4711号 引き続き、国立の初芝居「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」。 昨年六代目を襲名したこの物語ではほぼ主役のお園を演ずる中村時蔵について書いていた。 襲名前の時蔵(梅枝)の芝居は昨年も初芝居で観ている。 かなりよいと、書いている。 今も思い出すと、メインの演目である、安倍晴明の出生譚である「葛の葉」。これがまあ主役級であるが、なかなか難しい役どころを好演していた。梅枝の芝居次第で、この作品のよしあしが決まる。推しも推されぬと、いってよい、と。 彼は父から襲名の話しを聞いたときに、待ってくれと一時は断ったらしい。38歳(昨年)。まだその実力はないと。彼としては、父が亡く…