夜勤最後の勤務が、いつも以上に忙しかった。身体に疲れを感じながら家に帰り着く。気温や気圧の変化が大きいと、金属と糸は相性が悪い。わずかな金属の変化で糸の通り道が狭くなり、こすれて糸が切れてしまう。今回は、それに加えて糸の質そのものが悪かったのも原因のひとつらしい。 糸の出来が悪いと、その後の布を織る工程にも支障が出る。糸切れや小さな穴のある布では、染色もうまくいかない。製造業の現場では、ひとつの製品が完成するまでに、すべての工程がつながっているのだと改めて感じる。 そんな夜勤の前、職場の冷蔵庫を開けたときのことだ。飲み物を冷やそうと扉を開けると、ひとつのビニール袋が目に入った。よく見ると、「未…