性被害の当事者が研究者になるまでの半生から修復的司法の可能性を探る 『当事者は嘘をつく』(小松原織香著/筑摩書房) www.chikumashobo.co.jp 性暴力は被害者の心を深く傷つけ壊していく。『当事者は嘘をつく』は小松原織香氏による著作。著者は関西大学文学部学術振興会特別研究員(PD)であり、修復的司法を専門とする。タイトルを見て性被害を訴える当事者をよってたかって「嘘つき」呼ばわりする醜悪なネット世界でのやり取りを想起した。性暴力を訴えた被害者に対する二次加害は性加害そのものにも十分に匹敵しうる深刻な問題であるが、本書で語られるのはそのような被害者バッシングについてではない。自身…