[英] Dengue fever
デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルス(dengue virus)が病原体の感染症。デングウイルスの血清型は1類から4類まで4種類ある。
潜伏期間は普通4日から7日。
デング熱は、一過性の熱性疾患で、東南アジア、インド、中米、南太平洋などに広く分布する。
近年の、熱帯・亜熱帯地域の都市部におけるアウトブレイクには、急激な都市化が関連しているとされる。
非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群の2つの病態がある。
デング熱では、突然の発熱、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛を伴うが、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある。
発症後3〜4日後より胸部から非特異性の発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。四肢にかゆみを伴うことが多い。こういった症状は適切な対処を行えば、通常3〜7日程度で消失し、回復する。
なお、致死率は国により異なり、数%から1%以下と様々である。
現在のところワクチンはなく、予防は蚊刺されに気をつける他無い。ヒトスジシマカは、日中活動し、室内にもひそむ。治療は、対症療法薬と輸液である。また鎮痛解熱剤としてサルチル酸系のもの(アスピリンなど)は、抗血小板作用のため、出血やアシドーシスを助長する可能性があり、禁忌である。かわりに、パラセタモール(アセトアミノフェン)を用いる。
たとえば1型にかかった場合、1型に対しては終生免疫を獲得するとされるが、他の血清型に対する交叉防御免疫は数ヶ月で消失し、その後は他の型に感染しうる。
この再感染時にデング出血熱になる確率が高くなると言われており、型別も含めた実験室内診断が重要とされる。
デング熱は4類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることになっている。
デング熱を「天狗熱」、「テング熱」と記されることがあるが、これは誤用法である。