実家での慌ただしい正月を終え、鎌倉の自宅に戻ると、ようやく僕の新しい一年が静かに深呼吸を始める。使い慣れた鉄瓶から立ち上がる湯気を眺めながら、自分たちのリズムを取り戻していくこの時間が、何よりも愛おしい。 三が日の午後、お雑煮の余韻を楽しみながら、僕は妻に「散歩に行こうか」と声をかけた。子供たちが成人してから、家の中は驚くほど静かになった。かつての騒々しさが懐かしくもあり、凪のような今の夫婦の時間が贅沢にも感じられる。 向かったのは、まずは近所の八雲神社。鎌倉の正月といえば鶴岡八幡宮の喧騒が思い浮かぶが、僕たちはあえて、地元の人々に静かに愛されるこの小さな社を選ぶ。境内に漂うキリリと冷えた空気…