(1984年12月- ) 慶応義塾大学の大学院生(近世歌舞伎を専攻)で、東京都出身。
デビュー作『流跡』が第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少受賞(25歳)。
選考委員の堀江敏幸は「不穏な心地よさが輪染みのように浮かびあがってくる不思議な言葉の群れ」と講評した。
平成23年1月17日、葉山の別荘を舞台に、子供時代を一緒に過ごした貴子と永遠子が25年ぶりに再会し、曖昧な記憶を辿る過去と現在を交錯させながら魂を交流する様子を夢と現を織り交ぜ描いた『きことわ』で第144回芥川賞受賞。「『卵』という漢字を見たとき、2人の女の子が背中合わせになっているような印象を受けた」のが着想となった。
選考委員の島田雅彦は「過去、現在、未来といった作品内時間の処理について、卓越した技術と方法論を持ち、ずば抜けたポテンシャルのある作家だ」と講評した。
大江健三郎、町田康、金井美恵子、阿部和重、中原昌也の作品を愛読している。
ジャン・ジュネ『泥棒日記』の翻訳で知られる朝吹三吉は祖父、サガンやボーヴォワールの翻訳で知られる朝吹登水子は大叔母、詩人の朝吹亮二は父である。
「小説は書かれなかった事の方が大切。それを読み手が受け取った時、ある世界の存在全てが書かれていたかのように感じる事ができる。私にとって小説の最も面白い可能性だと思う」
流跡 「新潮」2009年10月号初出)
家路 「群像」2010年4月号初出)
きことわ 「新潮」2010年9月号初出)