1953年広島市生まれ。アン・タイラーに触発されて小説を書きはじめる ペンネームはas Anne Tyler(アン・タイラーのような)のもじりから。 1999年「素晴らしい一日」で第79回オール読物新人賞を受賞。 2001年、受賞作を含む書き下ろし作品集「素晴らしき一日」(文春文庫) 著書に「グッドラックららばい」(講談社)「もっと、わたしを」(幻冬舎) 「パートタイム・パートナー」(光文社文庫)「明日、月の上で」(徳間書店)など
図書館で借りた「シニア本」(私が勝手に名付けたジャンル)2冊目、平安寿子さんの「レッツゴー!ばーさん!」を読みました。 ( ↓ 前回は本田健さんの「60代にしておきたい17のこと」でした。) kingyonome08.hatenablog.com 今回の主人公は60代デビューしたばかりのプレばーさん、文子さん。落ち着いた素敵なばーさんを目指して精進する日々のストーリーです。私より2、3歳若い設定で、あるあるネタの宝庫でした。 ホッとしましたね。 本田健さんの本は自己啓発の香りがしていましたが、こちらは女性の描いた物語ということでほとんどエッセイのよう。 とても現実的です。 ◆物語の概要:還暦を…
今日は十数年ぶりに再読した、平安寿子著「セ・シ・ボン」の話をしていく。この作品は、著者が20代の時にした留学にまつわるエッセイだ。 セ・シ・ボン (ちくま文庫) 作者:平安寿子 筑摩書房 Amazon 表題でもあるセシボンという単語は、フランス語で「素敵」「素晴らしい」を意味する。「想い出って、素敵だ」って本には違いないけれど、著者がそう思えたのは30年近く経ってからだった。 今の自分の感想をうまく言葉にできないのは、十数年ではわたしの想い出はセシボンになっておらず、もう少し寝かせる必要があるからかもしれない。 それでも、わたしはこの作品に出てくる変わった人たちが好きだし、なによりやっぱり平安…
2023年現在、ブログを始めたと伝えたときの反応ナンバーワンは「なんでブログ?オワコンじゃね?」である。今年何度言われたことか。まあ数人にしか言ってないし、繰り返し言ってくるのは家族なんだけど。 確かに、いまどこかに書いておきたいと思うなら断然noteだろう。さらに言うならいまは文章じゃなく写真、動画の時代らしい。やるならInstagram、youtube、TikTok、なんである。 じゃあなぜわたしはブログをやっているのか。振り返ると見えてきた。わたしは2000年代のブログの世界に憧れている。多分、この本の影響が強い。 恋愛嫌い (集英社文庫) 作者:平安寿子 集英社 Amazon 平安寿子…
世間的な幸せと、自分自身の幸せって、全然違うのになんでいつもごっちゃになっちゃうんだろう? こんな堂々巡りの悩みのループにはまりそうな時、繰り返し読んでいるのがこの「恋愛嫌い」です。 恋愛嫌い (集英社文庫) 作者:平安寿子 集英社 Amazon 2007年に小説すばるで連載されていたこの作品は、時事ネタも多いので正直だいぶ古い小説だとは思います。でも根本的な考え方というか、悩みの質としては変わっていないと思うんですよね〜。 人と付き合った経験がないわけじゃないけど…恋愛は苦手。そう思っている女性の、それぞれに感じた「違和感」に焦点を当てているのがこの作品の特徴です。 このまま流れにまかせた方…
大体は単調で長いであろう人生のなかで、一日くらいこんな日があったら面白い。今日は、かつて貸したお金を取り立てる一日を描いた「素晴らしい一日」をレビューしていきます。 素晴らしい一日 (文春文庫) 作者:平安 寿子 文藝春秋 Amazon この小説は6編からなる短編小説で、はじめの作品が表題の「素晴らしい一日」です。 勤務先が倒産、挙句に恋人まで雲隠れする。割と人生のどん底な30歳の主人公・幸恵は、一時付き合っていた男に20万円貸していたことを思い出し、取り立てに行くことを決意します。 取り立て先の"友郎”は憎めない男 別の人に借金を肩代わりしてもらう旅がスタート 仕方なく同行する先で見える人間…
小説「こっちへお入り」は、アラサーOLが落語に目覚め、日々の生活や周囲もひっくるめて少しずつ変化していく話。私も同じように目覚め、周囲が変わっていった経験があるので共感するものがあった。 主人公は32歳OL。仕事は大変なこともあるけどまあ何とか。彼氏もいるけどすごく幸せというわけでもない、という等身大の人物。 自治体の落語教室に通う友人に誘われて、落語の発表会を観るシーンから始まる。お世辞にも上手いとは言えない素人落語を観ながらも、なかには魅せる落語もできる人がいることに気が付く。流れで行った打ち上げで、上手い下手問わず生き生きと「次は何をやろうかね~!」と話す彼女たちをみて思わず「落語ってそ…
レッツゴー・ばーさん!:平安寿子著のレビューです。 感想・あらすじ ここ最近読んだ本のなかで一番震えた!? 最期の究極のロマンとは? レッツゴー・ばーさん! (単行本) 作者:平 安寿子 発売日: 2014/12/08 メディア: 単行本 感想・あらすじ ここ最近読んだ本のなかで一番震えた!? 意外でしょうが、ここ最近読んだ本で、一番怖かった本のように思える。ホラー本は本を閉じたら終わるけれど、この本は本を閉じたところから恐怖が始まる。しかも他人ごとではなく、自分の身にも将来必ず起こる。だからリアルに身震えしちゃいます。 本書は60歳になった独身女性・文子の「老い」にともない起こる様々な現象を…
まったく、もう!と思いながらも、人は互いに許容しあって生きているんだった。 主人公を通していろんなタイプのしょうがない人を見ていくうちに、そんな考えが自然と湧いてきた。 今日は、平安寿子著「しょうがない人」をレビューする。 しょうがない人 (中公文庫) 作者:平安寿子 中央公論新社 Amazon あらすじ たとえばこんな「しょうがないひと」 「しょうがない」というか、「しょうもない」というか、 あなたもわたしも「しょうがない人」 あらすじ なんだか自分ばっかり損してる気がする。面倒ごとに巻き込まれて割に合わない。こんなにわたしはちゃんとしてるのに!…とまではいかないまでも、こんな気持ちは結構浮…