18歳成人 少年法は現行の制度で - 東京新聞(2018年6月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018062102000168.html
https://megalodon.jp/2018-0621-0859-48/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018062102000168.html

成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる改正民法が成立した。選挙権年齢に合わせ、国法上の統一を狙ってのことだ。次は少年法が標的となろう。適用年齢を十八歳未満とすることには反対する。
国会では改正法成立にあたり「若年者の消費者被害を防止するための必要な法整備」などを求める付帯決議が入った。
つまり十八歳になると親の同意なしに契約ができ、ローンを組むことも可能となる。これまで十八、十九歳は高価な買い物をしても解約できる未成年者取り消し権があったが、これは喪失する。
当然、消費者被害の拡大が予想される。悪徳商法対策を強化した消費者契約法も改正されたが、効果は十分ではないようだ。付帯決議はその懸念の表れだ。高校などで消費者教育も必要になろう。
親が離婚した場合、養育費の支払いも「成人まで」と決めれば、十八歳で打ち切られる。もともと経済的に自立していない若者が多い中、困窮者の増大も予想されるのである。日弁連会長がこの法律の成立に「遺憾の意」を表明したのもそうした理由からだ。
もともと世論も「十八歳成人」を望んでいなかった。内閣府の二〇一三年の世論調査では約七割もの人が「反対」意見だった。それでも政府が「若者の社会参加」などを口実に改正したのは、国法上の統一が眼目であるためだろう。
すると次の焦点は少年法だ。適用年齢を二十歳未満から十八歳未満へと引き下げる改正に移ることになろう。これを最も恐れる。
現行制度では二十歳未満の事件はすべて家庭裁判所に送致し、調査官や少年鑑別所による科学的な調査と鑑別の結果を踏まえる。そして少年にふさわしい処遇を決める手法である。
非行少年は多くが成育の環境などに問題を抱えている。そんな少年をどうやって更生させ、社会に適応して自立させるか。
それには福祉的でかつ教育的な方法を採用するのが最も有効なのだ。その結果として更生し、社会復帰し、再犯防止にもつながっていくのである。
この方法によって大きな効果を上げている。犯罪白書では刑法犯の少年の検挙人数は十三年連続で減少している。二十歳未満とする現行少年法は有効に機能している。その認識は重要である。
飲酒や喫煙、公営ギャンブルは現行法を維持する。すべて「十八歳で統一」という理由など、どこにもないはずである。

「森友・加計」避けたい官邸 参院自民が押し切る 会期延長 国会、来月22日まで - 東京新聞(2018年6月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018062102000141.html
https://megalodon.jp/2018-0621-0905-37/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018062102000141.html


国会は二十日の衆院本会議で、会期を同日から七月二十二日まで三十二日間延長することを与党などの賛成多数で議決した。通常国会の会期が延びるのは、安全保障関連法を審議、成立させた二〇一五年以来、三年ぶり。「働き方」関連法案やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案、参院の定数六増を伴う公職選挙法改正案について、与党は安保法のように野党の反発を押し切って成立させる構えだ。 (我那覇圭)
「政府・与党の都合ばかり優先する身勝手な国会運営は絶対に認められない。予定通り閉会し、粗悪な法案は廃案にすべきだ」。立憲民主党の道下大樹氏は衆院本会議で会期延長の反対討論に立ち、政権を非難した。
野党がやり玉に挙げる「働き方」関連法案は、年収一千七十五万円以上の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」導入が柱。「長時間労働で過労死を助長する」という批判は根強い。安倍晋三首相は二十日午前に行われた公明党山口那津男代表との与党党首会談で「『働き方改革国会』とうたってきたので、法案成立を図りたい」と強調した。
自民党などが提出した公選法改正案に対する野党の反発も強い。「一票の格差」是正と無関係な比例代表の定数も増やし、政党があらかじめ定めた順に従って当選者を決める「拘束名簿式」を一部導入する内容だが、選挙区の「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区で漏れた候補者を名簿に載せ、救済したい自民党の狙いが透けてみえる。衆院本会議では「究極の党利党略、選挙制度の私物化」(国民民主党斉木武志氏)という声が上がった。
今国会は森友、加計学園問題などを巡る政権不祥事を野党が追及する場面が目立つ。そのため、法案審議は停滞。政府・与党は確実な成立を図るため、一カ月超の会期延長に踏み切った。立憲民主党辻元清美国対委員長加計学園の加計孝太郎理事長らの証人喚問などが実現するまで「日程協議に応じられない」と記者団に語った。
◆「小幅」→32日間 法案優先で「大幅」
今国会の会期延長幅を巡っては、首相官邸参院自民党が対立し、水面下で綱引きが繰り広げられた。森友、加計(かけ)問題での追及を回避するため、官邸は小幅延長を主張したのに対して参院自民党は残る重要法案を成立させるために一カ月を超える大幅延長を求めた。最終的には官邸が譲歩して決着した。
会期末まであと二日に迫った十八日夜、自民党の重鎮は延長幅について「官邸と参院の調整がまだついていない。会期末当日まで決まらないかもしれない」と難航していることを明らかにした。
官邸が描いていたのは、安倍晋三首相が欧州などの歴訪に出発する予定を考慮して、七月十日ごろまでに国会を閉じる案だった。首相が三選を目指す九月の党総裁選への影響を考慮して、森友、加計問題で首相が国会で追及される状況を早く終わらせたいとの本音が見え隠れする。
参院自民党が大幅延長を主張したのは、参院で審議が残る重要法案に加え、参院議員の定数を六増させる公職選挙法改正案を確実に成立させるには、十分な審議時間を確保する必要があるからだ。最終的には官邸が譲歩した。参院自民党は結束が強いことで知られ、官邸が総裁選への影響も考慮したとみられる。 (中根政人)

国交大臣「公表しない」“賃料引き下げメモ”巡り - テレ朝news(2018年6月19日)

http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000129947.html
https://megalodon.jp/2018-0620-2250-00/news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000129947.html

森友学園への国有地売却で、安倍昭恵夫人付きの職員が近畿財務局に賃料引き下げなどを問い合わせたメモが大阪航空局にあったという指摘に対し、石井国土交通大臣はメモの公開を拒否する方針を示しました。
石井国土交通大臣:「行政の組織相互間や組織内部での検討の途中過程の情報を逐一、お示しをしますと、今後の率直な意見交換や議論を妨げる可能性もあることから、公表は差し控えさせて頂いているところでありまして、コメントについても差し控えさせて頂きます」
井大臣はメモの存在には触れず、公開せず、コメントもしない考えを示しました。一方、麻生財務大臣は。
財務大臣:「(Q.実際に文書が本物だとしたら、確認された場合は財務省として事実確認するのか?)私どもの作った文書でない話がきちんと証明して頂ければ、その段階で考えます」
また、麻生大臣は森友問題に関する文書について「財務省は調査をして、我々としては出すものはすべて出した」と重ねて強調しました。

(政界地獄耳)安倍晋三、もはや「現代の皇帝」だ - 日刊スポーツ(2018年6月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806210000213.html
http://archive.today/2018.06.21-110701/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806210000213.html

★トルコの大統領選と総選挙が24日に実施される。トルコは昨年4月に国民投票が行われ、憲法改正が承認された。今回の選挙後、1923年の建国以来の議院内閣制から、権限が拡大された大統領制に移行する。現職のエルドアン大統領が権力基盤を強め、より独裁的になるのではないかとの懸念が、北大西洋条約機構NATO)諸国に広がっている。トルコはイスラム圏ながら欧州との関係を強め、また米国との距離を広げようとしている中、民主国家から改めて独裁国家を志向する新しい国家の形態として注目される。
★民主国家の独裁体制は米トランプ大統領や、こちらも憲法改正して、強固な政権維持の仕組みを築いたロシアのプーチン大統領が代表格となる。民主国家ではないが、世界の大国といえる中国も法改正して主席の任期をなくした。体制の世襲が3代にも及ぶ北朝鮮もその1つといえよう。いずれも権力が独裁的に裁定を下しやすい環境をつくり上げ、普遍的支配者という意味で、現代の皇帝として君臨しようとしている。
★さて我が国は、元首相・中曽根康弘が現職時代に「大統領的首相」と言い出し、官邸の権限を強化しようとしたが、閣僚やメディアの英知が独裁的政治になりかねない考えの歯止めになり、阻止した経緯がある。自民党は規約を改正し、党総裁の3選を認めたため、9月の総裁選に首相・安倍晋三は強い意欲を示している。ただ、先に述べた各国と既にやっていることは変わらない。
★官邸機能の強化というより、情報と権限の一元化を図り、国民の「強い指導者」を求める声を背景に主要閣僚の固定化、内閣人事局の歪曲(わいきょく)運用などを駆使。公文書書き換えなど行政の中立性をゆがめ、また責任者が責任を問われないなど、国民が不審に思っても実態を優先させて乗り切ることで、三権分立の恣意(しい)的崩壊を助長させている。今日の状況は、独裁政治を行使する皇帝といっても構わないのではないか。(K)※敬称略

(私説・論説室から)「花ばぁば」が伝える戦争 - 東京新聞(2018年6月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018062002000141.html
https://megalodon.jp/2018-0621-1819-32/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018062002000141.html

東京・赤羽の小さな出版社「ころから」から出された絵本「花ばぁば」は、旧日本軍の慰安婦とされた韓国人のシム・ダリョンさんの証言に基づき、韓国の作家クォン・ユンドクさんが描いた物語だ。
日本が朝鮮半島を植民地としていたころのこと。突然連れ去られた少女は軍の施設に閉じ込められ、その部屋の前には兵隊たちが毎日列を作った…。水彩の絵の美しさが、軍隊の暴力性をより鮮烈に伝えるようだ。
二〇一○年に韓国でオリジナル版が出版された後、日本での出版は、シムさんの証言が慰安婦設置に関する公文書記録と一致しないという理由で見送られた。一度お蔵入りしたこの作品を日本で出そうと奔走したのは、絵本作家の田島征三さんら日本の有志だった。
実は私も〇五年、大邱(テグ)市にあったシムさんの自宅を訪ね、被害の体験を聞いたことがある。けれども連行された時期や場所など分からない点が多く、証言を記事にできなかった。彼女は「私は頭がおかしくなった。覚えていないんだ」と涙ぐみながら、日本からきた記者の私に語ろうとしたのに。あの日、私がするべきだったのは、「埋められない記憶」を問うことではなく、彼女が経験した痛みの重さにもっと心を寄せることだった。
シムさんは日本版の出版を待たず一〇年に八十三歳で他界したが、彼女が残した絵本は戦争の真実を静かに語り続ける。(佐藤直子

ヘイトデマ 「許さない」を着実に - 朝日新聞(2018年6月21日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13549252.html
http://archive.today/2018.06.21-070232/https://www.asahi.com/articles/DA3S13549252.html

虚偽の情報(デマ)を流す行為は、そもそも許されない。ましてや、震災で人々の心理が不安定になっているのに乗じ、不安をかき立てる卑劣な行いをけっして見過ごしてはならない。
大阪府北部を震源とする地震の発生後、ツイッターなどSNSを通じて、さまざまなデマがネット上を飛び交っている。
「○○電車が脱線」といった偽情報は、当の事業者が否定するなどして静まっていった。深刻なのは、在日外国人を標的に差別や偏見をあおる投稿が相次ぎ、拡散されていることだ。
在日コリアンなど特定の民族をあげて「犯罪に走るから気を付けなよ」と書き込む。地震による重要文化財の破損を「外国人の可能性も」と記す。ネットの匿名性を隠れみのに、根拠のない情報が広がった。
11年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震の後にも、特定の民族を対象とする悪質なデマが出回った。外国籍の人が多く暮らす大阪での地震を巡り、愚かな振る舞いが繰り返されたことに怒りを禁じ得ない。
熊本地震の後、ヘイトスピーチ対策法が施行されて約2年。差別的な言動を許さないとうたったものの罰則がなく、今回、歯止めにはならなかった。解消への取り組みを着実に積み重ねていかねばならない。
まずは、SNSの運営会社である。
利用規約でヘイトを助長する投稿を禁じ、要請や通報に応じて悪質な投稿を削除する例も見られる。表現の自由に配慮しつつ、これまでの蓄積を生かして迅速な対応に努めてほしい。
大阪府は今回の地震の発生当日、公式ツイッターやホームページなどで「事実と異なる情報が発信、拡散されています」「未確認の情報をむやみに拡散しないで」と呼びかけた。法務省人権擁護局も公式ツイッターなどで注意喚起した。
在日コリアンでつくる「コリアNGOセンター」(大阪)の金光敏(キムグァンミン)事務局長は「自治体の防災対策にデマへの対応も盛り込むべきでは」と提案する。被災後の要員確保など課題はあるが、行政が姿勢を示し、準備しておくことは有効ではないか。
震災時のデマによる混乱は、ネットが発達した今に限った事象ではない。95年前の関東大震災で、デマを信じた民衆や官憲が大勢の朝鮮人、中国人を虐殺した史実を忘れてはならない。
過去に学び、「ヘイトスピーチは許さない」という認識を共有する。問われているのは、社会をともに生きる一人ひとりの意識と行動である。

定員内なのに「不合格」164人 2018年度・沖縄県立高校入試 九州他県の2〜6倍 - 沖縄タイムズ(2018年6月21日)


http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/270634
http://web.archive.org/web/20180620230419/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/270634

今春の沖縄県立高校入試で、定員に余裕があるのに最終的に不合格となる「定員内不合格者」が全日制・定時制合わせて164人だったことが20日、分かった。九州他県に比べて2〜6倍多く、県内で中学卒業後に行き場のない若者を生み出す要因になっている。合否判定基準は学校によって違うが、素行不良や無断欠席、学力不足などが問題視されたとみられる。(社会部・鈴木実)
教育庁は2011年、できるだけ定員内不合格者を出さないよう合否判定基準の見直しを求める通知を各県立高校に出したが、浸透していない。
全日制では志願倍率が0・8倍なのに18人が不合格だった高校があった。「教育の安全網」と言える定時制でも、計11人が定員内不合格だった。
17年度入試では184人、16年度入試では183人と、さらに多かった。
文部科学省によると、47都道府県のほぼ3分の1が原則として定員内不合格を出さない方針という。
九州では、人口規模の大きい福岡県でも沖縄の半分以下の73人。そのほかの九州各県について本紙が公表資料などを基に試算したところ、いずれも20〜50人台だった(福岡県のみ17年度入試の数字。熊本県大分県は非公表)。高校入試の選抜方法や統計の取り方が違うため単純比較はできないが、沖縄の多さが目立つ。
沖縄では、中学卒業後に進学も就職もしない「進路未決定率」が全国平均の3倍に上ることが深刻な課題になっている。2017年の進路未決定者は363人で、毎年160〜180人いる定員内不合格が、数字を大幅に引き上げている可能性がある。
10人以上の不合格者を出した高校の校長は「定員内不合格は県の教育行政全体に関わる問題であり、校長としてのコメントは控えたい」と述べた。
教育庁によると、できるだけ定員内不合格者を出さないよう校長会などを通じて定期的に各学校に求めている。