「日本人はもっと牛を飼わなきゃイカン。牛を殖やして、殖やしまくって、肉も喰らえば乳も飲め。そのようにして西洋人と渡り合うのに足るだけの、丈夫な身体を作らにゃイカン」 維新成立早々に、社会のある一部から盛り上がった掛け声だ。 畜産を盛んにせよという、つまりはそういう趣旨である。 (北大農学部の牛) 御国のためなら是非もなし。「追いつけ・追い越せ」精神を色濃く反映しているだけに、官民問わず賛同者は多かった。 福澤諭吉も、その顕著なる一人であろう。 「牛乳の功能は牛肉よりも尚更に大なり。 熱病労症等、其外都て身体虚弱なる者には欠くべからざるの妙品、仮令何等の良薬あるも牛乳を以て根気を養はざれば良薬も…