共に全く異なるようなエッセイが記憶に残っている。 『明治の若者の気分(坂の上の雲連載予告)』は、名作『坂の上の雲』を新聞紙上に連載する前のひと語りだ。 小説を構想していると、一つの情景があるようだ。正岡子規から話は始まる。 日本の短歌、俳句という伝統文芸に近代的価値を与えた人物。その伊予松山出身の若者の大学予備門時代の友人が、秋山真之である。真之はもともと子規と文学をやりたかったが、兄の好古が苦学して陸軍軍人となり、安い給料から幾ばくかを割いて真之を東京へ呼んだため、兄に道楽は許されず、結局海軍兵学校に入った。真之は子規と共に文学をやろうと誓い合っていたので、その違約を詫び、「もはや生涯会うこ…