時は天保年間、江戸の町は表向きは泰平を謳歌していたが、 裏では悪徳両替商「越後屋」が暗躍していた。 越後屋の主人、黒江の伝兵衛は、表向きは両替商を営みながら、 裏では幕府の御用金を担保に高利貸しを行い、貧しい人々を食い物にしていた。 ある日、金さんはいつものように遊び人の姿で市井を歩いていた。 すると、一人の老婆が泣きながら訴えてきた。 「どうかお助けください、越後屋に娘を人質に取られているんです。」 話を聞けば、老婆の息子が病に倒れ、越後屋から金を借りたが、 返済できずに娘を人質に取られたという。 金さんは老婆を安心させ、越後屋の内情を探ることにした。 夜になり、金さんは越後屋に潜入し、 黒…