有馬記念を予想中の私に、後ろから声を掛けてきた奴がいる。 『探しましたよ。そしてやっと見つけましたよ。負男さんですよね。』「ああ、そうだが、君は?」『30年前のあなたですよ。』普通なら頭のおかしいやつに声を掛けられたと思うだろうが、流石に本人だけあって、それが若い頃の自分であることはすぐ分かった。「タイムスリップしてきたのか?」『そのようですね。』『有馬記念の予想中ですか。昨日はいいレースでした。しこたま負けましたけど。』「30年前の有馬記念は、1日前だったのか。」さすがに私だけあって、タイムスリップしたことより有馬記念の方が気になるらしい。ただ、負けたとは情けない。というか、負けたのは私でも…