その子は、完璧に「出かける顔」をしている。 帽子よし。服よし。カバンもちゃんと持っている。 あとは一歩踏み出すだけ。誰が見てもそういう状態だ。 ——ただし、ひとつ問題がある。 スカートが、進まない。 物理的に止められている。 左側で、あひるがくわえているからだ。 「なんでそこなの?」 と聞きたくなる位置を、かなり正確に押さえている。 腕でもよかったはずだし、カバンという選択肢もあったはずだ。 それでも、スカート。 しかも—— 引き方が、絶妙にうまい。 強すぎない。でも、無視はできない。 振りほどこうと思えばできる。でも、その気にさせない程度には効いている。 言い換えると、「今すぐ行きたい気持ち…