作家。中近世ヨーロッパを舞台とした歴史小説が多い。 1993年、『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞し作家デビュー。 1999年、『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞。 他に「傭兵ピエール」「赤目のジャック」「双頭の鷲」などの作品がある。
略歴・紹介等はhttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/8826/が詳しい。
Zoom読書会 2022.07.31【テキスト】『ハンニバル戦争』佐藤賢一(中公文庫)【参加人数】出席4名、感想提出1名 <推薦の理由(参加者E)>◆歴史小説といえば日本の戦国時代を思い浮かべる人も多いと思うが、西洋が舞台の作品もあり、また違った楽しみ方ができるかと思い推薦させていただいた。◆ローマ時代の名前は日本人にとって馴染みが薄く、父親と同じ名前をつける風習もあり(日本でも歌舞伎や老舗企業の後継者などで襲名があるけれど)、ややこしく感じる。それに慣れたら読みやすくなるかな。ロシア文学よりはややこしくない。◆地名もややこしい。巻頭の地図にバエクラ等が載っておらず、塩野七生『ローマ人の物語』…
日本経済新聞の土曜日は書評欄が載っていて、楽しみにしているのだけれど、その一ページ前・【詩歌・教養】欄で3月から掲載されているのが佐藤賢一さんのコラム「王の綽名」。 「太陽王」ルイ14世や「獅子王」ウィリアム1世くらいなら小生も知っているくらい有名だけど、「禿頭王」だの「美髪王」だの「合羽王」だのと、微細を穿っていて面白い。 以前、「Bluetoothって由来なに?」とググったら、どうも北欧の王からとったようだということを記憶していたが、4/16版、デンマーク王「青歯王」として図らずも登場。青歯=虫歯とはね! www.nikkei.com マニアックで興味深いこのコラム、土曜版の楽しみが一つ増…
第6章 フランス共和国臨時政府 ローズヴェルトの戦後構想では、アメリカ、イギリス、ソビエト連邦、中国による「四大国の執政官政府が諸々の問題を取り決める。国際連合の議会が、この四大国の権力に民主主義的な様相を与える」というものだが、そこにはフランスは含まれていなかった。p182アルザス、ロレーヌを取り戻せば、それで十分なのではなかった。少なくとも「偉大でなければフランスではない」と考えるドゥ・ゴールには受け入れがたい。仮に敗戦国でなくなったとしても、まだ戦勝国ではないからだ。勝ったと声を大きくしたいなら、フランスは他の連合国に増して、ドイツに攻め入らなければならないのだ。p198その結果ヤルタ会…
ドゥ・ゴール 佐藤賢一 著 表紙 ドゥ・ゴール佐藤賢一 著平成31年4月26日 初版発行(株)KADOKAWA 発行今のウクライナ情勢を見てまず思い出したことは、第二次世界大戦でのナチスドイツに攻められたフランスでした。その時に亡命政権を作り抵抗したドゥ・ゴール(ドゴール)たちのことが気になりました。今までは書物や映画「ジャッカルの日」や「BON VOYAGE」で断片的には知っていたのですが、改めて一冊の伝記で彼の一生を通読したくなりました。この本はドゥ・ゴールの激動の人生を分かりやすく書いてくれています。やはりフランスでは、ウェルキンゲトリックス(ヴェルサンジェトリックス)、ジャンヌダルク、…
佐藤賢一『カペー朝』『ヴァロア朝』『ブルボン朝』講談社現代新書 どんな作品、著作であれ、まずは読者がいなければ話にならない。これは筆者の考えである。もちろん、どちらが、偉い、という話ではない。お客ではあっても、神仏のたぐいでは、まるでない。上の言い分は、読者は読めなければ話にならない、ということでもあるから。 さて、取り上げた3冊だが、勇気のある、自信のあるタイトルだ。まずは読者が興味関心をもって手に取ることを願うなら、『カペー朝』『ヴァロア朝』『ブルボン朝』とは何事だろう。 きょうび、タイトルが一文をなして内容を説明していて、それならもう読まなくてもよさそうな書籍が多い中で、ずいぶん堂々とし…
世界史の講義で、講師が「テンプル騎士団はフリーメイソンの源流であるという噂も」と聞き、その神秘性に惹かれ、何か新たな事実が分かるかも?と本書を購入。 学生時代は中世というのは一番つまらないし中世を研究する人たちの気が知れない(ごめんなさい!)と考えていましたが、50近くになって私、最近中世がブームっぽいです。 世界史を勉強していると、宗教騎士団というのが出てきます。主に三つ取り上げられることが多いのですが、ヨハネ騎士団(十字軍+病院系)、テンプル騎士団(十字軍+護衛系)、ドイツ騎士団(十字軍+護衛系、のちに開拓系)というイメージでしょうか。 中世において、王家、教会という二大勢力がある中、特殊…
ナチスに侵攻されたフランスのために戦い続けたサン・テグジュペリを描く小説である。 作家としてすでに名を成していたサン・テグジュペリは、祖国がナチスに占領され、講和したヴィシー政権(対独協力派)にも失望し、アメリカに渡り、アメリカに参戦するよう働きかけようとする。 ヴィシー政権の他、イギリスで亡命政権を標榜するドゥ・ゴール派、北アフリカの植民地に拠る政権など、フランスを巡る政治状況は複雑で、サン・テグジュペリはドゥ・ゴール派を嫌い、批判の矛先とするが、これが後にトラブルの種にもなる。 祖国のために戦いたいと、北アフリカのフランス軍に復帰したサン・テグジュペリは、アメリカから供与された最新鋭機に乗…
久しぶりに本を手に取った。佐藤賢一「最終飛行」である。佐藤賢一の本は多少読んでいる。中世ヨーロッパを舞台にした「傭兵ピエール」「双頭の鷲」「王妃の離婚」「カルチェ・ラタン」「二人のガスコン」、禁酒法時代のアメリカを舞台にした「カポネ」など。結構読んでいるじゃないか。読書家かよ。佐藤賢一の小説は、史実を基にした濃厚な人物描写が特徴で、歴史上の人物を生き生きと描き出すのが魅力である。 さて「最終飛行」を本屋で見かけたとき、まず、異形の双発の航空機が太陽に向って旋回している青を基調とした美しい装丁に心を奪われた。航空機はP-38ライトニングか。裏表紙には浜辺に咲く1本のバラ。「星の王子さま」で知られ…
さて、前回、鎌倉幕府に、 「念仏を辞めて真の仏国土を作る旗振りをしなさい」 といって、浄土宗に嫌われて、幕府に近しい僧に嫌われて、襲われて千葉へ逃げたり、伊豆に流されたり、また千葉に戻ったら昔から嫌われていた人に殺されかけたり、と、結構散々な目に合いました。 それでもなおもっと法華経を広めようと頑張っていた時に、転機が訪れます。 それが、蒙古襲来です。 小学校で習うやつです。チンギスハンが日本に襲ってきて北条時宗が頑張るけど、最終的には台風(神風)で何とか退散してもらう、というあれです。 僕も知らなかったのですが、蒙古は攻める前に何度か使者を送っていて、幕府も 「やべえ」 と思っていたそうです…
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900~1944)といえば『星の王子さま』の作者として知られるから、多くの人は童話作家だと思うかもしれない。もちろんこの童話はサン=テグジュペリの代表作といえるだろうが、それだけでなく『夜間飛行』や『人間の土地』を書いたフランスを代表する有名作家であり、第二次大戦には飛行士として出征した「飛行機野郎」だった。佐藤賢一著『最終飛行』(文藝春秋)を読んだ。ナチスドイツに占領されたパリからアメリカに一時亡命し、戦線復帰後行方不明になる最後の偵察飛行までのサン=テグジュペリの姿を追った長編小説だ。 フランスはパリがナチスに占領されるとヴィシーに親独政権が誕生、一…
今期は企画本が多いです 2023年4月~6月の世界史関連新刊紹介です。 本記事はざっと流し読みをして気になる本をメモしていただくか、ブックマークして書店を訪れた際に見返すかして使っていただけるといいかと思います。今回も50冊あります。
突然ですが、最近書こうという気が減退しています。 ブログとか長くやるとよくあることかと思いますが。 自分のポストを見返すたびに、何かワンパターンだとか、誤字脱字が多いとか、語彙が少ないとか、要は下手過ぎて萎えると笑 とは言え、技巧を凝らしてきらびやかに書くとか、しゃれた言い方をしたいというわけでもないのです。 ただ単に、気持ちをシンプルに言い表したい、それだけ。で、ありたい自分・なりたい自分とギャップがあるなと。 ちなみに、この人の書き方、好きだなあというのは、下の方のブログ。どんだけ速読なのだろうっていうくらいの読書量なのですが、自分の気持ちの吐露と本の紹介のバランスが上手だなあと思います。…
16世紀のパリを舞台とした成長物語 2000年刊行作品。佐藤賢一(さとうけんいち)、七作目の作品。サトケンお得意のフランスモノである。 カルチェ・ラタン 作者:佐藤 賢一 集英社 Amazon 集英社文庫版ハ2003年に刊行されている。 不勉強にして知らなかったのだが、本作の主人公ドニ・クルパンは16世紀フランスきっての大人物であったらしい。 ただ、功成り名遂げた盛年期でなく、箸にも棒にも引っかからなかった青年期に光を当てたのが本作。パリの学生街カルチェ・ラタンの誇る天才ミシェルとの交流を通して、ドニが一人前の男に成長していくさまを描く。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(…
今回はロマン・ロランの戯曲『ダントン』の感想。 同じ題材でもビューヒナー『ダントンの死』やアンジェイ・ワイダ監督の映画『ダントン』(原作はスタニスワヴァ・プシビシェフツカの戯曲)の影に隠れている感の強い(そもそもロマン・ロラン自体最近の日本のフランス文学界で影が薄い)この戯曲だが、フランス革命に興味がある人にとっては面白いのではないか。もちろん文学史的価値としては「フランス革命劇」連作における「民衆の声の重要性」などの方が高いんだろう。だがこれはアカデミックな書きものではないので自由に語る。 ダントンは何をしたかったのか? 弱き者の絶望の叫び リュシル・デムーランは「軽薄で愚かな良妻」か? そ…
・森崎緩著『マヨナカキッチン収録中!』 ・仁木英之著『我、過てり』 ・ケンノジ著『痴漢されそうになっているS級美少女を助けたら隣の席の幼馴染だった8』 ・星亮一著『伊達政宗 秀吉・家康が一番恐れた男』 ・佐藤賢一著『チャンバラ』 ・猫田バナ著『姉妹ごはん 台湾料理と絶品茶、ときどきビール。』 ・岸本和葉著『一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 4 美少女アイドルたちとの同棲生活が始まるようです』 以上。 今月も7冊購入。今日の時点で『我、過てり』まで読み終えて現在『S級美少女(以下略)』を読み始めたところです。 先週はちょっと遠出して、その往復の列車内で文庫本を2冊一…
本日で連休もおしまい。某私学の文化祭に行って、あまりの人出にコロナの終焉を実感。来年はここで迎える側として娘が参加できるように祈る。国際結婚をした姪の家族が来日したので、親族が集まってお祝いを実施。なかなかよい宴会でした。ラスト2日は雨でお家でゆっくりまったりと過ごす。以前からネット上で読んでいた「本読みの下克上」をやっと読了。某家の横取り戴冠式関係のyoutube動画を色々見る。JRAのレースライブを見ながら、菅井の応援をする。藤井君に勝つには研究ではめて時間切れに追い込むしかなさそう。同じ一分勝負になったら勝ち目はないことがよくわかる。以前に比べ読書量が落ちたのは、これらが原因なのがよくわ…
その誠実な連中ってのが我慢ならなかったんだ。ああいうそっくり返った謹厳居士たちを見てると、蹴っとばしてやらずにはいられなくなるんだ。僕の生まれつきの気性がこうなんだからな。(p. 136) 『ダントンの死』は個人的思い入れの強い作品なので、まずは思い出話から。 ブラック校則なんて吹っ飛ばせ 友情,死,生,リュシル Who is Julie? ブラック校則なんて吹っ飛ばせ 私の学校はブラック校則にほぼ当てはまるような厳しい校則があった。(「ブラック校則」という言葉で束縛の激しい校則が問題視されるようになった3年くらい前の話だ)もっと我慢できなかったのは、過度な制約を受け入れるばかりか他人にも従う…
歴史私小説?星3つ - 評価者: 小谷野敦、2023/05/0318世紀フランドル地方で、天才的な数学の才能をもつヤネケと、15歳の時にセックス してしまったヤンのその後の50年を描く歴史小説。ヤネケは子供一人を生んでベギン 会という修道組織に入るが、割と出入り自由。佐藤にしては珍しくセックスシーンが あり、スカトロみたいな変態行為も描かれている。しかしこれは天才で傲慢なヤネケ を佐藤自身、ヤンを夫の佐藤哲也をモデルとした半私小説ではないか。フランス革命 に対して敵対的なのは、佐藤自身がもともと王党派であることと、佐藤賢一へのイヤ ミか。
先々週受けた人間ドックの結果が出る。任天堂スイッチのおかげで若干パラメータ改善が図れたが、次の健康診断に備え、三日毎くらいだが、ぼちぼちと継続中。他はPSAの値が昨年より少し上がった程度。ことしもMRIでのチェックが必要か。 33冊目。いよいよそして誰もいなくなったモードに突入。 小説フランス革命 16 徳の政治 (集英社文庫) 作者:佐藤 賢一 集英社 Amazon 34冊目。これは大作。もし自分が第一世代に相当する当時の若者だったらビートルズのファンになっていただろうか。たぶん、坂本九とか橋幸夫、せいぜいGSまでであり洋楽まではいっていないと思う。1970年代後半になって洋楽を聞くのが普通…
本日は数学検定の受験日。part1は何とかなったがpart2で沈没。次回にリベンジ頑張るべ。次は英検準1級だ。 31冊目。楽しく読了。ここにたどり着くまでの分の再読。 SPY×FAMILY 11 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:遠藤達哉 集英社 Amazon 32冊目。いよいよ佳境に到達。今の日本もこれと変わりない状況だが、ロビスピエールはどこにいるのやら。 小説フランス革命 15 粛清の嵐 (集英社文庫) 作者:佐藤 賢一 集英社 Amazon
レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯には謎が多く、とりわけ14歳から30歳までフィレンツェで過ごした青年期については本人もほとんど書き遺していないとのこと。本書はその謎に挑んだ作品です。しかしレオナルドを女性として描くとは思いませんでした。確かに「モナリザ」自画像説や、同性愛疑惑もあり、生涯妻子を持たなかったことは事実のようですが、まさか女性とは!本書は、佐藤賢一氏の『女信長』と並ぶ衝撃の性転換作品だったのです。以下の文章では、著者に倣ってレオナルドをアンジェラと呼び、彼女という代名詞を使うことにします。 アンジェラがフィレンツェで暮らした1466年から1482年という期間は、豪華王ロレンツォがメデ…
4月になり新年度が始まる。若い時は大きな環境の変化が付いて回る時期だったが、この年になればいつもの日常が続くだけだ。それでも桜は毎年美しく咲き誇っている。さて、あと何回桜を楽しむことができるんだろうか。 29冊目。わが国も、これから分断が進めば、このようになるんでしょうか。某A宮家のなされようは、フランス革命もののように思えますが、これを掣肘すべき政治も与党は相変わらず。野党は小西君はじめもっとひどい。 ジャコバン派の独裁 小説フランス革命14 (集英社文庫) 作者:佐藤賢一 集英社 Amazon
近年は現代日本ミステリや幕末歴史小説など幅広い作品を書いている著者ですが、1990年代に書かれたフランスやオーストリアを舞台とする歴史小説が一番好きでした。1996年に出版された本書も、その中の1冊です。 舞台はフランス革命。主人公はオーストリアの青年士官ルーカス。彼は皇帝の密命を受けて、フランス王妃マリー・アントワネットのもとに向かいます。フランスの力が弱まるのは好ましいものの、フランス王政の転覆までもは望まないオーストリアにとっては、王家と革命勢力のバランスを保つ必要があったのです。そのためにはハプスブル家の公女であったマリー・アントワネットの悪評は避ける必要があり、彼女の幼馴染であったル…
目次 1.ワーテルロー 2.デュナン 3.デュルビュイ 1.ワーテルロー 今日は2013年2月15日放送の地球絶景紀行で紹介されたベルギーについて調べてみた。まずはワーテルロー。 首都ブリュッセルの南に位置し、ナポレオンの最後の戦いの場所として有名。 ロシア遠征の失敗後、弱体化したフランス軍はヨーロッパ各国の連合軍に敗れナポレオンはエルバ島へ流刑となる。 フランスはブルボン王朝が復活しルイ18世が即位するも民衆から人気はなかった。 一方ナポレオンはエルバ島を脱出し、再び軍を編成。パリへ帰還した。 イギリス・ロシア・オーストリア・プロイセンは連合軍を結成。 ナポレオンはベルギーに駐在する英蘭連合…
こんにちは、すずめです。先日書いたでこぼこフレンズの徹底解説の番外編として、本記事ではでこぼこフレンズのキャラクターをご紹介します。性格やモチーフ、あいさつ、声優などの詳細プロフィールといっしょにご紹介しますので、ぜひご覧ください。 なお、でこぼこフレンズについて詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。 suzume-books.hatenablog.com こんな人向けの記事 ・でこぼこフレンズのキャラを見て懐かしい気持ちになりたい ・キャラクターの詳しいプロフィールや画像を確認したい