故あっての昼間のホテル。お客さまがいないホテルの客室階というのは、まるっきりの舞台裏で、部外者は立ち入り禁止な時間帯。連泊してたもんで、邪魔にならないようにそろっと廊下を急いでいると、客室清掃の若いお姉さんがお仕事中。部屋(私の部屋ではもちろん、ない)のチャイムを押して、 「ピンポーン。お部屋の清掃です。」 ん?ぴんぽーん?? お姉さんは、こちらには全く気が付いていない。こそっと見つめていると、明らかな照れ笑いを浮かべて、ひとり部屋へ消えていった。 なんとなく見つかっちゃいけない気持ちになって、さらに足を速め、気配を消してすり抜けつつ。くすくす笑いってやつが、おなかのあたりから湧き上がってくる…