作家。中近世ヨーロッパを舞台とした歴史小説が多い。 1993年、『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。 1999年、『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞。 他に「傭兵ピエール」「赤目のジャック」「双頭の鷲」などの作品がある。
略歴・紹介等はhttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/8826/が詳しい。
歴史小説のウソ(26-12)以来の佐藤賢一さんの本。磯釣りが「武芸」として奨励されている羽州大泉藩を舞台にした歴史小説。 佐藤賢一さんは山形県鶴岡市生まれ。そして羽州大泉藩とはまさに鶴岡市のことらしく、著者の生まれ故郷が舞台になっている。 歴史小説の面白さは、現代社会に通じるところだ。仕事や家庭で悩み、ままならない人生を今とは違う時代、異なる場所で、同じように追体験する。本作の主人公である前原又左衛門は年齢や置かれた立場的に今の私とどこか近いところがある。 中間管理職的な役職で、仕事のライバルであり釣り仲間の同僚がいて、妻とは独特の緊張関係があり、娘の縁組が持ち上がる。そんな中、藩主が亡くなり…
★★★★ コルシカ島に生まれたナポレオーネ・ブオナパルテは、フランスの士官学校を卒業後、砲兵士官に任官する。フランス革命の混乱期に能力を発揮したナポレオーネは、24歳で将軍になる。そこから実績を積み上げた彼は、フランス風のナポレオン・ボナパルトに改名する。遂には皇帝にまで上り詰めるのだった。 いつ頃からか、ナポレオンにも定かではない。が、ただフランスを手に入れても、それで満足できないという自覚はあった。いや、満足してはならないとすら思う。フランス人ではないからだ。根からのフランス人であるような顔をして、心からフランス人になりきっては、卑屈な裏切り者に成り下がる気がしてしまうのだ。 ――俺はコル…
ドゥ・ゴール(25-13)以来の佐藤賢一さんの本。本書は新書であり、小説ではない。 佐藤賢一さんは東北大の大学院で西洋史学を専攻する専門家だったが、小説家に転向した経歴を持つ。本書はそんな佐藤さんが小説家になった経緯も書かれていて、興味深い。卒業論文を書いていたころに、ちょうどワープロが流通し始めてきて、タイピングの練習として歴史上の人物にセリフを言わせてみていると、あらら小説っぽくなり、ダメもとで新人賞に応募したとのこと。ウソみたいな展開。 何が人生を変えるか分からない。が、行動が大事。アクションを起こさないと人生は変わらない。 歴史小説は人間を書くもの。読者には共感を覚えさせなければならな…
歴史小説のウソ (ちくまプリマー新書 510)作者:佐藤 賢一筑摩書房Amazon Kindle版もあります。歴史小説のウソ (ちくまプリマー新書)作者:佐藤賢一筑摩書房Amazon なぜ私たちは、歴史エンタメから「歴史に学んで」しまうのか。歴史小説を読んで、「自分もこんなふうに生きよう」とか「この過ちを繰り返してはいけない」と思ったことはありますか? なぜ私たちは、創作物の中に歴史の真実があると感じるのでしょうか。 その秘密は、歴史と歴史学と歴史小説のもつれた関係にありました。人気歴史小説家が「真実」を創り出す手口を種明かし! 小説にも漫画にも映画にも騙されず、自分の歴史観を持とう。 僕は子…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 世の中には 知らないことが山ほどありますね。 最近、思うことなのですが、 まったく知らない分野については 人は謙虚でいることができます。 だって全然知らないのですし、 少しもわからないのですから 謙虚でいるしかできません。 問題はそれなりに知っていることの 周辺ではないでしょうか? ある程度の知識があって そこそこ知っているからこそ わかった気になってしまう。 でも、そこにこそ落とし穴があるんですよね。 謙虚でい続けるというのは 本当に大事なことだと思いますが、 知っていることに…
『王の綽名』佐藤賢一王の綽名作者:佐藤賢一日経BPAmazon日経新聞に連載されていたコラム『王の綽名』をまとめた一冊。 王の在位した年代順に収録されています。 6世紀のフランク王ピピン1世から19世紀フランス市民王ルイ・フィリップまで。ちょうど『「ヨーロッパ王室」から見た世界史』で北欧王家(フランク人)の話しを読み齧ったばかりだったので、デンマーク王やノルウェー王の綽名エピソードはありがたし。 デンマーク初代国王のハーラル1世(在位960-985)は「青歯王」。 …青い歯?と疑問は湧くが、それはさておき。ノルマン無双時代のデーン人の王。海を挟んだノルウェーまで支配します(孫の代にはイングラン…
最終飛行(25-09)を読んで、シャルル・ドゥ・ゴール(1890-1970)に興味がわいて読んでみた。本書は同じく佐藤賢一さんによる著作。 ドゥ・ゴールと同じ1890年生まれは、ロナルド・フィッシャー、ヴァネヴァー・ブッシュ、ホー・チ・ミン、カーネル・サンダース、アガサ・クリスティ、仁科芳雄。あいにく本書では登場しないサン=テグジュペリより10歳年上だ。 古代ローマや、その後も教会で使われたことからわかるように、「ガリア」はラテン語である。それをフランス語になおすと、「ゴール」になる。(9) ということでシャルル・ドゥ・ゴールの名前は、フランス(ガリア地方)のシャルルさんという意味になるそうな…
ファイト(20-33)依頼の佐藤賢一さんの小説。本作の主人公は、「星の王子さま」で有名なアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900-1944)。サン=テグジュペリと同い年生まれは、杉原千畝、フレデリック・ジョリオ=キュリー、ヴォルフガング・パウリ、壺井栄。 さて、本書を読むまで知らなかったこと(認識から漏れていたこと)は2点ある。 サン=テグジュペリが飛行機乗り(軍人)であること 第二次世界大戦のフランス側からの視点 特に2.については、そもそも私自身が歴史全般に疎いので今更感はあるが、視点を変えれば大きな戦争が全く異なる出来事に見えてくる、当たり前といえば当たり前のことに気づかされた。 …
王妃の離婚 佐藤賢一集英社1999年2月28日 第1刷発行 1999年7月30日 第4刷発行 2024年8月3日 日本経済新聞で、【半歩遅れの読書術】にて紹介されていた本。面白そうと思って、図書館で予約した。 同じ 記事を読んだ人だろうか、1999年の本なのにたくさんの予約者がいた。秋になって、ようやく順番が回ってきたので、借りて読んでみた。 紹介者は、上田岳弘さん。夏にぴったり、と紹介していたのだ、、、。まぁ、季節は関係ない。記事によれば、 ”舞台は15世紀末のフランス。当時の国王であるルイ12世は、王妃であるジャンヌ・ドゥ・フランスとの「婚姻の無効」を争う裁判をしていた。なぜ「離婚」ではな…
14世紀、イギリスとフランスが闘った百年戦争と言えば、物語の主役級になる人物が多数登場し、歴史ファンにとっては興味深い時代。 イギリスで言えば、シェイクスピアが描いたヘンリー五世や、勇名を馳せたエドワード黒太子。一方のフランスでは、ジャンヌ・ダルクに、英雄ベルトラン・デュ・ゲクラン…。 そして、今回取り上げる小説の主役は、このベルトラン・デュ・ゲクランです。 佐藤賢一 『双頭の鷲』 新潮文庫 上下巻 双頭の鷲(上)(新潮文庫) 作者:佐藤賢一 新潮社 Amazon この人物の名は初耳という人もいらっしゃるでしょう。かくいう筆者も、名前ぐらいは、どっか、別の本の中で登場した記憶くらいはあるものの…