十月十八日は、三日間にわたった鬼子母神さまお会式(おえしき)の最終日。最高潮の盛上りである。池上本門寺はたいそうな賑わいと聴くが、まだお詣りしたことがない。出向くとすれば、もっぱら雑司ヶ谷鬼子母神さまである。 お会式の元来はと申せば、日蓮宗の宗教行事だ。お坊さまがたや深く帰依する宗徒がたが声と心を合せてお題目を唱え、乱れることなく団扇太鼓を打ち鳴らして練り歩く行列は、今も勇壮でおごそかだ。だが鬼子母神信仰と結びつくことによって、お会式は庶民信仰の側面を併せもつようになり、女性たちなかんづくお母さんたちのお祭として伝統化した。 その昔、人の赤児をさらっては食う母鬼があったそうな。肉も骨もたいそう…