いつ命を落としても未練はないと、自ずと覚悟も定まりつつあるように思う。消滅を前に、西日に照らされた紅葉の始まりとともに、これは自然の成り行き、つまり自然の恵みなのかもしれない、と。 消滅を前に、西日を浴びながら、紅葉の色づく如くに -自ずからなる覚悟- 古稀を迎えたと思ったら、もう古稀を通り越して後何ヶ月かすれば72歳となる。 九十の端(はした)を忘れ春を待つというどなたかの句があったが、わたしはまだ「七十の端(はした)」に未練が残っていて、72歳などと言って、「端を忘れる」までの境涯には達していない。未熟者。 しかし、古稀を越えてから、なにかと「気づき」が増えてきたように思う。自分の身体が老…