1 イヌ科の哺乳類。頭胴長五〇〜六八センチ。体はずんぐりしていて、尾が太く、脚が短く、耳は丸くて小さい。毛は厚く、密生した下毛と荒く長い差し毛とがある。木の根元のうろや岩穴、アナグマの放棄した巣穴などをねぐらとする。夜行性で、雑食性。驚くと仮死状態になることがある。日本・中国・アムール地方に分布。毛皮は防寒用に、毛は毛筆に使用。昔話などに人を化かすとしてよく登場する。《季 冬》「戸をたたく―と秋を惜しみけり/蕪村」
2 人のよさそうなふりをしていて、実際にはずるがしこい者。「あの親父はとんだ―だ」
3 「狸饂飩(うどん)」「狸蕎麦(そば)」などの略。「タネ」を入れずに(抜いて)揚げた天ぷらが揚げ玉であり、つまり「タネ抜き」が訛って「たぬき」となったとされる。
4 「狸寝入り」の略。「―を決めこむ」