「『仕事を始める』を扱った作品」の第三弾は、熊谷達也『新参教師』(徳間文庫、2009年)。慣れない仕事に対する心配や不安は、なにも新入社員に限られるわけではありません。転職して新しい職場で働き始めるケースもあるからです。この場合、なにかにつけ、前職での経験と比較してしまいがち。新入社員とはまた違ったレベルでの戸惑いや悩みが生じることとなります。本書は、損保会社の支社長から中学校の教師に転職した安藤亮太42歳の物語です。中学校教師たちの仕事とは、彼らの悩み事・心配事とはどのようなものなのか。大変よくわかります。元中学教師である著者の経験が生かされているためか、教師という仕事の実態がリアルに描かれ…