ちょっと思い出しただけ

（注意：ネタばれします。これから観る方は読まないように） 観終わって、真っ先に口から出た言葉は 「ニューヨークと結婚かよっ」 だった。 多分、多くの視聴者がそう叫んだのではないか。ラスト近くで、描かれる現在のシーン。今住んでいると思われるマンションのベランダでタバコを吸う葉の後ろから、ふいと、赤ん坊を抱いて登場するニューヨーク。コンパで出会った男が赤ん坊を抱いて現れるという1カットで、すべての結末を伝えきってしまうという手法は、映像では当たり前のやり方なのかもしれないが、どんでん返しというか、すぐれたミステリーの裏切りのようなセンスを感じて、自分の中でちょっとした「爆発」が起こった。静かに時間…

★主演：池松壮亮、伊藤沙莉20代男女の恋愛模様を彼の誕生日だけ切り取って振り返る『ちょっと思い出しただけ』2022年公開★2021年7月26日、この日34回目の誕生日を迎えた佐伯照生（池松壮亮）は、ステージ照明の仕事をしており、ダンサーに照明を当てている一方、タクシー運転手の葉（伊藤沙莉）は、ミュージシャンの男を乗せてコロナ禍の夜の東京の街を走っている立ち寄ったトイレでタクシーを降り、近くの建物に吸い込まれるように入って行くと、そこにはステージで踊る照生の姿が…時は遡り、2020年7月26日、2人はそれぞれコロナ禍の中で仕事をしているさらに時を1年ずつ遡ってゆき、数年間の2人の日々を辿る… ★…

1、作品の概要 『ちょっと思い出しただけ』は、2022年2月に公開された日本の映画。 監督・脚本は松居大吾。 主演は池松壮亮と伊藤沙莉。 音楽をクリープハイプが担当している。 主題歌はクリープハイプ『ナイトオンザプラネット』 第34回東京国際映画祭で観客賞を受賞。 2023年4月現在、アマゾンプライムビデオで配信中。 照生と葉の6年の日々を、照生の誕生日の7月26日の1日を通して描く。 www.youtube.com 2、あらすじ 2021年7月26日。 照生は怪我によりダンサーになる夢を諦めて、ホールのステージ照明の仕事をしていた。 タクシードライバーの葉は、偶然照生の働いているホールのステ…

照明スタッフ照生とタクシードライバー葉は恋愛のある日を１年毎に遡っていく。 誰しも経験したようなしていないようなそんな日々をちょっと思い出せる映画。 choiomo.com ちょっと思い出しただけ。このちょっとの意味合いが人によって異なるし鑑賞の前後で印象変わってくるのがいいな。 そのちょっとが致命傷だったりするわけで。自分でも何言うてるかわからない。 30歳の手前辺りから、邦画の破壊力が年々増している。 今が一番、映画を楽しめてるとさえ思える。これが毎年思えるようを年を重ねられたらいいな。 この映画はネタバレなしではもう語ることはできんな。 観た者同士であの時はあーだこーだを語り合うのがすご…

WOWOWで「ちょっと思い出しただけ」を観ました。 一年の締めくくりに2022年最高の映画を観れました。1回目観たときは時間軸の設定に気がついておらず、最後のシーンで「ちょっと思い出しただけ」の意味が分かって感動！設定を理解した上でもう一度観ましたが最高でした。伊藤沙莉さんが素晴らしいですね。タクシーの中での別れ話しのシーンが好きです。男性の弱さも含めて好きになれる女性と、相手の女性のことを想えばこそ強くありたいと思う男性とは分かり合うのはなかなか難しいのかと思って。自分にも当てはまるケースです。2022年最後に素晴らしい映画に出会えました。⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️です。

ということで2022年マイベスト映画は ①スープとイデオロギー ②ある男 ③リコリス・ピザ ④こちらあみ子 ⑤スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ⑥ちょっと思い出しただけ ⑦神は見返りを求める ⑧C'MON C'MON ⑨スペンサー ダイアナの決意 ⑩メタモルフォーゼの縁側 ということでこのようになりました。映画は社会を映す鏡であり、同時に人間の心を描く。社会と人間。1位に選んだ「スープとイデオロギー」は観終わった今もずっと心に残り続けていて、日に日に大きくなっている。日々のニュースやSNSを観ると、社会はもうどうしようもないぐらいにイデオロギーで分断され、対立がそこかしこに生まれている。で…

そういや昔、60歳くらいのジャズ喫茶のマスターが「恋をしたい」と言っていて（それはきっと叶わない）、なんだかいいなと思ったことをつい思い出した。失ってしまったもの、もう元には戻れない、戻せないことが、いかに豊かで、美しいものであるかを、この映画は改めて教えてくれる。そんな、たくさんの「思い出」の断片の塊こそが人生。ちょっと思い出す恋の一つや二つ、あった方が良い人生に決まっている。 映画『ちょっと思い出しただけ』オフィシャルサイト 2022年2/11公開