中間知(middle knowledge, scientia media)は、16 世紀スペインのイエズス会士ルイス・デ・モリナ(Luis de Molina, 1535–1600)が体系化した神学的・哲学的概念であり、神の全知と人間の自由意志とを調停するために提唱された。モリナによれば、神の知は三段階に分けられる。第一は「自然知」(scientia simplicis intelligentiae)で、論理的・形而上必然として成り立つすべての可能態を神が把握する知識である。第二が「中間知」で、自由主体が置かれ得るあらゆる状況において「もし p という状況なら、被造物 S は自由に行為 q を…