漫画家。 1968年、広島県出身。広島大学理学部中退後、上京。とだ勝之、杜野亜希、谷川史子のアシスタントを経て、1995年「街角花だより」でデビュー。代表作は、セキセイインコのぴっぴらさん、カナリアのかな子さんとの清貧生活を描いた大河4コマ「ぴっぴら帳」。 また、サークル「の乃野屋」名義で、コミティアを中心に同人活動もしている。
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*1:平成16年度文化庁メディア芸術祭・マンガ部門大賞受賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞受賞
この記事は、『この世界の片隅に』著者のこうの史代の4コマ漫画『ギガタウン 漫符まんぷ図譜』を紹介しています。著者の周りには「まんがの読み方がわからない」という人が多いらしい。この漫画は、そんな人のために描かれた「まんがの読み方の教本」です。また漫画を描く人のための「まんが的表現の教本」でもあります。もちろん、漫画作品として楽しめる作品です♪漫画好きさんや、少しでも漫画に興味のある人に、おすすめです。
あらすじ・概要 キミ子は迷子のインコを「ぴっぴらさん」と名付けて飼い始める。自由奔放なぴっぴらさんに振り回されつつも、キミ子は動物のいる生活を送る。主人公の勤め先の食堂や、家族、友人を交えてインコと暮らす日常を描く。 インコかわいいキミ子かわいい 細かいことを考えずにぼんやり読む作品でした。キミ子がかわいい。ぴっぴらさんもかわいい。 インコのことには詳しくないのですが、描写が生き生きとしていて、インコや小鳥たちが楽しそうで、心温まります。 小鳥店で働く青年との淡い恋物語もよかったです。じ、じれったい……本来展開が遅い恋愛ものは好きではないのですが、この作品の中心はあくまでインコであり、恋愛はお…
あらすじ・概要 古代より遠い昔、イザナギとイザナミという神様が日本の土地と神々を産み、国を作り出した。日本神話をつづった「古事記」をこうの史代が解釈し、コミカライズした。ボールペンという限られた画材を使った漫画。 ボールペンで描かれる幻想的で自由な日本神話の世界にうっとりする ボールペンのみで描かれた古事記のコミカライズです。一見黒ベタに見えるところもカケアミを繰り返してボールペンで描かれています。 ときおり、作中に出てくる古い歌がカラーボールペンで描かれます。これがとても幻想的で美しいです。印刷で色調調整するの大変なのではないでしょうか。 絵が上手いってすごいことなのだなあ……と改めて感じま…
あらすじ・概要 妻を探している雄のニワトリは、東日本大震災以後の東北を旅する。震災の遺構、東北の町、雄大な大自然など、ニワトリはさまざまなところをめぐる。被災地を描くスケッチ集。 東日本大震災後の東北を描いたスケッチが美しい 風景画が抜群にうまいです。私は美術的な技法には詳しくないんですが、引き算の美というか、書き込むところと力を抜くところのバランスが素晴らしいです。 手書きらしいぶれのある線です。しかし雑には見えない、絶妙なイラストです。 文章部分はふたつに分かれていて、上にニワトリの物語が、下に作者のコメントが書かれています。 東北の牧歌的な風景を旅するニワトリがかわいらしい一方、作者のコ…
「この世界の片隅に」に約40分ほど追加シーンを加えたロングバージョン主にすずが出会ったリンという女性の話が加わることですずの人との関係暮しが丁寧に描かれてる。 呉市で戦争を生きる女性・すずの物語を描いていますが現在呉で暮らす私のから見ても湾や山、家々の傾斜や路地の構図がリアル現在も残った軍関係の建物や病院への道も全く同じ感じに引き込まれ 物語そのものも丁寧に心理描写や暮らしへが緻密な部分が人々の暮らしを描いて本当に存在してたんじゃないかと錯覚するぐらい ちなみに原作者のこうの史代に偶然にすずさんの家で出会ったり”こうの史代さんにすずさん家で偶然出会う!!!奇跡の一日。”https://goto…
ギガタウン 漫符図譜作者:こうの史代朝日新聞出版Amazon 「4コマ漫画×現代版鳥獣人物戯画」というのがメインに謳われているが、 これはあくまで叙述の形態に過ぎない。 本書の神髄は、この不思議なサブタイトル「漫符図譜」にこそある! 「漫符」って言葉は初めて聞いたんだけど、目が回ったときのグルグル、 ひらめいた時の電球、動いた軌跡の線など、漫画特有の表現記号のこと。 この一つ一つを一ページの中に、漫符とその意味の解説、 そして用例として、4コマ漫画で表されているという構造になってる。 つまり本書全体が本邦初の"漫符事典"になっているのです。 この着想がユニークだし、一冊の書物としての価値観をぐ…
長い道【新装版】 (ゼノンコミックス DX)作者:こうの史代コアミックスAmazon ほのぼのとした夫婦物。 ……と一見思いそうになるが、さにあらず。 だってこれって偽りの夫婦物。 しかも主人公の旦那の方が、もうクズ中のクズ。 大人しくて何でも受け容れるもう一人の主人公、道にしても、 なんか芯の恐ろしさを心の内に秘めていたりするし。 作者が「好き勝手に描かせて頂いて」と書いてるように、 途中でひどい展開なんかもあったりする。 ほのぼの路線に見えて、なんか妙な話ばかりで、 落ち着いた光景を描かれても、こちらの心が落ち着かない。 一応定石通りに、偽りの夫婦が真の夫婦に変わっていくってのを 最後の二…
8月6日、昨日は広島の原爆投下日、77年前の事。毎年この日に行われる平和記念式典。マスコミは戦争を行った悪い日本という含みを持たせた核兵器廃絶の論陣を張ります。 報じるニュースも原爆の悲惨さを強調しひたすら日本に反省を求める内向きなものばかり。今年はウクライナ侵略がありロシアの核による脅かしもあって核の脅威に対する危機感は強い。 核の脅威に対する方策、核を撃たれないようにするには、若しくは戦争を仕掛けられないようにするには、核を持つ事。この事をウクライナーロシア戦争はハッキリと世界に示した。 核廃絶は理想ではあるけれど、核の使用自体ナンセンスなものとなってるとしても、攻め込まれない為の抑止力と…
こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」という漫画を読んだ。 広島で被爆して、それでも生きた女性(皆実さん)は、広島が復興した後も、当時の凄惨な広島と今の広島に違和感を感じている。 あんな状況だったのに、みんな、それを覚えてないの?と。 それでも日々、生活をしている。でも、忘れていない。少なくとも、彼女の目には、みんな忘れているように見えている。 でも彼女は忘れていない。 自分の浅ましさだったり、見捨てた罪悪感、生き残った引け目を感じるからこそ、幸せになるのを避けている。幸せになる資格がないと。 最終的には、彼女は23歳で亡くなった。 当時をどうにか生きられても、こうやって数年後、十数年後に影響が…
久しぶりに、息子を連れて松本の丸善ビルまで行ってきました。 過敏性腸症候群(多分)とか、オミクロン株への不安とか、色々あって最近はうちに閉じこもりがちになってたんですよね、うちの息子。そりゃ感染するのは怖いけど、うちに引きこもってばかりっていうのも健康上どうなんだろうと思ってたんです。で、ちょうど息子が欲しがっていた本が丸善の在庫にあることを知ったので、思い切って連れ出してみた次第です。 松本駅前の丸善ビルは、丸善と文教堂という2つの書店が入っていて、本はもちろんガンプラも売っている。息子にとってはパラダイスなわけです。なので、本人も「行きたい行きたい」と二つ返事。不織布マスクに携帯用消毒薬、…
今週のお題「名作」 2017年、高2の夏。地元の市民ホール的なところで、映画「この世界の片隅に」の上映会が行われた。 「この世界の片隅に」は、公開当時、テレビのニュースなどで頻繁に紹介されており、かわいらしい素朴な絵柄や、温かい感じのする音楽を見聞きして、「観てみたい」と強く思ったが、私は、戦争、特に「原爆」に、トラウマのような強い恐怖を感じていた。 私の通っていた大阪府内の小学校は、きちんと平和学習をしてくれる学校だった。夏休み期間中、2日か3日ほど登校日があったが、そのうちの1日の日付は、決まって「8月6日」だった。 小学1年生の、初めての8月6日の登校日、校長先生のお話を聞いて、この世に…
【月曜和もの80's】Che-Che Bye-Bye / 種ともこ('87) 種ともこは、CBSソニーが同時代のポップロックをプッシュした84年のSDオーディションで注目された(この時はThe東南西北、Look、聖飢魔IIなど豊作でした)女性ssw。といっても弾けるポップセンスとキャッチーなメロディーでラジオでよくかかってました(”10円でごめんね”とか”みんな愛のせいね”とか)。忘れられない「Che-Che Bye-Bye」('87)はつべにないので、NHK-FMの人気番組「ニュー・サウンズ・スペシャル」(高橋基子がDJ)のスタジオ・ライヴからタイトル曲。なつかしくせつない名曲です。 htt…
【月曜和もの80's(再)】春がいっぱい / 大村憲司('81) 再び80'sの懐かしい音も。 赤い鳥のサポートだった大村憲司は、バンブー、カミーノを経てYMOのサポートgtrとして一般的に注目されます。当時そっち系にも詳しかった漫画家の江口寿司の「ストップひばりくん」で大村憲司のセカンドソロ「春がいっぱい」('81)のジャケが余白に正確に模写されてまして。そのタイトルと共に記憶に残ってます。後年Spring Is Nearly Hereという原題があってシャドウズのヒット曲と知った次第。また音楽の扉が一つ開いた気がしました。なおこのアルバムにはロン・ウッドorジョージの”Far East M…
2024年4月10日(水) 今日のBGM www.youtube.com ひっさしぶり(1年8か月ぶり)に血小板成分献血をしに、栄献血センターへ 松坂屋から陽光まぶしいエンゼル広場を望む 栄ガスビルの9Fへ 今日の番号は「9」 超個人情報(生体情報!) 50代半ばで「117ー78」は優秀だぜ。 栄センターは前、お菓子食べ放題だったけど、知らないうちに、 この専用コインの自販機で好きなお菓子を選ぶシステムになってた。 このコイン、今はジブリパークに姿を変えたが、 昔々の青少年公園時代のプールのコインロッカー用のコインにそっくり! (もう40年以上前の記憶。。。) <過去記事> 64回目の献血 2…
昨年11月に放送されたNHKのETV特集『個人的な大江健三郎』が、今月16日の深夜に再放送されたものをNHK+で見つけて観た。 その中で8人の人が、大江健三郎の作品に触れて、それが自分にとってどの様な影響を受け現在に至っているかを語っていた。 登場人物順に紹介すると・鹿児島在住の詩人・奥山紗英さんは『セブンティーン』・元乃木坂46の俳優でありタレントの齋藤飛鳥さんは『飼育』・シンガーソングライターのカガジカオさんは『芽むしり仔撃ち』・2005年に芥川賞を受賞している仲村文則さんは『個人的な体験』・「この世界の片隅で」の漫画家・こうの史代さんは『ヒロシマ・ノート』・戦時下のキーウで生活するウクラ…
富士川 (略)だいたいラシュディを代表とするような小説というのが、どちらかというと魔術的リアリズムというんでしょうか、非常に強い物語性というものを中心に持っていて、そこにインドやイスラムの神話だとか伝説だとか、そういったものを結びつけていく。それからインドの現代史の動きなどをそこに描きこんでいく。特に『頁夜中の子供たち』という彼がブッカー賞を受賞して、世界的、国際的に知られるようになった作品なんですけれども、あれなんかが一つの典型例としてあるわけですね。 もう一つ後者の、いわゆるイギリス本土出身の若手の作家たちの特徴ですが、いろいろあるんだけれども、それを一言で言ってしまうと、イギリスの過去と…
東日本大震災発生の年……その年、2011年の8月に、当時発表されていた作品を一覧にまとめた m-dojo.hatenadiary.com が本来の場所でしたが、、少し前から他のいくつかの記事同様、少しずつ更新しながら、繰り返し紹介していくコンテンツとしました。ほか、 あたらしい情報があったら教えてください。 リストにあるように、2023-2024年は、「ドッグスレッド」を追加しました。以下、インタビューを一部引用 東日本大震災の大きな影響を受けた新作 ――新連載の『ドッグスレッド』は2011年の東日本大震災の描写をしっかりと入れていますが、どういう意図があるのでしょうか?2011年、当時を描く…
一条真也です。105冊目の「一条真也による一条本紹介」をお届けいたします。『心ゆたかな読書』(現代書林)です。表紙には、開いた本の中から木が生えているイラストが描かれ、「心の森」が表現されています。 『心ゆたかな読書』(現代書林) また、 「ハートフル・ブックス」というサブタイトルがついています。そう、本書は125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」に連載中の「ハートフル・ブックス」で取り上げた150冊を紹介したブックガイドなのです。 本書の帯 帯には、「『論語』から『鬼滅の刃』まで」「万巻の書を読み解いてきた当代一の読み手が、古今東西の150冊を厳選! 心をゆたかにする本たちとの至高の出合い…
こんにちは。 T・たまもです。 今日ご紹介する本は漫画です。 こうの史代「ギガ・タウン~漫符図譜」朝日新聞出版 「ぼおるぺん古事記」はボールペンで描かれていましたが、これは、筆・・・筆ペンなのかな? 金属のペンではないと思う。 鉛筆にしては線の幅が豊かだし。 なので、鳥獣戯画風味の登場人物(人物っていうか、動物たち)にはふさわしい画風なのでした。 漫符というのは、漫画の中で表情や行動を示すための記号のことです。 ふきだしも普通のしゃべり方ならセリフを○で囲み、怒鳴り声を表すときは☆みたいなトゲトゲでかこみますよね。 これも漫符のひとつ。 人物の顔に縦じまを半分くらい入れると気落ちや心配の表情を…
かっぱのねね子 こうの史代小品集作者:こうの 史代朝日新聞出版Amazon最近の作品の中では凄く面白い。こうの史代らしい、のほほんとした笑いがある。こういうのをどんどん描いてほしいなあ。昔の作品の続きでも十分。百人一首がどうの、古事記がどうの、鳥獣戯画がどうの、という変にひねった作品はあんまり好みじゃない。いやまあ鳥獣戯画はけっこう面白かったけど。結果的にね?
ギガタウン 漫符図譜作者:こうの 史代朝日新聞出版Amazon漫画表現で使う「漫符」を、鳥獣戯画で解説するという作品。いや、面白い!面白いんだが、ひねりすぎだろ……。もう少しシンプルに楽しませてくれないかなー。