ビジネスケアラーとしての資質は、介護離職を考えられる方はお持ちであることが多いと思います。後は会社側の制度が子育て制度並みに充実してくればよりしやすくなってくると思います。 また会社内での理解度も同じく必要かと思います。前提として子育ては周りにも伝えやすいですが、まだ認知症というとネガティブなイメージもあるので同じようには伝えにくいことがあります。 今後は企業からのサポートも期待されますが、ご自身でも人事部などにいろいろ相談されてみると意外に自社にも支援制度が存在するかもしれません。
介護は、ビジネスマネージメントと同じだという視点に立てば必要なものは「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」となります。ヒトは、介護に協力してもらうプロ。モノは便利な介護福祉用品、介護施設。カネは、介護にかかる費用をどう捻出するか。そしてジョウホウは、この全てを有効に利用するために必要な情報となります。 ヒトに関しては人脈も重要な情報です。多岐に渡る知識、実践的な知識を得るためには必須のものと言えます。
チームという認識で介護を行なうことで、介護の負担を確実に分散させることが可能になります。得意なことはその専門家に任せる、これはビジネスにおいてもプロジェクトマネージャーが第一に考える適材適所の配置にも通じる部分だと思います。任せるときはしっかり任せ、情報や報告をしっかりうけて適時適切に指示をだす、まさにプロジェクトリーダーの仕事です。
たとえば父親、母親、子供の家族だった場合、父親が亡くなった段階で、子供に相続しておけば贈与よりも有利な条件で資産を移転することが可能です。相続についてはいろいろな税制上の優遇策がありますので、先を見越した準備というのは大きな効果を生むことがあります。 不動産とある程度の資金を家族信託でビジネスケアラーとなる息子が受託しておくという方法もあります。なので早いうちに介護と向き合うことでいろいろな方策を事前にうっておくことも可能になります。
資産の中で不動産の占める割合というのは比較的大きいものです。ゆくゆくはこの不動産を親の施設入所費用に充てようと思っていても、名義人である親の認知症が進んでしまった場合、不動産売買が難しくなります。子供の一存では出来ず 後見人をつけるか塩漬け状態にして一旦介護者が立て替えるかということになってしまいます。
この介護プロジェクトは、長期計画を想定しなければなりません。なので予算管理も重要です。介護される方の資産、年金などもしっかり把握し、今後予想される支出にあわせてプランを組む必要があります。まさにキャッシュフローです。 認知症が進むことで資産が凍結されることもあります。いざという時に柔軟な対応ができるように準備を進めておかなければなりません。家族信託をするのか、贈与にはなりますが先に名義を変更しておくのか。
全体のスケジュール管理、役割分担の把握、チーム内のつよみよわみの把握。問題点の解決、モチベーションの管理などなど、いままで嫌というやってきたことかもしれませんが、それがそのまま介護にも応用可能です。 ときにはケアマネさんやヘルパーさんに気遣いをしてモチベーションをあげたり、情報収集をしたりとする必要があるかもしれません。TODOリストを作って進捗管理などもしてみるといいかもしれません。何をしないといけない、何が自分にとってわかっていないのかそれがわかると消える不安も結構あります。
介護と仕事を両立していくビジネスケアラーにとっては実は今までの経験が大きく活用できるところでもあるのです。介護に関しては素人でもビジネスにおいてはすでに数十年のキャリアがありこれを活かさない手はありません。 自分がチームのリーダーとなり、介護プロジェクトを引っ張っていくにはどうしたらいいのか?そこがコアな部分です。
ここまで介護は、いろいろなサービスを利用しましょうというお話をしてきました。つまり介護は一人で抱え込まず、家族や親族、医療従事者、ケアマネ、ヘルパー、役所職員などチーム一丸となって立ち向かっていくという事が必要です。 でもコレって会社員であると何かに似ていると思いませんか?そうです、「仕事」です。仕事でも一人仕事を抱え込んで悩んでキャパを越えて失敗するということが良くあります。
こういった仕事と介護の両立を実現するためにもまず今必要な介護を整理し、それに対応できる介護サービスがあるか調査する、確認することが大切です。できる限り自分でやらないという考えが、自分自身の余裕を生み、長期戦になるであろう介護の支えとなります。 ビジネスケアラー(離職せずに介護を行なう)となるためには、良い介護サービスや家事代行サービスを見つけることが必須です。