1937年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。 京都大学文学部教授を経て、現在鳥取環境大学学長。 環境倫理、生命倫理、応用倫理などの方面で活躍。
読んだ本 加藤尚武『現代倫理学入門』講談社学術文庫 (1997) 仲正昌樹『哲学JAM:現代社会をときほぐす [赤版] 』共和国 (2020) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 「正義は時代によって変わるか」の章を読んだ。 加藤尚武氏によれば、価値判断は本質的には変わらないという。 昔であればタバコは「健康に良い」と思っている人がいたかもしれないが、今はほとんどいないだろう。しかし「健康に悪いものは摂取しないほうがいい」という価値判断は変わっていない。事実(タバコは健康に害である)が変わっただけである。 人間の価値観には非常に多様性があると思う…
4. 「強断定」に担保される「選民証」 これって「反スタ」なのでしょうか 私はもともとは武谷三男シンパとして出発したのでした。最近のことですが研究者たちの『昭和後期の科学思想』合評会に場違いを承知で参加して末席で聴講したことがあります。「武谷を葬る!」「どうしてですか」「エラそうだから!」(金山浩司氏)というなんとも乱暴な論議もあってこれでは武谷も成仏せず化けてでてくるのではないかと辟易としたのですが、実は最大の収穫は岡本拓司氏(東大准教授)の次の口頭コメントを拝聴したことでした。少し付き合ってください。 ●「あの頃はカシコイ子はみんな共産党に入ったんですよね」 KK と同年代の科学史家の廣重…
読んだ本 平川克美『「答えは出さない」という見識』夜間飛行 (2023) 小坂井敏晶『答えのない世界を生きる』祥伝社 (2017) 小坂井敏晶『矛盾と創造:自らの問いを解くための方法論』祥伝社 (2023) 仲正昌樹『哲学JAM:現代社会をときほぐす [赤版] 』共和国 (2020) 加藤尚武『現代倫理学入門』講談社学術文庫 (1997) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 平川氏は答えを求めるよりも「問いを抱えて生きる方法」を求めることを推す。 自分はどちらかといえばやはり答えを求めがちだとこのブログを見て、書いて感じている。 アウトプットの…
人生で何かを成し遂げるには、何かを捨てなければならない。成し遂げられるのは、短いぼくの人生でいくつもない。そして目標は一つに絞られる時、一番実現性が高い。これは動かしがたい真理に思える。一つの実現したい目標は何かを考えることは、自分のこれからの人生に不可欠だと思える。 文学か哲学か、という問いを立ててどちらかを捨てることが、一つに絞る過程に入ることになる。ぼくはこれまで文学の方に多くの時間を割いてきた。それでもピークだったのは、高校1年時だった。ぼくは世界文学全集を読みあさって一時期不登校になり掛かった。 哲学にそれほどのめり込んだことはなかった。しかし大学時代にはマルクス主義に傾倒して、梯明…
現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン——大いなる探究の現在地 作者:山極寿一,佐藤勝彦,中村桂子,永井均,三牧聖子 青土社 Amazon キンドルで購入。 永井、入不二、青山、飯田といったいつものJ哲学大家たちのものは面白くて、それ以外はちょっと……、という予想通りの中身だった。ただ、加藤尚武さんのが結構良かったのは年齢を考えると凄い。地力があると年とってもいい論文書けるんだろうね。
行きつけのカフェではじめてミックスナッツを頼んでみたら、いつも頼んでいる和紅茶とベストマッチだった。ミックスナッツはアルコール用のメニューなのだ、という先入観があったことに、先入観を超えたあとで気付かされる。こういうつまらない思い込みが、暮らしの中にまだ散らかっていないだろうか。それに、「いつもこうしている」が知らぬうちに「いつもこうするべきである」になってはいないか。この日々を、はじめてのナッツのように、なんの気なしに超えていけたら。 いつもの帰り道、渡り鳥 休日の楽しみは、カフェで本を読むことと、お風呂で本を読むことだ。私の場合、入浴とは読書のためにするものである。前から好きではあったが最…
こんにちは。冨樫純です。 法哲学に興味があり、それに関連する本を読んでいます。 そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。 タイトル 最大幸福のための臓器移植くじ 狭義の自己所有権のテーゼは、もっとも根本的な道徳的信念の一つでもあるが、イギリスの哲学者ジョン・ハリスは、「生存のくじ」(東海大学出版会、加藤尚武・飯田亘之編『バイオエシックスの基礎』所収。 邦訳の題名は「臓器移植の必要性」)という刺激的な論文で、その信念に正面から挑戦した。 この論文は英語圏でも知られているが、むしろ日本において一層よく論じられているようだ。 ハリスは臓器移植の技術が大変発達した…
倖田來未の歌い方ってなんかいいな。平成感があるって思ったけど、平成感ってなんだ? 自分が自分であることの偶然性に驚く。なんで自分が自分なのかわからない。 現在思想に乗ってる文章を2つ読む。一つは加藤尚武の文章で、昔読んだ環境倫理と世代間倫理のバージョンアップ感がある。世代間倫理自体の問題でもあるけど、議論のレンジが多様やから、どういったレンジにフォーカスしているのかを明示する必要があると感じた。最後の節は確かこれから10億年とかのレンジだった。そのレンジについてなにか語る事自体の難しさもあるなあ。まあただ、現在少なくとも確からしいと考えられている科学的な知見と人類が存続しているという仮定を組み…
少し遅めに起床。シリアル、朝刊。 午前中、大学へ。某翻訳のチェック、メールの返事など。 お昼、ベジラーメン。お腹が減っていたので二つ食べてしまう。 お昼すぎ、某オンライン打ち合わせ。某引き継ぎ作業。メールの返事など。 昼下がり、一服してからヘーゲルの勉強など。サルがタイプライターで打った文章よりはマシだと思うが、それにしても訳がわからんな。 夜、帰宅して夕食。食後、少し読書。一つ、小さめのショルダーバッグを購入。 夜中、スイッチスポーツ。それから風呂。ヘーゲル。 あら、何か気軽に大きめの仕事を引き受けてしまったような… — 児玉聡 (@s_kodama) 2024年1月15日 【重版】『徳倫理…
宇宙倫理学についての論文集 京大で宇宙ユニットというのができて、2017年前後に宇宙倫理学が盛り上がっていた時期がある。「盛り上がっていた」と過去形で書いたが、現在も京大の中には宇宙倫理学の教育カリキュラムがある。続々と研究成果が出てくるというような分野ではないと思うので、一過性のブームにすぎなかったかどうかいうのは、まだ早いだろう。 2017年前後で、自分も宇宙倫理学を巡る状況をある程度はフォローしていたのだが、何故だかこの論文集だけ読み損ねていた。 ちなみにこの本は、2018年12月刊行。 なお、2017年前後で当ブログで取り上げた宇宙倫理学関係の記事は以下の通り。 「宇宙倫理学研究会: …
かつてサルトルが哲学のぼくの関心の中心だった。ぼくの学生の頃にマルクス主義に引き込まれ、政治的な動きが身近になった時に自分の立場をどこかに持つ必要があった。サルトルもマルクスを最後の(のりこえ不可能な)哲学としていたが、マルクス主義が客観的情勢論から主体が自動的に要請されるような論理に思えたのに対して、サルトル哲学は個人の自由な思想の立場を提供するものに思えた。自分の参加や連帯を問う領域が拓けているように思えた。中国では政府のコロナ政策に反対するデモに参加すること自体が身を危なくさせているが、ぼくの学生時代の状況はそこまでではないものの、身の危険はあった。だから中途半端な考えでいると自分が動か…
目次 日本ヘーゲル学会編『ヘーゲル哲学研究 第29号 2023』(現代思潮新社、2023年) 加藤尚武「科学と哲学の断絶」 真田美沙「ヤコービ哲学における学的証明とその労働に関する批判についての考察——ヘーゲルのヤコービ批判の再検証のために——」 日本ヘーゲル学会編『ヘーゲル哲学研究 第29号 2023』(現代思潮新社、2023年) 発売されたばかりの最新の『ヘーゲル哲学研究』を読む。今回から出版社が「こぶし書房」から「現代思潮新社」に変更になっているが、調べてみたところ両者は同じ住所の(実質的に同じ)会社であった。 加藤尚武「科学と哲学の断絶」 まず加藤尚武「科学と哲学の断絶」が異色である。…
ギリギリに起きてシャワー浴びて2限に 2限、加藤尚武、東大時代の恩師 おひるを食べて昼寝麻婆豆腐味のペヤングが癖になっている。すこしウィリアムズ、今日からはMorality and the emotionsを読み始める。かなり難しくて心が折れそう、、、、英語の言語感覚がないと難しい感じの内容なきがする。 4限、第二演習、生殖 図書館バイト向かう途中にNFの準備をしてる学生が楽しそうで虚しい気持ちにバイト終わり、前夜祭を横目に研究室へ相談してかえる マクドテイクアウト 英会話すこし 論文読んで眠くなったら寝る 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 大谷翔平の犬と…
読んだ本 上野千鶴子『上野千鶴子がもっと文学を社会学する』毎日新聞出版 (2023) グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ (下) 』岩波文庫 (2023) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ミシェル・フーコーは知と権力の結びつきについて論じたみたいであるが、今を生きているだけではなかなかそうは感じない。 上野千鶴子氏の本を読んでみると権力が徐々に変容している様子が伝わってくる。 今では女性差別と認定される発言が昭和では平気でまかりとおっていた。 これは端的に、権力…
倫理学の命題で、最も有名なものといえばーーー 【トロッコ問題】をあげる人が多いと思います。 トロッコ問題の概要はこちら トロッコ問題 - Wikipedia ①暴走機関車が、今まさに線路上の作業員5人を轢き飛ばそうとしている。 ②あなたはたまたま、線路の切り替えレバーの前に立っている。 ③あなたがレバーを操作し、線路を切り替えれば、5人は助かりそう!! ④ただし、切り替えた先の線路には、1人、線路上で作業している人がいる。 ⑤あなたがレバーを切り替えれば、5人は助かる代わりに、切り替えた先の線路にいる1人は死んでしまうでしょう。 ⑥あなたはどうする? 倫理学や哲学的な諸問題を考えるにあたって、…
後期の授業準備の一環で、加藤尚武を読んでいる。 「日本での生命倫理学のはじまり」(2007)という短論文があって、これが加藤倫理学の一面を照らしているように見えるので、少し書いて所感を整理したい。 加藤はヘーゲル研究者から日本応用倫理学の先達となった。まだ彼が何を理念や問題としていたのかはよく分からないが、周りとのギャップについては記述がある。 われわれ日本人にとって英米の哲学に労を注ぐことは無駄だった。なぜなら、それはカントとドイツ観念論によってずっと前に克服されてしまったものだからである。 したがってバイオエシックスの導入には、さまざまな感情的な反発があった。私は、ドイツ哲学とりわけヘーゲ…