原稿作成

かつて、元プロレスラーの武藤敬司さんが言いました。 「思い出と戦っても勝てねぇんだよ」 芸能とスポーツが融合した「格闘芸術」であるプロレスは、歌舞伎のように「大看板」にファンがつくことから、次代の選手がなかなかファンに浸透しない現実があります。 古参のファンは「あの頃はこう言う選手がいてね」と、いつまでも過去の名選手の名勝負を口にします。先の言葉は、そんな状況にありながらあり方を変えようとしない現役選手たちに対して、元レスラーとして苦々しく思い、発せられたのでしょう（記憶が曖昧なのですが、もしかしたらこの言葉は武藤選手が現役後期に発したものだったかもしれません）。 ビジネスでも生活でも、一つの…

「最初の3行で決まる」 これはWEB文章の鉄則です。あなたも経験があるはず。つまらない記事は、気づいたらスワイプして別のページへ。逆に、気になる文章は「次は？」「どうなる？」と無意識にスクロールしてしまう。では、その違いは何か？ 答えは、「読者の脳に疑問や期待を生むこと」。 例えば―― ✖「WEBで文章を読んでもらうには、工夫が必要です」◎「あなたの文章、読まれる前に閉じられていませんか？」 前者は情報の提示。後者は「自分のことかも？」と読者の注意を引く。こうした問いかけや問題提起が、滞留時間を伸ばすカギになります。 たとえば、ある企業が新商品の紹介記事を書いたとします。よくある失敗は、「この…

文章の「最初の一文」には、特別な力があります。 それが魅力的であれば、読者は次の一文を読み、さらにその次の一文へと引き込まれていきます。逆に、凡庸な出だしでは、読者は読むのをやめてしまうでしょう。重要なのは、出だしでいかに読者の心をつかむかです。これは小説や自分史に限らず、会報や文集、記念誌などの寄稿する原稿でも同じです。 たとえば、こういう書き出しはどうでしょうか。 「玄関を開けたら、犬が靴をくわえて待っていた。」 この一文だけで、「何が起きたの？」と気になりませんか？ 一見日常の中の何気ない場面に思えますが、その少しの違和感やユーモアが、読者の興味を引きつけます。 あるいは、次のような始ま…

スマホやAIの登場によって、いろんな作業が簡単になりました。これまで懸命にひねり出していた文章も、ネットで着想を得て、AIに書かせればあっという間です。文章に限らず、生活や社会のいたるところで便利な機能が行きわたり、ハイスピードで緻密なパフォーマンスが実現しています。合理化というやつです。 合理的になったってことは、人は楽ができるということです。今までおびただしい時間をかけていたのが、技術の恩恵ですぐできる。自分の時間を捻出できる、好きなことをやれる…はずです。 しかし、実際どうでしょう？ 自分の時間ができるはずなのに、なぜかそんな時間を持つことが全然できない。むしろ次から次へやらなくてはなら…