受賞作がご馳走だとすれば、先生がたの選評はデザートだ。受賞作品を読み了えるまでは、けっして選評を読まぬことにしている。 最終候補の五篇は、いずれに授賞しても理由が立つほどの、粒揃いだったという。二篇を推すつもりで選考会に臨んだものの、いずれも受賞作二篇とは異なったという先生すらおられる。前回が「受賞作なし」だったから、こういうところにも受賞ってもんには運不運が避けられない。世間の良識読者がたは、受賞作と候補作とをあまり区別なさらないほうがよい。ただし作家にとっては、幸運こそがなによりの味方だけれども。 こういう回の選評は面白い。粒揃いの、しかもてんでんばらばらの特質を孕んだ果実群にあえて等級を…