🌸不遇な姫の話を聞く【源氏81 第六帖 末摘花1】 源氏の君の夕顔を失った悲しみは、 月がたち年が変わっても忘れることができなかった。 左大臣家にいる夫人も、 六条の貴女《きじょ》も強い思い上がりと 源氏の他の愛人を 寛大に許すことのできない気むずかしさがあって、 扱いにくいことによっても、 源氏はあの気楽な自由な気持ちを与えてくれた恋人ばかりが 追慕されるのである。 どうかしてたいそうな身分のない女で、 可憐《かれん》で、 そして世間的にあまり恥ずかしくもないような恋人を見つけたいと 懲りもせずに思っている。 少しよいらしく言われる女にはすぐに源氏の好奇心は向く。 さて接近して行こうと思うの…