~ 追憶 酒森 ~ かー君と出会ったのは 雨の日の夜だった…… その夜私は姉と一緒に10秒おきの全力疾走とジョグを繰り返し 30分程経過したところで 今夜はもう上がろうかと話していた所だった…… 不意に物陰で何かが動く気配を感じたので姉の方を見ると… 姉はバタフライナイフを逆手で握っていた…… でも私はすぐに犬だと解ったので 姿勢を低くして近付いた…… するとずぶ濡れの痩せた犬が 私の肩に顎を乗せて来た…… 上瞼にあるアイシャドウが特徴的で とても優しい目をしていた………… かー君は偶然にも 家で飼っている犬たちと同じ犬種だった…… 姉に相談すると 「一匹くらい増えたってお母さん気付かないよ」…