洋平は何も考えたくなかった。何もしたくなかった。ユカリの顔、燃える校舎、校長室、そんなものが繰り返し洋平を襲っていた。 山本先生の訪問 学校への帰り道 山本先生の再訪 山本先生の訪問 「洋平ぼっちゃま、山本先生がお見えです」 「会いたくない。帰ってもらってくれ」 「いけません、ぼっちゃま」 珍しくカヤさんが強い口調で言った。 「そんな風に閉じこもって食事もろくに摂らないで。カヤは許しませんよ。亡くなった旦那さまや奥様に顔向けができません」 カヤさんは部屋の前で仁王立ちになり、洋平が部屋から出てくるまで動こうとしなかった。 洋平は仕方なく下に降りて客間に向かった。 部屋に入った洋平は山本先生を一…