ある年の正月、初詣で訪れた古い神社で、私は一枚のお札を手にした。白い紙に墨で書かれた神名と印。たったそれだけのものなのに、なぜか背筋がすっと伸びるような感覚があった。帰宅してから、そのお札を神棚にそっと納めた瞬間、「今年も家族が無事でありますように」という祈りが自然に口をついて出た。 神社のお札は、ただの紙ではない。それは古来より「神様の分霊(わけみたま)」を宿すとされる、神聖なる依代(よりしろ)である。人が神棚にお札を祀るのは、家の中心に神を迎え、日々の暮らしの中に神聖を持ち込むという行為だ。つまり、お札は神の存在を目に見えるかたちで“常駐”させるための窓口なのだ。 その効力とは、単なる魔除…