【文徒】2017年(平成29)年8月31日(第5巻164号・通巻1093号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】女優・真木よう子クラウドファンディング「CAMPFIRE」で謝罪!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】女優・真木よう子クラウドファンディング「CAMPFIRE」で謝罪!

真木よう子が「CAMPFIRE」でクラウドファンディング真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト」を実施していることは既に報じている。真木は目標金額を800万円に設定し、オールカラーで320ページのフォトマガジンを作成し、12月開催のコミケで頒布する計画であったことも報じている。しかし、これがSNSで炎上してしまうのである。
ネット民から「コミケというものを全くわかっていない」「コミケとは関係のない所でファンイベントを開催するという形にして欲しかった」「コミケは好きで描いている人たちが自己表現するための場所で、アマチュアリズムが強い。そのため外部からプロが参加することに批判が出るのは当然だ」といった真木批判が相次いだのである。
https://news.careerconnection.jp/?p=39991
かくして真木は「CAMPFIRE」に「ワタクシの気持ちを皆様に」を掲載、謝罪するとともにコミケでの頒布を中止することを発表した。
「そして
コミックマーケット様。
並びにコミックマーケットを愛していらっしゃる方々。参加している方々。に、
深く謝罪を、申し上げます。
この度は、
軽い気持ちで参加を希望してしまったことを
深く謝罪を申し上げます。
誠に誠に
申し訳有りませんでした」
https://camp-fire.jp/updates/view/36110
日刊ゲンダイDEGITAL」は、こう分析している。
クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を使って制作費用を集めるのは、自費出版を原則とするコミケのルールを無視したものであり、しかも目標金額800万円が莫大過ぎるだろうという指摘もあった。おまけに、多額の資金を集めて制作し売ろうとしているのは全320ページオールカラーのフォトマガジンで、かなりの配置スペースを要する。マナーひとつ知らないどころか、ほかの出展者の迷惑も顧みない身勝手とも思える手法が、コミケ愛好者らから反感と怒りを買ったのだ」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/212427
真木よう子は「相互フォローとなったファンとダイレクトメッセージ機能で直接やりとりをするなど、親近感が湧く接し方で話題となっていた」(サンスポ)ツイッターのアカウントも削除してしまった。
http://www.sanspo.com/geino/news/20170829/geo17082915210023-n1.html
編集を担当する北尾修一が次のようなツイートを投稿している。
「いろいろお騒がしていますが、誤解なきようご報告です。既に発表されている『真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト』は、私が個人で依頼され、今後請ける予定のお仕事です(私は8月末日で太田出版を退社予定です)。誤解を与えたことを太田出版にお詫びします。取り急ぎ」
https://twitter.com/kitaoshu1/status/902371042340904961
これは評論家の佐々木敦のツイート。
「俺はむしろ真木よう子への好感度が増したけどな。なんか空気読めない変なひとなんだなと思って。そういうひと好きだから」
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/902064778343997442
山本一郎のツイートによれば北尾はCampfireへの転職を予定しているようだ。
「うーん、真木よう子コミケ突撃話を聞く限りCampfireとそこに転職する予定の太田出版クイックジャパン発行人の北尾修一さんが事情を分からずに突っ込まされた真木よう子を結果的に騙した形ですかね。フライングボックスも事情を良く分かっていなさそうだし、しょうがないのかな」
https://twitter.com/kirik/status/902574278306021377
山本一郎は「真木よう子コミケ突撃騒動は家入一真「CAMPFIRE」側の仕切り不足が原因か」を「ヤフー!ニュース」に発表し、そこでは次のように書いている。
「旧知の出版人にうまく担がれただけとはいえ、もちろん、真木よう子も脇が甘かったとは言えます。ただ、ダシにされたうえに謝罪させられ、せっかく育てたTwitterアカウントも非表示、削除に追い込まれるなど、失敗の代償としては酷いことになってしまっています。一連の話が家入一真さんのCampFireと北尾修一さん、また個人的に立てる予定だった個人会社の仕切りだったとするならば、きちんと事情を説明したうえで真木よう子が謝罪するのと同時かその前にお詫びするべきであったと思います」
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20170830-00075109/
ザ・グレート・サスケ真木よう子主演の連続ドラマ「セシルのもくろみ」(フジテレビ系)を大絶賛し、真木よう子応援団長を名乗っている。
http://www.cyzo.com/2017/08/post_34175_entry.html

                                                                                                                    • -

2)【本日の一行情報】

iPhoneiPadと合体しても単体でも撮れる4K対応の360度カメラInsta360 ONEのお値段は4万2999円(税込)。雑誌カルチャーがデジタルシフトするにあたって、動画シフトが欠かせないのは無論のこと、誰もが360度カメラを駆使できる時代だということも忘れてはなるまい。
http://japanese.engadget.com/2017/08/28/iphone-360-insta360-one-6/
紙の時代に培い、大切に蓄積して来たプロフェッショナリズムやプライドは1mmも、1gも必要ないのである。

マイナビが運営するアルバイト情報サイト「マイナビバイト」は、アルバイトの「経験」と「挑戦」を通じて成長したい若者をサポートする「ワカモノ成長プロジェクト」の「ほぼプロチャレンジ第2弾」として、雑誌の企画・編集・制作に挑戦する「ほぼプロ編集部」を開始している。
http://baito.mynavi.jp/campaign/growth/hobopro/magazine/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000806.000002955.html

◎読売新聞に登場した元朝日新聞の浜田敬子の発言。
「今や、ニュースを握っているのはメディアではなくて読者だと思います。だから、うちの記者にも『私たちがニュースだと思うのはおこがましい』と言っています。記者には『これってニュースですかね』と聞かれることもありますが、『ニュースかどうかは、出してみようよ」と答えています。「私たちは読者と壁打ちしながらやっていくんだよ」と。あるニュースを出した時に、多くの人が読んでくれれば、読者の中に共感が広まったということで、そのニュースの価値は高い。
今まではメディア側が『これはニュースです』『これはニュースではありません』と選別していた時代だったと思うのですが、『こんな声がありますが、みなさんはどう思いますか?』と投げかけをしていったらどうでしょう」
http://www.yomiuri.co.jp/yolon/ichiran/20170821-OYT8T50114.html

◎「ダイヤモンドオンライン」でLINEの田端信太郎上級執行役員と「週刊文春」の新谷学編集長が対談しているが、新谷は次のように発言している。
ワシントンポストでずっとトランプを追いかけてスクープを連発してきた記者の手法もすごく面白いですよ。トランプの政治資金上の不正を取材するに当たって、ツイッターで情報公開を求めるだけにとどまらず、それによって得た情報をどんどんツイッター上で公開していったのです。こうして取材プロセスを公開していくことによって読者をどんどん巻き込んでいくというのは、ネットだからこそできることでしょう。
デジタルでジャーナリズムをやるなら、そういったパターンで読者に参加してもらうというか、いっしょに楽しみながら作っていくのが面白い気がします。『知らないから教えてやるぞ!』という一方通行のスタンスでは、なかなか受け入れてもらえないでしょうね」
http://diamond.jp/articles/-/140168

◎「ハフポス」に掲載された「大規模ICOの実施で注目を集めるALISが直視する『メディアの構造的課題』について」は次のように書いている。
「要するに投稿者も評価者もトークンという報酬がもらえるモデルになるわけですが、それを可能にするのが以下の事業設計なんだとか。
1. ALIS のメディアプラットフォーム利用者が増え、トークン流通量と利用者(欲しがる人)が増える
2. 市場原則に従ってALISトークンそのものの(交換可能な仮想通貨に対する)価値が上がっていく
3. その値上がりしたトークンをマーケットに放出(販売)していくことで事業者側は利益を生み出していく」
http://www.huffingtonpost.jp/web-directors-manual/daikiboiconojisshidechumokuwoatsumerualisgachokushisurumedianokozotekikadainitsuite_a_23186373/

◎7月に隔月刊から月刊へと変更された「小悪魔ageha」が「9月1日発売号(10月号)をもって休刊し、9月30日より誌名を新たに月刊誌『ageha』を発行する」(『モデルプレス』)そうだ。
https://mdpr.jp/gal/detail/1710402

谷崎潤一郎賞中央公論新社主催)は、松浦寿輝の「名誉と恍惚」(新潮社)に決定。
http://www.sankei.com/life/news/170829/lif1708290016-n1.html
「円熟の手腕によって構築された物語世界は、詩と批評を内包し、様々な芸術を現前させる」(佐伯一麦)、「著者は、一九三〇年代の上海の雑踏を刻明に再現してゆく。読者も芹沢と共に、上海のきらびやかな表通りから暗い裏通りまで、迷路のなかに入り込んでしまったような陶酔に襲われる」(川本三郎)と新聞各紙からも絶賛されていた。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2017042300004.html

◎「24時間テレビ40 愛は地球を救う 告白〜勇気を出して伝えよう〜」(日本テレビ)の瞬間最高視聴率が関東地区で40・5%を記録した。平均視聴率は歴代2位タイとなる18.6%。
http://www.sankei.com/entertainments/news/170828/ent1708280004-n1.html
しかし、募金総額の中間発表は1億2902万958円。昨年からほぼ半減している。
https://www.j-cast.com/2017/08/28306928.html?p=all

◎「PRESIDENT Online」は「横浜の"新アリーナ"ぴあが100億出す狙い」を掲載している。
東京五輪も会場不足に拍車をかける。大会期間中、大規模なアリーナやスタジアムは五輪に“占拠”されるため、必然的に音楽イベントなど五輪以外の開催は制限されることになる。
小林取締役はこの状況を『音楽業界の不幸だ』と嘆く。『市場はまだまだ伸びるのに会場がなく、頭を上から押さえつけられているようなものだ』と東京五輪への対抗意識を隠さない」
http://president.jp/articles/-/22949

◎プレジデント社が新潮社に抗議文を送付した。
〈2017年8月24日発売の「週刊新潮」(発行元:株式会社新潮社)に、〈特別読物〉『「がん食事療法本」が「がん患者」を殺す」』(著者:東京オンコロジークリニック代表 大場大)と題する記事(以下、「本件記事」といいます)が掲載されました。
本件記事は、『「がん食事療法本」が「がん患者」を殺す』とのセンセーショナルな表題もとに、その冒頭に当社発行の『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著。原書は2013年に米ハーパーコリンズ社より刊行。日本を含む20カ国以上で出版。以下、「本書」といいます。)がとりあげられています。しかし、本書は、通常の注意力をもって誠実にお読みいただければすぐにわかるように、腫瘍内科領域の研究者、ケリー・ターナー氏の博士論文(カリフォルニア大学バークレー校)に基づく「がんの寛解事例」に共通する要因をまとめた本であり、「がん食事療法本」ではありません。何故、本書をもって「がん食事療法本」と判断なさるのでしょうか。
さらに、本書における「最大の教義は『抜本的に食事を変える』と本件記事には書かれていますが、「がんの劇的な寛解(その定義は本書に明確にされています)」事例を分析した結果、共通して患者が行っていた9項目のうち食事とサプリメントに関する項目は「2項しかなかった(その他7項は主に精神的、社会的なものだった)」というのが本書の主旨です。本書には「食事改善をしたからといって、がんが完治する保証はありません」と明記されています。
加えて、本書の冒頭において著者は「わたしは手術、抗がん剤放射線の『三大療法』を否定する者ではない」とはっきりとことわっており、本件記事にある「食べ物だけで余命3カ月のがんが消える!」という本件記事が示唆するような悪質な「食事療法本」とはかけ離れた内容です。
本書はその一部をプレジデントオンラインでも公開しており、合わせて、医師による解説も複数掲載しております。週刊新潮編集部は記事の内容を精査しなかったばかりか、そうした容易にアクセスできる文献による事実確認さえも怠り、本書著者、弊社に損害を与え、読者の不安を煽りました。その責任は重大であると考え、ここに厳重に抗議するとともに、本件記事の掲載に至った経緯詳細の説明を賜りたく、折り返しご回答いただきますようお願いいたします〉
http://president.jp/articles/-/22966
癌になると、「治る」という二文字に敏感になるのは間違いない。オレだってそうだもの。

◎「PR TIMES」は女性向けファッションやグルメ等の情報を光文社の女性ファッション誌「CLASSY.」の公式ウェブサイト「CLASSY. ONLINE」へ提供・掲載を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000802.000000112.html

サイバーエージェントは、運営するサービス「Ameba」の動画広告において、女性向け動画ファッションマガジンを運営するC CHANNELと共同で、スマホ向けの動画広告の提供を開始した。
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=14036

◎9月10日(日)に開催されるアミューズメントメディア総合学院の体験説明会で集英社の少女マンガ誌「りぼん」の編集部が特別講義を実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000025577.html

図書館流通センター(TRC)は「TRC新刊図書オープンデータ」の公開を開始している。
https://www.trc.co.jp/information/pdf/20170828_release.pdf
http://www.trc.co.jp/trc_opendata/index.html

文學界編集部編「世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌」!ゴダールの弟子だよね、こっちの黒沢は。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163907062

小学館は、ロボット時代を担う子どもたちを育てていく教育プロジェクト「ROBO-GATE PROJECT」の第 1 弾として、手のひらサイズの小型エデュケーション・ロボット「TABO8」(ターボ・エイト)を付録とした学習雑誌「小学8年生」特別号を12 月中旬に数量限定で発売する。
https://this.kiji.is/275470527954370566

◎「死してなお踊れ 一遍上人伝」の栗原康が監修する「日本のテロ 爆弾の時代60s−70s」が河出書房新社から発売された。栗原のアジは今回も絶好調だ。
「感情を制するのは、なにか。理性じゃない、感情だ。感情を制するのは感情だけである。感情は爆弾だ。感情、感情、感情。自分自身をぶっとばせ。爆弾の飛ぶよとみてし初雪の、千代田の松の雪折れの音。なげちゃえ。パンパーンッ」
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309248202/
栗原は「ベトナム反戦直接行動委員会50周年シンポジウム」のパネリストのひとりだ。
http://d.hatena.ne.jp/godzilla08/20161108/1478611207
ベトナム反戦直接行動委員会は1966年10月19日に東京田無の日特金属工業、同11月15日に名古屋市外の豊和工業を「襲撃」する。「週刊現代」記者として活躍する前の朝倉喬司は、その中心メンバーであり、この事件で逮捕されている。後に東アジア反日武装戦線「大地の牙」の一員として逮捕される斎藤和も、この「襲撃」に加わっている。斎藤は周知のように携帯していた青酸カリ入りカプセルを飲んで自殺する。
「文春オンライン」が掲載した「盆踊りの哲学」で栗原康は次のように語っている。
「もともと、河内音頭は関西で行われていたものですが、その評判をききつけて、いちどみにいったアナキスト朝倉喬司さんや平岡正明さんが『こりゃあ、すごいんじゃないか』と東京に『輸入』して、錦糸町では、80年代から続いています。朝倉さんや平岡さんも、なにか得体のしれない民衆のエネルギーみたいなものを感じたんでしょうね」
http://bunshun.jp/articles/-/3730
週刊現代」記者時代に朝倉を担当していた編集者が元木昌彦である。「週刊現代」編集長として朝倉に絡むのが鈴木富夫であった。「すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り」は朝倉が始めたと言っても過言ではない。今夜はその最終日である。
http://www.enjoytokyo.jp/amuse/event/356129/
オレは、これに通い続けて36年になるのか。
ちなみに栗原康は「出版人・広告人」で「反逆のメロディ」を連載する福井紳一の「教え子」だそうである。「日本のテロ 爆弾の時代60s−70s」で「東アジア反日武装戦線とは何者なのか」を書いている友常勉は東日本部落解放研究所の所属である。むろん「本が世界と闘うとき」の向井徹も一枚噛んでいる企画である。

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3)【深夜の誌人語録】

目的や根拠がなければ惰性に終始する。