海外ドラマ
ここではジョーン・ヒクソン主演版「ミス・マープル」シリーズについて記述する。
アガサ・クリスティー原作の人気シリーズ「ミス・マープル」のドラマ化。
1984〜92年 イギリス/BBC制作
全12話
主演のジョーン・ヒクソンは、今日、ミス・マープルといえば彼女というほどの支持を集めた。原作者のクリスティーも「ミス・マープルに最も適した女優」と評したといわれている。ドラマ自体も、丁寧な描写、美しい英国の風景などとあいまって、ミステリーファンならずとも「ミス・マープルのドラマ決定版」と全世界で評価する声が高い。
日本語版では、マープルの声を山岡久乃が吹き替え、これもまた好評を博した。
#1「牧師館の殺人」The Murder at the Vicarage
#2「書斎の死体」The Body in the Library
#3「動く指」The Moving Fingar
#4「予告殺人」A Murder in Announced
#5「魔術の殺人」They Do it with Mirrors
#6「ポケットにライ麦を」A Pocketful of Rye
#7「パディントン発4時50分」4.50 from Paddington
#8「鏡は横にひび割れて」The Mirrot crack'd from side to side
#9「カリブ海の秘密」A Caribbean Mystery
#10「バートラム・ホテルにて」At Bertram's Hotel
#11「復讐の女神」Nemesis
#12「スリーピング・マーダー」Sleeping Murder
これは日本での放映順。英国での制作順はこれとは異なる。
日本語放映版。版権の都合で「ポケットにライ麦を」が収録されていない。
完全版。英国オリジナル版で、日本未放映の部分にも吹き替えを施した。「ポケットにライ麦を」も収録されている。一部、マープルの声を京田尚子が吹き替えている(山岡久乃 逝去のため)。
ミス・ジェーン・マープル Miss Jane Marple。
英国のミステリー作家アガサ・クリスティーが生んだ名探偵。
<ミス・マープル>シリーズは、<名探偵ポアロ>シリーズと並ぶクリスティーの代表作。
ロンドンの中流階級出身。イタリア・フィレンツェの寄宿学校に留学し、帰国してからは両親のもとで花嫁修業。結婚を考えたこともあったが両親の反対もあって断念。その後、両親の死後、生涯を独身で通すことを誓い、ロンドン郊外の小村セント・メアリ・ミード*1に移り住む。
推理法は、普段の人間観察と、村人たちの噂話から情報を収集するといったやり方。
12の長編と20の短編に登場し、その殆どがセント・メアリ・ミード村とその近郊を舞台とする。常に村で事件が起こるというわけではなく、またミス・マープルも引きこもっているわけではなく、活動的にあちこちに出かけていって、その先で事件に出くわすこともある。ごくわずかな作品でロンドンのバートラム・ホテルが舞台となっている。
ハリウッドの映画化、テレビドラマ化など、ポアロ同様、幾たびか映像化されている。
わけても、ジョーン・ヒクソン主演によるBBC制作の「ミス・マープル」シリーズは世界中で評価が高い。
このジョーン・ヒクソン版「ミス・マープル」シリーズについては別キーワード参照のこと。
MGMが1960年代に制作した映画版は、いささか評価が厳しい。というのも、4本のうちミス・マープルの原作は1本のみで、うち2本は「ポアロ」ものをミス・マープルに置き換え、そして残る1本は映画オリジナルというありさまで、映画化にあたって自由な脚色を認めていたクリスティーも「度が過ぎる」と相当お冠だったらしい。→ミス・マープル ムービー・コレクション (初回限定生産) [DVD]
21世紀に入ってから、グラナダTV制作、ジェラルディン・マキューアン主演の新シリーズが始まった。
*1:クリスティーの創作した架空の村