NANL

2017-12-19

話数単位で選ぶ、2017年TV(+配信)アニメ10選

| 22:29 | 話数単位で選ぶ、2017年TV(+配信)アニメ10選を含むブックマーク

今回も作画寄りのチョイスですが、他にも見所の多い話数なので未見の方はこの機会に是非。


[ルール]

2017年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ配信(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない(順番は最速放送日より)。



■『ACCA13区監察課』#8 「翼を広げた王女と友のつとめ」

脚本:鈴木智尋 絵コンテ演出作画監督:小嶋慶祐

シリーズ終盤に向けて主人公ジーン、そして彼を取り巻くキャラクター達の過去が明かされる一篇。アバン、Aパート、Bパートと視点が流れるようにバトンタッチされていく構成がお見事。作中に流れる時間の省略も巧い。水彩調の表現や、波の処理、照明の使い方など時折差し込まれるTVアニメでは珍しいアイディアも目を惹く。


■『僕のヒーローアカデミア』#23 「轟焦凍オリジン

脚本:黒田洋介 絵コンテ:サトウシンジ 演出:堂川セツム 作画監督馬越嘉彦

DCコミックスのスーパーヒーロー・フラッシュ。雷を帯び超高速で走る彼の能力を実写化する際、シンプルに目で追えないほどのスピードで移動させる(残光を軌跡とする)ものと、静止した時の中でスローモーション的に動かす手法が使われている。静動の振り幅で相乗効果を生む描写だが、そこにあまり驚きはない。なぜなら日本には中村豊さんがいて、「地上最速の男」の一歩先を走っているからだ!


■『18if』#10 「α夢次元」

脚本/絵コンテ演出作画監督森本晃司

各話監督制を敷き、それぞれが独自のカラーを打ち出すシリーズの中でも、ひときわ目立つ異色作。様々なアーティストのPVや『永久家族』『音響生命体ノイズマン』と、常に唯一無二な仕事を残してきた森本晃司さんの、美意識を爆発させた画づくりによって、稀有な映像体験が味わえる。


■『ボールルームへようこそ』#11 「評価」

脚本:末満健一 絵コンテ板津匡覧原恵一 演出:江副仁美 作画監督:名倉智史

天平杯決勝の最終種目、全身全霊で踊るクイック・ステップ。競技ダンスの世界のみならず、あらゆる表現者(もちろんアニメも)に通底する心情を代弁したモノローグにしびれる。また、止めスライドでも決して魅力を失わない強烈な画ぢからは、まるで出崎作品における杉野昭夫さんのそれだ。


■『ポケットモンスター サン&ムーン』#43 「ジムバトル!Zワザ対メガシンカ!!」

脚本:冨岡淳広 絵コンテ演出飯島正勝 作画監督:中野悟史

サトシ達がアローラを飛び出し、懐かしの地を訪れる「カントー課外授業スペシャル」の2週目。少年時代に「赤・緑」をプレイした世代なので、タケシカスミの細かいネタに目頭が熱くなる。もちろんジムバトル恒例となったアクションの見どころも多く、特に大橋藍人パートのハガネールVSバクガメスは、ロボットアニメ的なスケール感とシャープな影付け&タイミングが素晴らしい。


『ブレードランナー ブラックアウト 2022』

監督:脚本:渡辺信一郎 作画監督村瀬修功

ブレードランナー」から「ブレードランナー 2049」に至る、空白の30年間を描いた短編群の1本。名作映画と地続きになったハードSFへ挑むのは、最高峰のアニメーター陣。圧倒的な画力で捻じ伏せるその姿は「ちょっとハリウッドの奴らに作画でも見してやるか」と言わんばかりだ。


■『少女終末旅行』#5 「住居」「昼寝」「雨音」

脚本:筆安一幸 絵コンテ演出:尾崎隆晴 作画監督:中山みゆき

終末世界の中、かつて人類が創り上げた文明や習慣を「再発見」していくチトとユーリ。鉛色の廃墟でも2人の目を通せば違った景色が見えてくる。そんなイマジネーションが最も発揮されているのが、この5話だ。雨粒が奏でるメロディから、今回のみのED曲へ繋げる流れも絶妙。撮影出身と独特な経歴を持つ尾崎監督の、今後の旅路にも注目したい。(通常EDもプリミティブなペーパーアニメ風で、アニメーションという技術の「再発見」感があって良い!)


■『3月のライオン』#26 「Chapter.52 てんとう虫の木(2)」「Chapter.53 てんとう虫の木(3)」「Chapter.54 想い」

脚本:木澤行人 絵コンテ:黒沢守 演出:岡田堅二朗 作画監督杉山延寛、潮月一也、野道佳代、松浦力、浅井昭人

アニメ化において最重要回であり、最大の分水嶺。この話数の出来如何で作品全体の印象すら変わってしまいかねないほどの難しいエピソードだ。これまで使われてきた落ち着いたモノローグとイメージカットだけでなく、ひなちゃんの抑えきれず溢れ出した感情を、動的なビジュアルで真正面から描き切ったことに強く心打たれた。


■『孤独のグルメ』#1 「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」

絵コンテ演出/作画:黄瀬和哉

スマートフォン向けアプリにて配信されている「タテアニメ」のひとつ。短い尺や、縦長のレイアウトなど制約も多いなか、原作の良さを生かした調理法で仕上がっている。流石、おっさんを描かせたら右に出る者はいない黄瀬和哉さん。新しいアニメの形への挑戦を応援する意味も込めて挙げておきたい。


■『Fate/Apocrypha』#22 「再会と別離」

脚本:三輪清宗 絵コンテ演出:伍柏輸 作画監督:伍柏輸、浜友里恵、りお

アクション、エフェクト増し増しの、2017年ナンバーワン作画祭り。マスターの召喚に応じ、世界各国から若きアニメーター達が集結。その力を存分に振るった画面は圧巻の一言だ。パワーの有り余るサーヴァントをまとめあげた(令呪を使った?)、伍柏諭さんの手腕も光る。英雄叙事詩のように後年まで語り継がれていくのは間違いない。

2017-08-06

コミックマーケット92 新刊情報

| 21:43 | コミックマーケット92 新刊情報を含むブックマーク

2017年8月11日〜13日に開催される、コミックマーケット92にて新刊を頒布します。

アニメーターアニメ資料系同人誌600冊の執筆者、ジャンル、掲載原画などのデータを集計。

索引にて、名前からの逆引き検索も可能です。



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■スペース:3日目 東U32b「NANL」

■書名:アニメーター&アニメ資料系同人誌エンサイクロペディア #6

■仕様:B5判/112P

■予価:700円


2日目 東J52a「どうかんやまきかく」さんのスペースでも委託で置いてもらえる予定なので、3日目に参加できないという方はこちらで。

会場頒布が余りましたら書店での委託&通販も検討します。

よろしくお願いします。

2016-12-22

話数単位で選ぶ、2016年TV(+WEB配信)アニメ10選

| 23:01 | 話数単位で選ぶ、2016年TV(+WEB配信)アニメ10選を含むブックマーク

今回も作画寄りのチョイスですが、他にも見所の多い話数なので未見の方はこの機会に是非。


[ルール]

2016年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない(順番は最速放送日より)。



■『この素晴らしい世界に祝福を!』 #1 「この自称女神と異世界転生を!」

脚本:上江洲誠 絵コンテ金崎貴臣 演出:吉田俊司 作画監督:北村友幸、鵜池一馬

金崎貴臣さんのコメディセンスと表情豊かなキャラクターデザインが見事に融合した第一話。世界観や状況の説明をこなしつつ、しっかりと笑いもとる掛け合いのテンポと間が秀逸。総作画監督として菊田幸一さんが文字通り山のようなカットをチェックし、ノリは軽いが安っぽくならない画面構成も良かった。来年1月にスタートする第2期が、2017年の「アニメ初笑い」になりそうだ。


■『大家さんは思春期!』 #4 「大家さんは世話焼き!」

脚本: 阿久津奈々 絵コンテ演出:小川優樹 作画監督:清水厚貴

今年も多くのハイクオリティ作品に参加し、獅子奮迅の活躍をみせた濱口明さんの一人原画回。細かくコントロールされた動きとオーバーなリアクションの硬軟自在な作画が見所だ。リズミカルで小気味良いチエちゃんの身振り手振りがとにかく可愛い。こんな大家さんのいるアパートなら家賃10万円までは出せるぞ!


■『くまみこ』 #3 「伝統を守る者」

脚本:池谷雅夫 絵コンテ入江泰浩 演出:堂川セツム 作画監督:武藤京子、保村成

フェティシズム薫るふくらはぎ描写から始まり、パースの強調された広角レンズ、様々なコスチュームに身を包んだまちなど、バラエティに富んだ画作りが楽しい一篇。勢いのある若手を集めた原画陣の割り振りもハマっていて、随所に各人のこだわりを感じる。ところで、動画工房グロス回にたびたび現われる堂川セツムさんとは何者だろうか?


■『モブサイコ100』 #5 「OCHIMUSHA 〜超能力と僕〜」

脚本:瀬古浩司 絵コンテ演出作画監督:藤澤研一

冴えない主人公モブ VS 他校のイケイケ裏番長テルのエスパー対決。10選候補にと考えていた『おそ松さん』18話「逆襲のイヤミ」を上回る物凄い熱量に驚かされた(どちらも藤澤研一さんを中心に、共通するスタッフが関わっている)。念動力を使ったド派手なアクションもさることながら、本作のテーマの一つ「超能力の使い方」を問答する必死の形相も見応えがあった。


■『NARUTO 疾風伝』 #696&697 「最後の闘い」&「ナルトサスケ

脚本:宮田由佳 絵コンテ演出作画監督:山下宏幸

最高の友であり、終生の好敵手――ナルトサスケのラストバトルを描いた1時間スペシャル。『NARUTO』133話を彷彿させる、息もつかせぬ組み手争いと多彩な忍術の前篇。ボロボロになっても決して退かず、意地を張り泥臭く殴り合う後篇。幼少期から積み重ねてきた時間の上に成り立つ、究極の「大喧嘩」だ。劇伴を抑えた静寂のなか、鈍い音がこだまする緊張感が堪らない。


■『Pokemon Generations』 #4 「The Lake of Rage」

脚本:冨岡淳広 絵コンテ演出:柳沼和良 作画監督:赤井真吾、末澤慧

ゲームをもとにシリアスな語り口で再構築された海外向け配信シリーズ。『XY&Z』『サン&ムーン』にも傑作回の多い今年のポケモンだが、画面のゴージャス感で選ぶならこれだろう。室内で大暴れするカイリューは対比も相まって迫力満点。ロケット団のどこか間の抜けた挙動も面白い。残念ながらクレジット表記は無いが、多くのスーパーアニメーターが参加しているとの噂。なお、日本語に翻訳されたバージョンも徐々に公開されてる


■『舟を編む』 #2 「逢着」

脚本:黒柳トシマサ 絵コンテ演出長屋誠志郎 作画監督新田靖成、島沢ノリコ、佐古宗一郎

食べる、歩くなどの日常芝居を強気に編み、難しいアングルもいとわない、チャレンジングな絵コンテが印象深い好編。もちろん、それを実現した青山浩行さんの仕事ぶりも素晴らしい。コンテ・演出を務めた長屋誠志郎さんは、アニメミライ2013の『アルヴ・レズル -機械仕掛けの妖精たち-』に若手アニメーターとして参加し、その後演出家に転向。全編を歌番組風に仕上げた『少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-』10話など、これまでも意欲的なエピソードを連発している要チェックの新鋭だ!


■『奇異太郎少年の妖怪絵日記』 #4 「経立と挟間の管理人」

絵コンテ演出作画監督:川野達朗

年齢を重ね妖怪化したハムスター達が繰り広げるコミカルな小話。絵コンテから原画までのすべてを川野達朗さんが担当し、柔らかく伸びやかな描線と遊び心のあるポージングが愉快。先に挙げた『大家さんは思春期!』もそうだが、多数のスタッフが携わる現代の制作環境にあって、ショートアニメというかたちで個人の仕事を堪能できるのは嬉しいところ。


■『クラシカロイド』 #4 「さまよえる後輩」

脚本:土屋理敬 絵コンテ演出山下明彦 作画監督奥田淳

スタジオジブリ作品のようなテンションでモブ達が賑わう、テレビアニメの限界を超えたお祭り回。老若男女ひとりひとりをきっちりと描き分け、それぞれに異なったライフスタイルがあることを感じさせる表現力は圧巻の一言。踏切、車、凧などの無機物を絡めたレイアウトも抜群に決まっている。「ポスト宮崎駿」なる言葉が巷を騒がせていたが、山下明彦さんの存在も忘れてはいけない。


■『フリップフラッパーズ』 #6 「ピュアプレイ」

脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ立川譲 演出:博史池畠 作画監督:田中志穂、鶴窪久子

美術部先輩・彩いろはの過去を体験するパピカとココナ。ピュアイリュージョンでの行動が現実に影響を及ぼす、物語のターニングポイントだ。落ち着いたカット割りとカメラワークで丁寧にドラマを紡ぎ、各話の奇抜なビジュアルコンセプトやスピード感溢れる展開だけが本作の魅力ではないことを証明した。感情によって変化する暖色/寒色のカラーリングも素晴らしく、最後におばちゃんの顔に添えられる「彩り」が胸を打った。



2016年を振り返ってみると、10月放送開始のタイトルが豊作揃いでしたね。『Occultic;Nine-オカルティック・ナイン-』『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』『ユーリ!!! on ICE』『響け!ユーフォニアム2』など、毎話「まるで10選候補のバーゲンセールだな」といった内容で、なかなかワンエピソードを選ぶのが難しかったです。まだ年末に放送を控えているものもありますが、コミケが迫っているのでご容赦いただければと。


それでは来年も、素晴らしいアニメに祝福を!