必要がある」(公明党幹部)との指摘もあり、改憲案の策定は難航必至だ。また、公明党大選挙区制を主張し、民進党は合区を容認しており、各党は協議に応じなさそうだ。【小山由宇】

自民 改憲、来年発議目指す 公明などと調整へ - 毎日新聞(2017年6月7日)

https://mainichi.jp/articles/20170607/k00/00m/010/170000c
http://archive.is/2017.06.07-001150/https://mainichi.jp/articles/20170607/k00/00m/010/170000c

自民党憲法改正に関し、2018年召集の通常国会で発議することを目指す方針を固めた。今年9月ごろに党の改憲案をまとめた後に公明党などと調整し、年内に衆参両院の憲法審査会に提案する憲法改正原案を作成する日程案が浮上している。自民党憲法改正推進本部(保岡興治本部長)は6日、体制拡充後初めての役員会を党本部で開き、年内に党の改憲案をまとめる方針を確認した。
保岡氏は6日の役員会で「憲法改正の必要性や内容を案文の形で分かりやすく示し、議論を深める段階に入っている」と指摘。「具体的な憲法改正案を遅くとも年内にまとめることを目標に頑張りたい」と述べた。保岡氏は四つの検討項目を挙げた。(1)憲法9条1、2項を維持したうえで自衛隊の存在を明記(2)高等教育を含む教育無償化(3)大災害時などに国会議員任期を延長する緊急事態条項(4)参院選の「合区」解消を含む選挙制度、と明示した。
安倍晋三首相(党総裁)は5月3日、9条への自衛隊明記などを挙げ、20年の改正憲法施行を目指すと表明。これを受けて高村副総裁や二階俊博幹事長ら党四役と下村博文幹事長代行らが同本部の役員会に加わり、議論の加速化を図っている。
衆参両院では、自公の与党と日本維新の会など憲法改正に前向きな勢力を合わせると、改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占めている。自民党執行部内では、この状況が続く来年12月の衆院議員の任期満了までに発議すべきだとの意見が強い。今年9月の臨時国会召集前後に自民党改憲案をまとめ、11月ごろに公明党との与党協議を始める日程が浮上している。さらに維新とも協議して改憲案を年内に策定する運びだ。
国会で憲法改正が発議された場合、国民投票は発議後60〜180日に実施される。通常国会での予算案成立後の来春に発議された場合、衆院議員の任期満了時期と国民投票が近くなる。首相に近い自民党議員は「国民投票投票率が下がれば否決の可能性が高まる恐れもある。国政選挙と同時なら投票率は下がらない」と指摘。憲法改正の是非を争点とした衆院解散・総選挙の可能性もある。【小田中大】