大学生のときから、千葉雅也の本は読んでいて卒論の参考にもしたくらいだけれど、働きだしてからはあまりハードな哲学方面の彼の仕事よりも、日々更新されるTwitterの文章を楽しんでいた。 ひさしぶりにTwitter以外の彼の文章を読んだ。『アメリカ紀行』(千葉雅也著、文春文庫)だ。 紀行文と言えば紀行文なのかもしれない(あまり紀行ものを読まないので、本作の解説の方の違和感が正直よくわからない)が、わたし自身はアフォリズム集に近い本のように読んだ。 ところで、なぜ彼はアメリカに行くことになったのか。フランスではなしに? 一応そこはおさえておこう。 二〇一七年十月一日、僕はボストンのローガン空港に到着…